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シリコンバレーの悲しい裏側 米国人労働者が「外国人エンジニア」に追い出される

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シリコンバレーの悲しい裏側 米国人労働者が「外国人エンジニア」に追い出される

最近はネットの口コミサイトに、社員や元社員が会社の内情を書き込んで、それを就活生や転職求職者が見るサービスができています。このようなオープンな仕組みは米国が得意で、数多くの人が実名でも書き込んでいますが、ちょっと気になる話もあります。

それは、米国人労働者の退職合意書に「会社の悪口を言わないこと」をうたう一節が含まれているようだ、ということ。これが解雇された労働者を萎縮させ、Facebookにさえ書き込みをしないようになっているらしいのです。
「非移民ビザ」の発行をオバマ政権が緩和

これを取り上げたのは、12月4日付けの米コンピューターワールド誌。「解雇させられたIT労働者は沈黙している」と題したパトリック・シボドー氏の記事が寄稿されています。記事によると、いま米国のITエンジニアたちは、海外のアウトソーシング業者に取って代わられているのだとか。

退職させられた労働者たちは、退職にあたって会社から制限付きの「退職合意書」にサインさせられます。この中に会社批判を禁じる条項があり、彼らがこれを破ると再就職に影響が出ることから、会社の内情が外に知らされていないというのです。

この背景には、米国の移民政策が関係しています。米国には、企業が一時的に専門職の外国人労働者を雇用できるようにする「H-1B」という非移民ビザがありますが、このビザの発給枠をオバマ政権が拡大しているのです。

H-1Bビザによって、専門的なスキルを持った外国人労働者は6年まで米国内に留まることができます。年間に発行されるビザ数は6万5000。別枠の米国内の大学院卒業者2万人を含めると8万5000にものぼります。

シリコンバレーはこのような外国人労働者をさらに欲しがっており、FacebookではFWDと呼ばれる超党派のロビイスト機関が登場して、これらの外国人労働者にグリーンカード(米国永住権)を与える努力さえしています。

シリコンバレーが絶えず新アプリやサービスを生み出すためには、数百、数千の外国人技術者の力に頼っています。このIT産業がもっと優秀な外国人労働者を得るために、国の移民政策の改正を過去10年以上にわたって要求し続けているのです。
解雇される年長者は「小さな星条旗」で抵抗するが

さて、米国の企業が海外のアウトソーシング企業と契約すると、その企業はH-1Bビザを取得した外国人労働者を雇います。そして元からいた米国人労働者は、彼らをトレーニングさせられ、仕事を引き継いだ後に解雇されます。

つまりH-1Bビザは、海外のアウトソーシング企業が何千人ものビザ取得者を雇う機動力となり、結果的に米国人労働者と外国人労働者の入れ替えを促しているのです。

解雇される米国人労働者の多くは、再就職の難しい年長の労働者です。せめてもの抵抗として机の上に「小さな星条旗」(愛国心をあらわしたものでしょう)を掲げたものの、会社に外されてしまった人もいるそうです。

仕事を引き継いだ外国人労働者には、彼らに行く先がないことなど考えも及ばないようです。それはメディアも同じことで、「H-1B労働者を雇うのに苦労するハイテク・スタートアップ」といった見出しをつけた記事を出し、読者の目を引いています。

筆者のシボドー氏は「国の報道は歪められている」と憤っています。何かと脚光を浴びるシリコンバレーですが、そのウラには米国国民や地元の労働者がないがしろにされている実態があるようです。これが「グローバル化」というものでしょうか。

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