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幸楽苑の290円中華そば 経営圧迫しても止められない事情

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 11月末、ラーメンチェーン・幸楽苑(本社・福島県郡山市。東日本を中心に国内外に500店舗以上を展開)の「290円中華そば」が消滅するとの情報が走った。

 発端は11月27日の同社決算説明会での新井田傳社長の発表。10月に岡山でオープンした店舗で地域限定販売した「醤油らーめん」(520円)の売れ行きが好調なことから、全国に販売エリアを拡大すると報告。

 その一方で、290円の「中華そば」は人件費や光熱費が高騰している現状では「限界に来ている」として、今後は試験的に販売しない店舗を導入するなど販売中止も視野に入れていることを明らかにしたのだ。これが「290円ラーメンが消える」「実質値上げ」などと大きく報じられたのである。

 実際には、あくまでの一部店舗での試験的な中止であり、グループ全体から290円中華そばが消えるわけではないとのこと。しかし、290円中華そばの利益率が低いことは確かであり、経営を圧迫しているともいわれている。

 いわば、290円中華そばが“足を引っ張っている”という状態なわけだが、それでもすぐに販売中止というわけにはいかない事情がある。

「『290円』の安さに惹かれて来店されるお客様も多く、その影響でセットメニューが売れるなど客寄せ効果は無視できない。現在の注文率は18%。5人に1人が注文する人気商品に変わりありません」(都内店舗の従業員)

 一方で同社は低価格重視から価値重視への路線変更を模索中でもある。

 幸楽苑は昨年10月、30%増量した「新餃子」を190円から200円に値上げして販売した結果、注文率は8%アップした。また、「肉中華そば」や「鶏白湯らーめん」など「590円」の商品ラインナップを導入したところ、中華そばの注文率は30%から22%に下がり、客単価も昨年上期の595.2円から625.6円と30円ほど増えた。

「昨年末に、『牛すき鍋膳』という高価格帯商品を導入した吉野家さんが業績を伸ばしていることに注目しました。もはや低価格だからお客様が来るという時代ではないとの意見が社内にあることも事実です」(同社・広報担当)

 だが転換は簡単ではない。外食ジャーナリストの中村芳平氏が語る。

「牛丼チェーンの『すき家』が吉野家に追随する形で高価格帯の『牛すき鍋定食』を販売したところオペレーションが煩雑になり、従業員1人で店内を切り盛りさせるワンオペ体制が崩壊する騒動が起きました。中華そば販売中止による人件費のコストアップは多くないにしても、メニューの書き換えなどの費用は決して小さくありません」

 特に幸楽苑では全店舗に「中華そば」と大書した看板を掲げている。改装費用はどの程度になるのだろうか。

「仮に全店舗の看板を掛け替えることになれば約7億円かかります」(前出・広報担当)

 幸楽苑の2014年3月期の営業利益は約9億円。看板を掛け替えるだけで利益の大半が吹っ飛んでしまう。

※週刊ポスト2014年12月19日号


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