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決議事項 ~利益相反取引の承認4~

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 前回まで、利益相反取引の手続や、直接取引・間接取引の類型についての説明をしてきました。そして、今回は、条文上は利益相反取引にあたりそうな場合であっても、承認を要しないとされている場合と承認を受けなかった場合の効力、取締役の責任について説明をしたいと思います。

■承認を要しない利益相反取引

 利益相反取引は、前に述べたとおり、その取引がなされることによって、価格を不当に高く設定する等、会社に不利益が生じる危険があることから、規制がなされています。つまり、会社に不利益が生じる危険が存在しない場合には規制をする必要がないことから、承認は不要と考えられています。
 そして、会社が取締役から無利息・無担保で貸し付けを受ける場合(最判昭和38年12月6日)、債務の履行、普通取引約款に基づく取引(運送契約・預金契約等)が承認不要な例であるとされています。
 また、利益相反取引の規制は会社、ひいては株主を保護するためであることから、会社とその一人株主(その株主が取締役)との取引(最判昭和45年8月20日)や、取引について株主全員の同意がある場合(最判昭和49年9月26日)、100%子会社と親会社の取引の場合、取締役会の承認は不要であるとされています。

■承認を受けない取引の効力

 判例によると、利益相反取引をした場合、その取引は当事者間では無効となるものの、第三者に対しては、利益相反取引について第三者が悪意(知っていた)ということを主張・立証しない限り、無効を主張することはできないとされています(最大判昭和43年12月25日最判昭和46年10月13日)。

■利益相反取引と取締役の責任

 取締役会の承認を受けたか否かに関係なく、利益相反取引が行われ、それによって、会社に損害が生じた場合、直接取引の相手方となった取締役等は、会社に対して損害賠償責任(会社法423条)を負うことがあります。
 さらに、利益相反取引についての承認を受けずに、会社に損害が生じてしまった場合には、その取引をした取締役は、任務を怠ったものと推定されます(会社法423条3項本文、1号)。したがって、承認を受けていなかった場合には、損害賠償責任を負う可能性が高まるといえます。

元記事

決議事項 ~利益相反取引の承認4~

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