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営業女子(エイジョ)が、未来の「働き方」を変えるーー7社の営業職女性が経営層にプレゼンーー「新世代エイジョカレッジ」最終報告会レポート

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今年6月にスタートした「新世代エイジョカレッジ(エイカレ)」が、半年間の集大成を迎えた。「エイカレ」とは、異業種7社の営業職女性たちによる合同プロジェクト。半年間のグループ活動を通じて、営業現場の課題を分析・検討する。参加メンバーは半年間の成果として、「営業で女性がさらに活躍するための提言」を各社経営層に対してプレゼンテーション形式で提案した。

営業職に特化した、異業種合同での女性活躍推進プロジェクトは、日本初の試み。KDDIからも4名の女子社員が参加している。11月19日、リクルートホールディングス本社で行われた最終プレゼンは、熱気に満ちていた。今回は、その模様をレポートする。

なぜ営業現場には、女性リーダーが少ないのか

プロジェクトはリクルートホールディングスとサントリーホールディングスが発起人となって始動した。KDDIのほか、日本アイ・ビー・エム、三井住友銀行、キリンホールディングス、日産自動車が参加し、各社から選出された営業職の女性社員29名が、5つのチームに分かれて、営業職における女性のキャリア課題を議論する。メンバーは、6月のキックオフ合宿、7月のチームアップミーティング、10月の中間報告会を経て、11月19日、経営層への最終プレゼンに臨んだ。

あらゆる業界・業種に「営業」は存在している。にもかかわらず、営業職で女性管理職が生まれづらいのはなぜか。長時間労働や全国転勤、顧客に合わせる商習慣など、理由は多岐にわたる。結婚・出産などのライフイベントと「働き方」を結び付けて考える女性にとって、営業現場でリーダーを目指すのは、なかなか難しい。上司の側が、女性社員に遠慮して、難しい課題を与えないケースもある。一方、多くの企業は、管理職へのキャリアパスとして「営業経験」を重視している。営業で女性が活躍することは、意思決定に関わる女性リーダーを増やすことにもつながる。

「新世代エイジョカレッジ」の講師を務めた佐々木裕子氏

「営業で管理職を目指す女性が少ないのは、どうしてだろう」「まずは営業を続ける女性の母数を増やすのが重要では?」

参加した女子社員は、毎週のように議論を重ね、営業現場の課題をブラッシュアップしてきた。半年間の講師を務めたのは、「変革」デザイナーとして活躍する佐々木裕子氏。漠然とした将来の不安を抱える彼女たちに、「何が不安なのか」「なぜ不安なのか」を問い返す。悩みの「本質」を突き詰める佐々木氏の問いかけに、「初めて自分のキャリアと深く向き合った」というメンバーも多い。

現状を客観的に把握するため、管理職として働く女性への聞き取り調査や、社内アンケートを実施したチームも多い。プレゼン資料には、データを基に議論された課題と、その解決策が並んだ。

プレゼンは10分間で、チームの1人が壇上に立って行う。その後18分間は、経営陣からの質疑応答だ。質疑応答には全員で対応するため、1人1人がプレゼンの内容を熟知していなければならない。半年間、培ってきたチームワークも試される。

経営陣は、プレゼンの内容と質疑応答への対応から、「提言内容には納得度があるか」「実現性はあるか」「論理構成はしっかりしているか」などを評価し、優勝チームを決める。質疑応答では、営業女子たちと経営層が、丁々発止でやりあう場面もあった。

「営業で女性がさらに輝くためには?」エイジョたちによる多彩な提言

「新世代エイジョカレッジ」最終報告会の様子

「営業で女性がさらに輝くために」という大テーマのもと、5つのチームが出した提言はバラエティに富んでいた。その一端を紹介しよう。

チーム「ワーマノミクス」は、営業職として働き続ける女性の割合が、男性と比べて低い点に着目。入社10年後に、「営業女子」の割合が、配属直後の10分の1まで減る企業もあるというデータを示した。なぜ、女性たちは営業現場を離れてしまうのか。ヒアリングの結果、結婚・出産などのライフイベントが重なる「入社4~10年目」に、転機が訪れるケースが多いことが分かった。

「スキルアップもしたいけれど、家庭も重視したい女性にとって、30歳が近づく入社4~10年目が『カギ』なんです」。共働き世帯であっても、家事分担割合は「妻が約9割」というデータも提示。労働時間の無駄を洗い出し、「効率的に目標を達成した社員が、きちんと評価される仕組み」を作るべきだと提言した。新たな人事評価の方法も考えた。

「Team 1+5」は、営業職の「移動時間」に着目。営業女性たちの「1日のスケジュール」を分析したところ、お客さまへの対応のほかに、自宅から会社、会社から取引先、取引先から会社など、「移動」の占める割合が多いと分かった。子どものいる女性は毎日、約6時間を家事育児に使っている。営業の醍醐味である「お客さまとの時間」を大切にしながら、効率的に働ける仕組みを、「サテライトオフィス」という形で提案した。

各社の経営陣からは、次々と質問が飛ぶ。「移動時間の効率化は、長年、営業現場が考えてきた課題。サテライトオフィスという案は新しいが、セキュリティ上の問題をどう解決するのか?」「サテライトオフィスには、自治体の施設を使わせてもらってはどうか」。営業女子と本音でディスカッションをするうち、経営層からは、「それなら実現できるかもしれない」との発言も出た。

中間報告会を経て、提言内容をブラッシュアップ

10月に行われた中間報告会

10月に行われた中間報告会では、各社の部長クラスに対し、プレゼンを行った。その際に受けたフィードバックを、具体的な提言に落とし込んだチームも目立つ。「営業女子の課題は理解できた。それを解消する仕組みは何?」「提言には、もっと現場のリアルな声を反映してもよいのではないか」。

中間報告から議論を重ね、「支社と本社の関係」に着目したのは、関西地方のメンバーで構成されるチーム「関彩∞(カンサイエイト)」だ。地方に配属された「営業女子」たちは、本社よりも女性が少ない中、ロールモデルの不在に悩む例が多かった。「結婚や出産もしたいが、いつ異動があるか分からない。このままの働き方でいいのか」「そもそも営業女子が少ない中、きちんと能力を高められているのか不安」。支社のマネージャーたちは、数少ない女性社員に期待する一方、女性ならではの、こうした悩みを把握するのは難しい。

「支社で働く営業女子たちの不安」を解消し、前向きにキャリアを考えてもらう方法はないのか。チームが提案したのは、短期間、本社へ”留学”し、研修する制度だ。研修で得られた知見を支社へ持ち帰り、後輩女性たちに伝えてもらう。支社勤務の女性たちが「横のつながり」を作りやすくする仕組みも考案した。経営層からは、「支社と本社の関係は、経営にとって大きな課題。各拠点のネットワーク作りは、海外展開を進める企業にとっても参考になる」とのコメントもあった。

議論を重ねて見えてきた、「働き方を変えること」の重要性

各チームのプレゼンに共通するのは、「営業職の働き方を変える」ための方策だ。長時間労働に加え、夜遅くから始まる会議。子どもがいる女性社員は、20時に会社を出ていては間に合わない。生産性を高め、18時に帰れるようにしたい。そうすれば、19時までの延長保育に間に合う。「18時からの2時間を短縮できることが、ワーキングマザーにとってはとても重要なんです」と、データを示して経営層をうならせたチームもある。

いずれのチームも、女性が家庭との両立を図れるよう、働き方を変えるシステムを提案した。一方で、「営業は自分たちの能力を生かせる仕事。スキルアップして、会社に貢献したい」との思いもアピールした。「多くの女性が長く働きやすい環境を作れば、おのずと女性リーダーも生まれる。経営層には、そのための仕組みづくりをしてほしい」というメッセージは、真っ直ぐに届いたようだ。役員からは、「どのチームも、プレゼンの完成度が非常に高く、よく練られている。本当に勉強になった。提言の内容を、ぜひ経営に生かしたい」との声が相次いだ。

ともすれば”掛け声倒れ”で終わりがちな、「女性の活躍推進」や「ダイバーシティの推進」。6カ月間の試行錯誤を経て、営業女子たちは、これらのスローガンを上辺だけのものではなく、「自分ごと」として捉えることができた。「どうすれば、もっと希望をもって働き続けられるのか」「私たちには、何ができるのか」。経営層への提言を経て、メンバーたちは着実な一歩を踏み出した。

次回は、「新世代エイジョカレッジ」の最終レポートとして、KDDIからの参加メンバー4人へのインタビューを掲載する。

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KDDI HP(ダイバーシティの推進)
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