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体罰の処分厳格化、教員が委縮する懸念

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体罰の処分厳格化、教員が委縮する懸念

大阪市教育委員会、体罰教師の処分規定を全面改定

大阪市教育委員会が、子どもに体罰や暴力行為をした教師の処分規定を全面改定すると発表しました。これまでの処分規定は、体罰問題に対する外的な基準、つまり被害を受けた子どものけがの有無や程度、体罰・暴力行為の回数、被害を受けた人数などでした。

しかし今回の新規定では、体罰や暴力について、子どもに非がある場合と、そうでない場合とを分けて、子どもに非がある場合の処分は従来通り「校長指導」から「減給1か月」までの原則5段階に、非がない場合は「戒告」から「停職1か月」までの5段階とするということです。

「体罰・暴力行為」はいかなる場合においても許されるものではありませんが、そのきっかけとなる状況に応じて、細分化した対応がなされるということでしょう。

学校教育における「非違行為」とは?

何より今回の変更点の焦点は「子どもに非があるか、どうか」です。この場合の「非」というのは、市教委の発表を見ると「非違行為」という言葉が使われています。「非違行為」とは、一般的な意味として「非行・遺法行為」とされ、主に公務員が法に定められた行為に違えた場合を指すことが多いようです。

ちなみに大阪市職員基本条例を見ると、職員に対する懲戒の基準として非法行為の例が挙げられています。その内容は、勤務の無断欠勤から自動車事故に至るまで80項目以上にわたり具体的な例が記載されています。確かに、このように具体的な内容で「非違行為とはどういうものか」が示されなければ、何を持って「非違行為」となすのか、その判断が難しいでしょう。

では学校教育における「非違行為」とは具体的にどういうものを指すのでしょうか?今回、市教委は「非違行為のない児童生徒」の例として「部活動中の練習中に指示通りプレイできない、ミスをする児童生徒や、授業中の問題を解くことができない児童生徒」を挙げただけで、「以上は例示にすぎず、様々なケースが考えられる」としています。

「生徒側の非違行為」の判断を巡って混乱が生じる可能性も

しかし問題は、この「様々なケース」にあります。教育現場の現実は、例示として挙げられたわかりやすいものだけではありません。例えば、能力的に「指示通りプレイできない」場合と、反抗の意図を隠して「指示通りプレイしない」場合との判別を誰がどうつけるのでしょうか。また、「授業中に問題を解くことができない児童生徒」といっても、「努力をしても問題が解けない」子どももいれば、「もともと学習意欲がなく問題に取り組もうとしない」子どもがいるのも現実です。単に表面に現れた行動だけを持って「非違行為」に当たるかどうかを判断するのが難しいのは事実です。

市教委は、個々の事案の場面の状況や背景を考慮して「総合的に判断して処分等の量定を決定する」と但し書きをつけています。しかし、現場で教員が市教委の裁定を考慮しながら指導に当たるなどということはできるわけもなく、「生徒側の非違行為」の判断を巡って意見の食い違いが出てくることは予想されます。まして、それが減給や停職などの「懲戒」にまで及ぶとなれば、問題が大きくなってしまうことも否定できません。

現場の教員が委縮したり意欲の低下につながらないか、心配は残る

厳罰化の方向性は正しいとしても、教育という営みが教員と子どもの相互関係に基づくものである限り、その適用に際してはあまり画一的な対応は現実的ではありません。結局は、子どもの実態や問題行動の背景にまで理解を深めることが重要になってくるわけです。

しかし、その「総合的な判断」が現場の教師と市教委との十分な連携の下に行われなければ、「懲戒処分」「行政処置」の対象となる現場の教員が委縮したり、意欲の低下につながらないか、心配は残ると思われます。

(岸井 謙児/臨床心理士・スクールカウンセラー)

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