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居場所を求めた私に、旅が教えてくれた「地球はひとつ」ということ

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Satomi「2010年の年越しをベルリンのブランデンブルク門の前でするための旅」より

「旅」と聞かれたら何を想像しますか? 見たことない景色を見て、文化の違いを感じて、美味しいものを食べて、お土産を買って、また次の旅を想像する……。そういうイメージが浮かぶ方は多いかと思います。

私にとって旅とは、成長の通過点であり地球市民になるための材料集めです。地球市民とは、人間はみんな国籍のある国だけではなく地球に住んでいるという考え方で、他の国の出来事を同じ地球市民として、良いニュースは喜び、悪いニュースは悲しんだり、自分に何が出来るのか考えたりする人であることだと思っています。

そして、地球市民になるためには条件が2つあって、客観的に物事を見る、考えるということと「日本人である」ことを忘れるということです。わたしがなぜ「地球市民」を目指そうと思ったのか。それには旅で得た経験が、大きく関係しています。

きっかけは「居場所が欲しかった」

旅の話をする前に、少しだけ昔話をしたいと思います。

私は東京生まれ、東京下町育ち。初めての旅行でグアムを訪れるまで日本を離れたことはありませんでした。物心のついたころから両親から「思ったことは口に出せ」という教育を受けてきました。今では両親からのこの教えに、とても感謝しているのですが、高校生までは友人との関係がとても苦手で、「空気の読めない」人としてクラスでも浮いた存在となり、特に夢中になることもなく、毎日を過ごしていました。

Ikkoshi Ota「ワイヘキ島」より

ですが、高校二年生の時、初めての短期アルバイトで、ある友人と出会いました。彼女はスイス在住のハーフで、5か国語を話せる子で、当時の私は衝撃を受けました。

彼女を通して、英語が世界共通語であることを始め、バイリンガルやトリリンガルは珍しくない、同じ国に住んでいても様々なルーツを持った人がたくさんいるなど、知っているようで知らなかった世界が一気に拓け、私の中で日本以外の世界に灯りがついたようでした。

「我慢しないで、楽しく過ごせる世界がどこかにあるかもしれない」。彼女との出会いは、これがはじめの一歩を踏み出すきっかけとなりました。

“当たり前”が“当たり前”じゃない世界

それから私が旅に出たのは2年後の春、大学入学前に、そのスイスの友人に会いにジュネーヴへ10日間行きました。初めての一人旅に初めてのヨーロッパ。大きなモールへ行ったり、長距離バスで世界遺産を見に行ったり、友人が学校に行っている間に一人で探検をしたり。何もわからないなりに前へ進む経験が、とても刺激的でした。

Mutsuki Ito「スイス 〜アルプスの大自然を巡る旅〜」より

新しい経験と共に新しい発見もありました。スイスでは夜8時近くになると閉店し、日曜日定休のお店がかなり多いこと、夕食は家族そろって食べる家が多いこと、夜中には人通りが少なくなること……。日本では一部のお店は24時間営業ですし、終電が深夜2時まであり、たくさんの人が夜中まで外に居る日本とは大きく異なることでした。

たったの10日間の滞在でしたが、今まで日本で生活をしてきて「当たり前」だと思っていたことがこんなにも違うことに驚きました。もっと多くの町に行きたい、もっとたくさんの人と出会いたい。今まで知らなかったことを、地球の裏側で起こっていることも出来る限り多く知りたい。これが旅の楽しさを知った瞬間でした。

見えない境を取っ払ってみよう

tabitabi parsley「TRIP IN ITALY Rome

次に私が旅に出たのは最初の旅から2年半も経っていました。6カ国15都市を周るプランを立てスイスから出発しました。小さい国、大きい国、歴史の長い国、福祉が充実している国、物価の高い国、低い国など、たったの3週間でしたが、それぞれカラーのある国々を周りました。

大きなハプニングはなかったものの、スケジュール通りに次の目的地にちゃんと行けるのか不安で、なぜ大金を使ってまでこんな思いをするのかと、ネガティブになっていた時もありましたが、旅を終えた私は、なんだか心に潤いが増したように感じました。今まで教科書や本でしか見たことのなかった風景が目の前に広がり、同じ地域の国々なのに、ひとつひとつ違った歴史背景や雰囲気を感じさせ、本当の姿を見ることができたような気がしました。さらにシェンゲン協定のおかげで国から国へ移動した、という実感がなく、私自身ももはや自分が何人なのか忘れ、世界に放り出されたように感じました。

そしてふと、今まで学んできたことを思い出しました。国境なんて見えない境目があるおかげで、隣近所の家族と家族が敵同士になる。同じような顔をして同じようなルーツでここにいるのに、その見えない境目のせいで争いになる。権力のある人間のせいで元々ひとつだった地域が分断され、悲しい思いをする人達が大勢いることに、とても胸が痛みました。

心の中だけでも境目を無くし、より多くの問題を客観的に見つめ、人々と会話をすることが今の時代を生きる上で大切なことだと思ったのです。

Shohei Watanabe「EU加盟前のポーランド アウシュビッツ強制収容所で想う。

ヨーロッパでは、CNNやBBSのような国際的なニュース番組が放映され、ヨーロッパだけでなく全世界であったニュースを伝えています。もちろん、インターネットが十分普及している日本でも、それらのニュースは見ることが出来ますが、自分から探さなければたどり着けません。ですがテレビであれば、気に留めていなくてもボタンひとつで、自然と目や耳からニュースが入ってきます。この違いは、大きなことだと思います。

彼らは関わりのある国で起きた出来事だけを伝えているのではなくい、同じ地球に住む人間に起こった出来事を流していて、そこに国境は関係ないのです。

楽しむだけが旅じゃない、沢山学ぼう

人は物事を考えるときに、自分の軸を土台にして発言したり考えたりします。これは普通のことです。しかしその軸が一本でも二本でも増えたら、同じできごとに対して、違った視点から見ることができるのではないでしょうか。例えば2度の世界大戦、9.11、イスラム国、アメリカ大統領選挙などなど、安易に善悪を決められないことに対して、です。

もし、自分の行ったことのある国の出来事について、自分の見た場所や世界遺産について、友人の住む国について考えるべき場面に遭遇したならばどうでしょう。自分とは異なった意見も理解し、その上で親身に考えることで今見えている世界はより輝くのではないでしょうか。

Photo Credit: *MarS via Compfight cc

私が旅へ出たきっかけは「居場所を見つけに行くため」でした。しかし、これまでの旅を通し、どこに居ても楽しいときは楽しいしつまらないときはつまらない。環境に文句をつけるのではなく、すべては自分次第でどうにでも捉えられると実感しました。

居心地のいい場所から離れるのには、いつも勇気が必要です。しかし敢えて一歩踏み出すことで今までない素晴らしい経験と共に新しい世界が見えてくるかもしれません。

(ライター:永野桃)

*Satomi「2010年の年越しをベルリンのブランデンブルク門の前でするための旅
*Ikkoshi Ota「ワイヘキ島
*Momo Nagano「のんびり10日間女一人旅【スイス・ジュネーブ(Geneva, Switzerland)】

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