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大量採用・大量退職の警察学校 典型的なブラック企業の特徴

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 新人警察官が職務に必要な知識と技能を学ぶ「警察学校」で、ブラック企業顔負けの大量の退職者が出ていることが明らかになった。
 
 大学卒業後に兵庫県警の採用試験に合格し、2013年4月に警察学校での生活をスタートさせたAさん(25)は、約4か月で職を失った。入校直後から教官から辞めるよう圧力をかけられ、執拗な嫌がらせを受けたという。Aさんは昨年8月になって成績不良を理由に免職になった。

 国民の安全を守るために危険と隣り合わせとなる警察官の職務を考えれば厳しい訓練は必要だが、Aさんのように警察学校を去って行く新人は他の職種に比べて異常なほど多い。厳しい採用で選抜していることと併せて考えると、その評価か教育か、何がしかの問題があると考えざるを得ない。

 本誌は情報公開請求で各警察本部の警察学校退職率の一覧を入手したが、Aさんが在籍していた2013年度、兵庫県の警察学校では入校者490人のうち123人がわずか半年あまりで退職している。退職率は25.1%で全国トップの数字だ。

 2位以下は少し離れるが、それでも神奈川(19.2%)、鹿児島(19.1%)、石川(18.7%)、大阪(18.6%)と高い数字が続く。

 短期間でこれだけの退職者が出れば、民間企業ならまず間違いなく人員配置に支障が出て人事部門の責任が問われる。都道府県警で深刻な人員不足が生じておらず、採用・教育が問題視されていないことから、「大量に辞めることを織り込んで採用している」との疑念が浮かぶ。だとすれば入校直後からAさんに退職するよう圧力がかかったのも“普通のこと”だったのか。

 2013年4月7日付の朝日新聞は〈警察学校で資質判断 警察庁「不適」なら退職促す〉との見出しで、警察庁が新人の資質を警察学校でより厳格に見極めていく方針を決めたと報じている。記事は方針について〈警察官による不祥事を防ぐ対策の一環〉であるとした(警察庁は方針の存在は否定したが「指導を尽くしても改善がなく適性を備えていないと認められる者には、退職を勧奨し、公正な手続きに基づいて分限免職を行なうよう指導している」と回答)。

 このやり方は「ブラック企業と同じ」と指摘するのは、『警察組織のすべて』(宝島社刊)、『ブラック企業経営者の本音』(扶桑社刊)の著書があるジャーナリスト・秋山謙一郎氏だ。

「ブラック企業と呼ばれる会社の典型的な特徴の一つが、新人が辞めることを見越して大量に採用し、過酷な業務に耐えられない者はドロップアウトさせていくことです。そうして酷い労働環境でも人手不足が発生しないようにしている。

 警察学校の実情もそれと似てしまっていて、警察組織に入る人材を『育てる』よりも『ふるい落とす』ための場所となっている」

 ブラック企業かを見極める際に「3年で離職率30%以上」が目安として用いられることが多いが、これに従えば、半年で25%が辞める警察学校は十分にブラックということになる。

●レポート/佐々木奎一(ジャーナリスト)と本誌取材班

※週刊ポスト2014年12月12日号


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