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パトカーの追跡中に、追跡されていた車両が事故を起こしたら?

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 報道によれば、11月30日午前2時ごろ、和歌山県の県道交差点で軽乗用車がタクシーと衝突し、タクシーの後部座席に乗っていた乗客の会社員が全身を強く打ち死亡、タクシー運転手と軽乗用車の男性も頭を強く打つなどして重体とのことです。
 岩出署の発表では、事故当時、軽乗用車はパトカーに追跡されていたそうです。ふらつきながら走行している軽自動車をパトカーが発見し、停車を求めたものの応じなかったため、赤色灯を付け、サイレンを鳴らしながら追跡していたところ、軽自動車は現場の交差点に赤信号を無視して進入し、右から来たタクシーの左側面に衝突したという状況のようです。
 このような場合、事故に巻き込まれて被害を受けた人は、損害を誰に請求することができるのでしょうか?

 まず、当然のことですが、衝突してきた自動車の運転手に、不法行為に基づく損害賠償請求をすることができます(民法709条)。

 では、警察に対して損害賠償請求をすることはできるのでしょうか?
 この場合は、警察を所轄している都道府県を相手に国家賠償請求を提起することになります(国家賠償法1条1項)。
 国家賠償請求が認められるためには、
(1)公務員が、
(2)その職務を行うについて、
(3)故意又は過失によって、
(4)違法に他人に損害を加えた場合
である必要があります。これらの要件の中で特に問題となるのが、(4)「違法に」他人に損害を加えた場合にあたるか、です。

 今回の事故と似たようなケースで、パトカーが速度違反をした車両を追跡していたところ、追跡された車両が追突事故を起こし、第三者に大けがを負わせた事件において、判例は「追跡行為が違法であるというためには、右追跡が当該職務目的を遂行する上で不必要であるか、又は逃走車両の逃走の態様及び道路交通状況等から予測される被害発生の具体的危険性の有無及び内容に照らし、追跡の開始・継続若しくは追跡の方法が不相当であることを要するものと解すべきである。」としています(最判昭61年2月27日)。昭和61年の事件については、追跡の必要性があったこと、午後11時頃の道路状況においては追突事故の発生は予測できなかったこと、追跡の方法も危険を伴うものではなかったこと、を理由にパトカーの追跡行為に違法はなかったとしています。判例から考えると、パトカーの追跡行為が違法であると判断されることは、滅多にないように思われます。

 年始年末はいつも以上に交通量が増え、また飲酒の機会も増えること等から、交通違反車両が増加する傾向にあるそうです。
 このようなケースに遭遇する可能性があることを念頭に入れて、外出の際はくれぐれもご注意ください。

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パトカーの追跡中に、追跡されていた車両が事故を起こしたら?

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