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「15歳未満の臓器移植」法律の課題は

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臓器移植法の改正により15歳未満でも臓器移植が可能に

先日、順天堂大病院(東京都)は、脳死と判定された6歳未満の女児から摘出された心臓を、心筋の一部が正常に育たない左室心筋緻密化障害の10歳未満の男児に移植する手術に成功したと発表しました。

臓器移植法は、平成21年に改正され、平成22年に施行。この改正以前は、15歳以上の場合しか臓器移植が認められていませんでしたが、この改正により15歳未満でも可能となりました。

15歳未満の臓器移植が可能になったのは、改正法により、本人の臓器提供の意思が不明な場合に、家族による承諾の余地が認められたためです。改正以前は、本人による臓器提供の意思が必要とされており、家族による承諾は認められていませんでしたが、この点が改正されたわけです。

脳死判定の難しさだけでなく、虐待の疑いを確認することも課題

もっとも、15歳未満の未成年者について、家族の承諾で臓器移植が可能となると、その未成年者に対して虐待を加えていた家族による承諾という可能性もあります。そこで、改正法では、付則により、政府に対し、移植医療従事者が虐待の疑いを確認するなどの適切な対応をとることができるよう検討して必要な措置を講じることを求めています。 これを受けて、厚労省では、18歳未満の児童に対する臓器移植についてのガイドラインを策定したり、虐待の疑いを確認するためのマニュアルを作成したりしました。

もちろん、児童については、児童特有の脳死判定の難しさがあります。脳死判定については、上記のガイドラインでも、児童については体温や血圧の点で成人と差があることを考慮するべきであるとされています。当然のことながら、児童と成人では身体の機能に差がありますから、同じ基準で脳死判定ができるとは限りません。

そして、脳死判定以上に、虐待の疑いについて確認することが課題といえます。上記のマニュアルはありますが、虐待の有無の判定をするのは児童が搬送された当該病院であるとされています。しかし、児童が搬送された病院が、必ずしも児童虐待を判別できるような専門の病院であるとは限りません。また、たとえ大きな病院であったとしても、病院側に大きな責任と負担をかけてし まっている可能性は否定できないのです。

他人の意思で一つの生命が終了する可能性を生じさせてしまった

臓器移植については様々な意見があると思いますが、改正法によって実際に救済されるようになった子どもたちもいることは事実です。そういう意味では、臓器移植が人の生命を守ることにつながっていることは確かです。 他方で、本人の意思だけでなく、家族の意思でも臓器移植を可能としてしまったということは、他人の意思で一つの生命が終了する可能性を法律で生じさせてしまったという側面も否定できません。生命という最も重要なものを左右する場面ですから、今後もより慎重に、脳死判定や虐待の疑いの確認がなされることが必要と考えます。

もっとも、これが現場の病院の負担となってしまってはいけないと思います。その判定や確認の責任が、現場の病院の負担とばかりにならないよう、今後も社会全体で継続して考えていかなければならない問題であるといえるでしょう。

(川島 英雄/弁護士)

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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