「卵子凍結保存」が米ビジネスウーマンの間で流行 有名企業も補助金で後押し

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「卵子凍結保存」が米ビジネスウーマンの間で流行 有名企業も補助金で後押し

先日、12年前に冷凍保存していた卵子で、30歳の女性が妊娠、出産したというニュースがありました。この女性は高校1年生のときに血液がんの悪性リンパ腫を発症し、治療をすると不妊症になるおそれがあったため卵子凍結保存を行っていましたが、これだけの期間冷凍されていた卵子で出産が成功したのは極めて珍しいとのことです。

米国では30代のビジネスウーマンの間で、卵子凍結保存が流行しているといいます。有名セレブがリアリティショーで卵子凍結を行うなど、今まで卵子凍結を知らなかった人にも知られるようになったそうです。11月20日付けのワシントンポストが報じています。
「人生のパートナーいない」「仕事が忙しい」が二大理由

記事によれば、米国では2年前に米生殖医学会が卵子凍結を「実験段階」から「実用化」へ引き上げ、妊娠適齢期以降の女性でも自身の若いときの卵子で子供を産めるようになってきているということです。

それを後押しするように、フェイスブックやアップルといった有名企業が、卵子凍結保存をする女性に対し最高約240万円の費用を補助することを公表し、すでに補助を受けている女性もいます。

ただし、ワシントン州で将来の子どものために必要な卵子を冷凍するには、150万円から210万円ほどかかるうえ、必ずしも卵子が受精卵となって無事出産することができるという保証はないのだそうです。

シャディー・グローブメディカルセンターのジョセフ・ドイル医師は、卵子凍結をした理由については、「人生のパートナーにまだ出会っていないから」「仕事が忙しいのでまだ子供は産めないが、将来は子供を産みたいから」という女性がほとんどだと明かします。

日本でも、日本生殖医学会が2013年11月に「未受精卵子および卵巣組織の凍結・保存に関するガイドライン」を作成して健康な未婚女性の卵子凍結を容認し、卵子凍結が実施できる施設も多くなってきています。
日本のガイドラインは「45歳以上の使用」推奨せず

なおガイドラインは、冒頭のニュースのような「医学的適応」と、加齢などの要因により性腺機能の低下をきたす可能性を懸念する場合の「社会的適応」を分けて作成されています。そして後者では、次のような年齢の目安を示しています。

「凍結・保存の対象者は成人した女性で、未受精卵子等の採取時の年齢は、40歳以上は推奨できない。また凍結保存した未受精卵子等の使用時の年齢は、45歳以上は推奨できない」

さらにガイドラインでは、母児の合併症やさまざまなリスクを考慮すると「妊娠・分娩には適切な年齢が存在する」としたうえで、ガイドラインが卵子凍結とそれによる「妊娠・分娩時期の先送り」を推奨するものでもないと強調しています。

本来は妊娠・出産適齢期にキャリアを中断してもハンディにならない企業や社会のしくみにすることが望ましいのですが、それが実現しないうちは技術の発達によって選択肢が広がることで救われる人もいるのではないでしょうか。

(参考)Egg freezing’s popularity is booming, but it’s a choice that offers no guarantees (Washington Post)
 

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