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子ども版NISAは相続対策として有効か?

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NISAの非課税枠拡大のほか、子ども版NISA新設へ

14日に行われた総選挙は、事前の予想通り自公与党連合の圧勝に終わりました。これを受け安倍首相は、アベノミクスが国民の信任を得たとして、円安対策や個人消費喚起に重点を置く経済対策を年内にまとめる方針を明らかにしています。

この一環として、平成27年度税制改正要綱が間もなく明らかになる見込みですが、この中には一般NISA(少額投資非課税制度)の非課税枠拡大のほか、子ども版NISA(ジュニアNISA)の新設が織り込まれています。

個人金融資産の世代間移転を促進し、併せて市場活性化のために貯蓄から投資へとマネーの流れを変えるとの理由付けですが、根底にはアベノミクスに対する評価指標としての株価をテコ入れしたいとの事情があるようです。期待に反し、選挙後の株式市場が当面の材料出尽くしたとして、軟調に推移しているのは何とも皮肉な結果ですが。

子ども版NISAとは?

さて、子ども版NISAとは、どのような内容でしょうか?8月に公表された金融庁資料から、簡単にまとめてみました。

(1)一般NISAでは認められていない、未成年者の少額投資非課税口座の開設を認める。
(2)親や祖父母などの親権者等が代理で運用を行う。
(3)子や孫への贈与には、暦年贈与の非課税枠110万円を使用する。
(4)投資上限は年80万円、非課税期間は5年とする。従い累積非課税限度枠は4百万円。
(5)18歳までは払い出し制限を課する。
(6)その他の取扱いは、一般NISAに準ずる。

贈与時から18歳までの期間が長ければ非課税効果が減殺される

今回の制度は、英国のジュニアISAや米国の529プラン(教育資金積立制度)を参考にしています。腑に落ちないのは(2)と(3)です。従来、日本の課税当局は、贈与の体裁は取っても贈与者の管理下にある預金は、いわゆる名義預金として否認してきました。ところが、子ども版NISAの株式や投資信託について認めるのでは、税制における整合性がとれません。

18歳まで払出し制限を設ける一方で、非課税期間は一般NISA並の5年据置きです。そうすると非課税期間満了時に、別の非課税口座に移管したとしても、80万円超の部分については課税扱いになってしまいます。贈与時から18歳までの期間が長ければ長い程、非課税効果が減殺されるという不都合が生じます。

NISAの利便性向上のためのさらなる改善が望まれる

平成26年度の一般NISA買付可能期間が間もなく終了します。大手証券会社情報によれば、稼働率は40%前後に止まっています。投資家の不慣れの他に、制度の使い勝手の悪さが起因しているようです。

具体的には、「譲渡損失が出ても一般口座や特定口座のような損益通算ができない」「一旦、手仕舞うと以降その元本相当額が利用できなくなるため売りのタイミングが難しい」といった点です。

子ども版NISAも基本的には同様です。恐らくこのままでは、直系尊属からの教育資金一括贈与非課税制度のような、相続対策としての広がりを期待するのは難しいでしょう。利便性向上のためのさらなる改善が望まれます。

(松浦 章彦/税理士)

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