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南米チリの「資源争奪戦」に立ち向かう日本企業 サーモンにワイン、銅…

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南米のチリは、イースター島のモアイ像やアンデス山脈など観光資源が豊富で、1990年代から始まった貿易の自由化政策によって世界一の輸出大国となっている。

2014年12月1日放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)は、チリのジャパンプロジェクトを紹介。サーモン養殖や銅鉱山採掘など、日本が現地で技術協力し産業を育ててきたチリの輸出品が、中国をはじめとする世界中で奪い合いになっているという。
「養殖から加工まで」直接関与しているのが強み

日本国内で流通する輸入サーモンの6割をチリ産に頼っているが、この価格が上昇している。ウクライナ問題の経済制裁の影響で、ノルウェー産のサーモンがロシアに輸出されず、代わりにチリ産のサーモンがロシアへ渡ってしまうためだ。

それでも日本には、安定してサーモンを確保できる道がある。チリ南部のプエルトモントでは、1988年から日本水産がサーモンの養殖業を行い、年間2万トンを出荷している。養殖場は海上にあり、日本人好みの味になるよう特製のエサを使い、味・形など最高のDNAをもつ親魚から卵を採って養殖を行っている。

もともと南半球にサーモンはいなかったが、42年前、日本政府の支援により一から養殖への挑戦が始まった。最初は稚魚を川に放流しても戻ってこないなど失敗が続いたが、17年かけてようやく成功し、チリに新たな産業をもたらしたのだ。

刺身の加工場を案内してくれたニッスイの責任者は、「単なるバイヤーでその都度買うのではなく、養殖から加工まで自社でやっているのが強み」と誇らしげに説明した。

他にも、気候風土がワインの生産に向いており、輸出先は日本が第3位。現在5位の中国は昨年赤ワインの消費量で世界第1位になり、今後奪い合いになる可能性があるという。
鉱山で働く20代の女性「日本人ならやっていける」

また、チリは銅の産出がダントツの世界第1位で、世界全体の3割を占めている。日本が輸入する銅の半分はチリ産だ。銅は電気を最もよく通す物質のため、電線のあるところに銅は欠かせない。しかしチリでは、4年前の鉱山事故「奇跡の救出劇」以来、安全性が見直されて操業停止となる鉱山が続出。簡単にとれる銅鉱山は減少している。

そんな中、アンデス山脈の標高4600メートルの場所に、日本が開発を手掛けるオールジャパンのプロジェクトが動いている。JX鉱日石金属はじめ日本企業3社が所有する、カセロネス銅鉱山だ。

平地に比べて酸素が60%ほどの過酷な地で、鉱石1トンあたり銅は3.5キロしかとれないが、ここでは日本の年間輸入量の約1割、18万トンを生産している。プロジェクトリーダーであるJX鉱日石金属の香月達也さんはこう語る。

「こういう厳しい所では、日本の企業の技術が生かされる。他(の国)にはできなくても、日本ならできる」

2000人のチリ人が働くベースキャンプに、入社5年目でJX金属初の女性地質調査員・上田祐子さん(28)がいた。上田さんの仕事は、東京ドーム7000個分という広大な鉱山の中から、銅の含有量が多い場所を探し出すことだ。
勝利の秘訣は「日本式の技術協力」

「大元になるデータが分からなければ、何も分からず目隠しした状態で掘ったり選別したりしなければならない」――。上田さんがそう語っていると、山から突然落石があった。大事には至らなかったが、危険と隣り合わせの職場だ。それでも上田さんは、「辛くて帰りたいというのはなくて、楽しいばかり」と笑顔で話していた。

チリ人従業員たちにも可愛がられ、自室ではSNSで日本の友人と会話し、それほど寂しさは感じずに済むようだ。何より、銅山で要の仕事を担う誇りがあるからこそ充実感がある。

番組ナビゲーターの太田泰彦氏(日本経済新聞社・論説委員兼編集委員)の解説によると、中国やインドとの銅の争奪戦はこれからが本番で、それだけに「日本がいち早く銅山を保有していることは大事」とのことだ。

チリはTPP(環太平洋経済連携協定)に2006年当初から加入しており、TPP域内で「第2のチリ」を日本式の技術協力で開拓することも、争奪戦に勝つ秘策だと太田氏は話した。候補はベトナムやペルーというが、現地社員の姿を見ていると、どこであっても新しい産業の基盤づくりに日本人が役立つことができるだろう、と頼もしく感じた。(ライター:okei)

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