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地方の空き家解決の一助となる新型リバースモーゲージとは

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人口の減少や空き家の増加など、地域が抱える課題に積極的に取り組み、支援を行う常陽銀行(本店・茨城県水戸市)。2013年9月から開始した新型のリバースモーゲージと、2014年10月から始めた土浦市との連携による「まちなか定住促進ローン」について、その反響を聞いてみた。持ち家を人に貸し、賃料でローンを返済する日本初のリバースモーゲージ

常陽銀行では、地方銀行として地域が抱える重要課題に対応するため、本部内に「地域協創部」を設置し、さまざまな取り組みを始めている。その一つとして、2013年9月から、「常陽リバースモーゲージローン『住活スタイル』」の取り扱いを開始した。

これは、今までにない新しいタイプのリバースモーゲージだ。従来のリバースモーゲージは、持ち家を担保に融資を受け、死亡後にその持ち家を売却するなどして一括で返済するのが一般的。しかし、常陽リバースモーゲージは、住み替えを希望する人に対し、持ち家を借家にして、その賃料を担保に融資を行い、賃料収入でローンを返済するというのが大きな特徴だ。日本の金融機関では初めての「賃料返済型リバースモーゲージローン」となっている。

リバースモーゲージは、持ち家はあるものの手元の資金に余裕がない高齢者などが、その持ち家を利用して融資を受け、生活費やゆとり資金に活用できるというメリットがある。しかし、一般的なリバースモーゲージでは、自宅を担保に融資を受けるため、融資後に不動産価格の下落や金利の上昇があった場合、また予想以上に融資期間が長期化した場合にも、担保=不動産評価額以上の融資が受けられず、早めに契約が終了してしまうリスクもある。また、死亡後に自宅を売却して一括返済するため、相続時にトラブルになることもあるという。カウンセリング、住宅の審査・耐震診断などを経て賃料や融資額が決まる

一方で、常陽銀行の賃料返済型リバースモーゲージは、住み替えを希望する人が、自宅を売却することなく保有し続けるため、子どもなどに自宅を残すことができる。空いた家を人に貸して、その賃料でローンを返済するため、融資で受け取るまとまったお金は住み替え先の購入資金やリフォーム資金、高齢者施設への入居一時金に充てるなど、自由に使うことができる。

利用者は、JTI(一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)と長期借家契約を結び、そのJTIが間に入って入居者と3年ごとの定期借家契約を交わす仕組みのため、借り手を自分で探す必要はない。JTIは、移住や住み替えを希望しているシニア層などの住宅を借り上げ、子育て世代などに転貸する事業を行う非営利法人。この「マイホーム借上げ制度」によって、中古住宅市場の活性化や空き家問題の解決にも貢献している。

JTIのこの制度を利用した常陽銀行のリバースモーゲージは、最低家賃保証が付いており、その賃料を担保にローンを実行。賃料でローンを返済するため、利用に際してはJTIによる住宅の審査(耐震チェックなど)があり、それによって融資額の上限が決まる(5000万円以内)。また、通常のJTIの制度では、原則として50歳以上の人を対象としているが、常陽リバースモーゲージでは契約時の年齢が20歳以上から利用可能。若い世代の住み替えニーズにも対応している。

【画像1】常陽リバースモーゲージローンの利用イメージ(画像提供:常陽銀行)

取り扱い開始から1年2カ月がたったところで、常陽銀行の地域協創部・担当部長の池田重人さんはこう話す。「この商品は、申し込みを受け付けてから、登録、カウンセリング、JTIによる予備審査・耐震診断を経て、銀行の本審査となり、場合によってはリフォームなどの必要も出てくるため、融資の実行までに時間がかかります。申し込む方も、自宅は売却したほうがいいのか、通常の賃貸がいいのかと比較しながら検討されるため、意思決定にも時間を要するでしょう。そのため、今のところ利用予定者は10件程度です」

このリバースモーゲージは、住み替え先が常陽銀行の営業地域内であれば、元の住まいは全国どこでも利用可能。今後、認知度が高まれば、申し込みや問い合わせも増えてくることが予想される。実際に、転勤などが多い企業からも注目されており、転勤により空いた自宅をどうするかという社員からの相談に対し、福利厚生の一環として、本制度を取り入れる会社も出てきているという。土浦市と連携した「住み替えプラン」「空き家活用プラン」にも注目したい

常陽銀行は、土浦市が取り組む中心市街地活性化に関して連携協定を結び、2014年10月から「土浦市まちなか定住促進ローン」として3つの商品の取り扱いを開始した。そのうち、「住み替えプラン」と「空き家活用プラン」は、先に紹介した「常陽リバースモーゲージローン『住活スタイル』」を活用している。

「住み替えプラン」は、土浦市の内外から、土浦市の中心市街地エリアに転居する人が対象で、「空き家活用プラン」は、土浦市の中心市街地エリアに住宅を保有する人が、住み替えを希望する場合に利用できる。どちらも常陽リバースモーゲージローンを利用して転居前の持ち家をJTIが借り上げ、その家賃を返済に充てる。JTIの制度が利用可能なことが条件で、融資金利は店頭金利から1.0%引き下げの特別金利となる(取扱期間は2019年3月31日まで)。

3つ目の「住宅取得プラン」は、土浦市の中心市街地エリアに住宅を購入、または建て替えをする人向けの融資で、常陽銀行の住宅ローンを店頭金利から1.6%引き下げで利用できる。こちらは土浦市の助成として、一定の補助金も受け取れる。

【画像2】「土浦市まちなか定住促進ローン」活用イメージ(画像提供:常陽銀行)

こうした常陽銀行の取り組みに対し、地元の反応はどうなのだろう。前出の常陽銀行・池田さんによると「開始からまだ1カ月程度のため、個人からの問い合わせはそれほど多くはありませんが、移住を考えている方からの問い合わせなどは来ています」と話す。さらに、「ほかの市区町村や不動産関連業者からの問い合わせが多い。特に、不動産関連業者はこうしたローンの仕組みなどに、興味を持っていることがうかがえます」。住み替えに伴う資金調達や、相続税対策にも有効

地方都市では、人口の減少と高齢化、空き家の増加などが大きな問題となっているが、常陽銀行の新型リバースモーゲージは空き家の有効活用の一つとして、ぜひ注目したいところ。折しも、2015年からの相続税の改正によって、親の持ち家を相続する子ども世代は、これまでよりも課税対象者が増えたり、税負担が重くなったりする。しかし、生前にその持ち家を賃貸住宅にしておくと、相続時の評価額は減少するため、相続対策としても役に立つ。

土浦市との連携で行っている市の中心エリアに定住者を集める試みも、コンパクトシティの実現によって行政サービスの効率化やアップが期待でき、高齢者を含めた幅広い世代に向けての安心で住みよい街づくりの一助になるだろう。

住み替えに伴う資金面の解決と、住宅活用の選択肢を増やすためにも、このような取り組みが広く普及し、多くの地域で利用できるようになることを願っている。●常陽銀行 常陽リバースモーゲージローン「住活スタイル」
HP:http://www.joyobank.co.jp/personal/loan/reverse_mortgage/lp01.html
●土浦市まちなか定住促進ローンの取り扱い開始について
HP:http://www.joyobank.co.jp/news/pdf/20140924_03.pdf●「実家の教科書bySUUMO」“親の家は、将来どうしたらいいのか?”を、
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元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/12/04/74377/

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