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中国当局 香港民主化支援メディアへの徹底した嫌がらせ実態

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 香港で展開されていた民主派学生らによる繁華街占拠運動やデモ参加者に対し、梁振英・香港特別行政区長官は中国政府寄りの姿勢を崩さなかった。強制排除のやり方も荒っぽく、世界から非難を浴びているが、地元へ向けてのマスコミ対策を固め、民意を運動から離れさせての行動だった。否定的な情報が中国系紙を通じて大きく報道されていたのだ。そして、民主派支援のメディアへの徹底した嫌がらせの実態を、ジャーナリストの相馬勝氏が報告する。

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 香港ジャーナリスト協会の岑倚蘭(シャム・イーラン)主席は「香港の新聞、テレビなどメディアのオーナーの90%が中国大陸で何らかのビジネスに関わっている。このため、中国系紙でなくとも、中国政府を意識して、報道では自己規制が働いている」と指摘する。

 中国政府による香港のメディア対策強化のきっかけとなったのが、香港で中国政府の転覆や国家分裂を図るなどの治安を脅かす事例について、厳しく取り締まることができるという、2003年の「国家安全条例」の制定計画だった。これに対して、香港メディアが猛反発し、市民を巻き込んで50万人規模の反対デモが行われ、社会不安が高まった結果、中国政府は最終的に条例制定を断念した。

 この苦い教訓から、中国はメディアのオーナーらを全国人民代表大会(全人代)や中国人民政治協商会議(政協)の委員に選出するほか、ビジネス面でも優遇するなど露骨な懐柔策に出た。これによって、香港メディアの自己規制による中国化が進み、2002年には世界18位だった香港の報道の自由度が2014年は61位と大幅に後退している。

 岑主席によると、今回の占拠運動に関して、今年夏に訪中した香港メディア代表団と会見した李源潮・中国国家副主席は「運動を批判する報道を強化してほしい」と指示したという。

 一方、中国側は反中派のメディアには厳しい弾圧の姿勢で臨んでいる。その最右翼は「蘋果(リンゴ)日報」である。創業者は実業家でもある黎智英(ジミー・ライ)氏で、彼は親中メディアから「黒金教主(得体の知れない資金を操る、民主化運動の黒幕)」と呼ばれ、今回の運動に多額の寄付をしたといわれる。

 中国系テレビ局ATVの劉瀾昌・高級副総裁(報道・広報担当)は11月3日、自身がメインキャスターを務める時事討論番組で、「黎智英氏が2億5000万香港ドル(約37億5000万円)もの金を寄付したことは事実だが、その金がどこから出たかは明らかにしていない」と指摘した。

 リンゴ日報の香港市民の人気は高く、部数は約20万部と中立系紙「東方日報」に次ぐ第2位。だが、反中・民主派支持を明確に打ち出しており、香港上海銀行とスタンダード・チャータード銀行という香港の最有力銀行2行が広告掲載を打ち切っており、中国から圧力があったとの見方が強い。

 さらに、同紙のコンピューターシステムがサイバー攻撃を受け、新聞製作システムが数時間ストップする事態にも見舞われた。国際的に見ても、サイバーテロは中国の得意とするところだ。

 また、リンゴ日報の報道内容に対して、一時的に、毎日200本以上もの抗議の電話が入ったほか、同社の表口と裏口に数百人もの人々が張り付いて、印刷された新聞の運搬を妨害する事件も起きるなど、「報道への嫌がらせは度を越している」と岑主席は指摘する。

※SAPIO2015年1月号


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