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ベネッセ初の希望退職募集、経営にもたらす功罪

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ベネッセ、希望退職者募集へ。顧客情報流出の影響で

報道によれば、通信教育大手のベネッセホールディングスは2日、グループ約40社で300人程度の希望退職者を募ると発表しました。希望退職者の募集は1955年の創業以来初めてのことだそうです。ベネッセは個人情報が大量に流出した問題の影響などで業績が低迷することから、人員削減が不可避と判断したとされています。

ベネッセの旧社名は「株式会社 福武書店」。もともとは文芸誌の出版をしていた会社でした。1990年代から多角化を進め「教育・語学・生活・福祉」の分野を中心に事業を展開してきました。2000年には東証1部に上場も果たし、2014年3月期の売上は、連結ベースで4663億円に達しています。

ベネッセは今年7月、外部業者が不正に情報を持ち出していたことにより3500万件の顧客情報が流出したことを発表しました。「おわび」として500円相当の金券を送りましたが、被害にあった顧客は「賠償額として低すぎる」として、損害賠償を求める方向です。

業績的には短期間でプラスの効果を期待できる

バブルが弾けて以降、多くの会社が倒産の危機に直面し人員削減を行ってきました。人員削減の代表的なものは「整理解雇」ですが、労働基準法上「解雇」は企業側にとって要件が厳しいため、「解雇」を避けるために実施されてきたのが「希望退職」です。希望退職は会社と本人の合意で雇用契約を終了させるため、後々のトラブルとなる可能性は低いといえるでしょう。

また、希望退職はその条件として、通常退職金の割り増しを行います。このことは、会社にとっては一時的な金銭的負担が生じますが、退職後は人件費総額が減りますので、業績的には短期間でプラスの効果を期待できるというメリットがあるのです。

優秀な人材、必要な人材までもが退職してしまうリスクも

一方で、経営側にとっては、希望退職で優秀な人材が流出してしまうデメリットがあります。希望退職者を募るために条件を良くすると、優秀な人材、必要な人材までもが退職してしまいます。

また、労使双方の合意の上とはいっても、従業員の士気に与える影響は否定できません。さらに、大手企業であれば、退職する社員やその家族、親族を含めると何らかの形で会社の顧客であることは多いでしょう。よって、顧客を失うデメリットもあるかもしれません。

今回のベネッセの件では、顧客情報の流出問題で前社長ら経営陣の多くが引責辞任することで、現社長の原田氏に権限が集中することとなりました。上記の一般的なメリット・デメリットの他に、原田氏が大ナタを振るって事業変革を一気に進めようとしていることも背景にあるものと思われます。

(西谷 俊広/公認会計士)

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