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前立腺肥大合併症の尿道狭窄症 口腔粘膜を代替に使う再建術

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 高齢化の進行に伴い、前立腺肥大と前立腺がん患者が急増している。早期では薬物や放射線治療が可能だが、重症例は手術となる。手術治療後の5~10%に起こる合併症が尿道狭窄(きょうさく)症だ。

 尿道狭窄症は尿道の内腔が狭くなり、排尿しづらくなる。最悪の場合、尿がまったく出なくなる病気だ。以前は交通事故や労災による外傷や細菌感染が主な原因だったが、労働環境の整備や抗菌薬の進歩により、これらの原因は減少している。代わりに前立腺治療や膀胱がん、尿路結石に対する経尿道手術を受けた後など、医療行為の後遺症として起こる例が増えている。

 尿道狭窄症に対しては、金属の棒での尿道拡張(ブジー)やステント留置といった比較的簡便な治療と、尿道内視鏡で直接患部を見ながら、狭窄部を切開する内尿道切開術が行なわれる。しかし、これらはあくまで対症治療であり、90%近くは再狭窄する。再狭窄すると簡便な治療では効果がないだけでなく、狭窄を悪化させる場合もある。海外では、近年尿道再建術が標準治療となっている。

 防衛医科大学病院泌尿器科の堀口明男医師に話を聞いた。

「尿道再建術は、皮膚や膀胱粘膜を使うことが多いのですが、私は口腔粘膜を代替組織として使用しています。頬の内側の粘膜を最大5×4センチ程度採取します。狭窄した尿道にスリットを入れ、そこに採取した口腔粘膜をパッチとして縫い合わせ、尿道の内腔を広げます。これがオンレイ法です」(堀口医師)

 10センチを超える長い狭窄では、1回目に口腔粘膜を尿道に縫い合わせて生着(せいちゃく)を待ち、半年から1年後に筒状に尿道を形成するマルチステージ法を行なうこともある。

 口腔粘膜は厚くて丈夫な上に採取が容易で、しかも粘膜下層が薄いので血流が早く回復し、生着しやすいというメリットがある。また、日頃から口内細菌に接しているため感染に強い。

 前立腺治療後の原因不明の排尿障害は、尿道狭窄症の可能性が高いので、専門医の受診が欠かせない。

■取材・構成/岩城レイ子

※週刊ポスト2014年12 月12日号


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