グッドデザイン賞受賞!食べ物付き情報誌「東北食べる通信」がヒットする理由

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お店で食材を選び、調理をし、食事をとる。私たちの多くが日常的に行なっていることだが、実際その食材を、誰がどこでどのように生産したのか、詳しく知っている人はほとんどいない。

そんな生産者と消費者の間に立ちはだかる高い壁を取り払い、新たな価値と交流を生み出しているのが、2014年度グッドデザイン賞金賞を受賞した『東北食べる通信』だ。

2014-01

~“食べ物付き情報誌”が東北から全国へ~

『東北食べる通信』は、“食べ物付き情報誌”という新しいスタイルを掲げ、毎月東北各地の生産者たちの特集記事とともに、彼らが収穫した自信の一品をセットで届けるサービス。

ただの“付録付き雑誌”ではなく、生産者と消費者を結ぶ役割を果たしており、今東北から全国各地に広まりつつあるという。

そのヒットの理由と今後のビジョンを伺うべく、今回は、『東北食べる通信』を運営するNPO法人東北開墾事務局の阿部正幸氏にインタビューを行なった。

~生産者と消費者の新しいコミュニティーを~

Q1. 『東北食べる通信』をスタートされたきっかけと、これまでの経緯について教えてください。

NPO 法人東北開墾の代表理事の高橋博之は、岩手県議会議員を2期務め、震災後政治から一次産業を支援する実業家へと転身しました。

ボランティアに通い、実際に生産者などと交流を深めるうちに、生産者の社会的地位を上げるには、都市と地方をかきまぜ、生産者と消費者が直接関わることのできる新しいコミュニティーの形成が必要であると確信。

NPO 法人東北開墾を創設し、史上初の食べ物つき情報誌『東北食べる通信』を創刊しました。

~メインは食べ物を作っている“人”

Q 2.『東北食べる通信』の内容について、ご説明いただけますか。

『東北食べる通信』は、生産者と消費者を出会わせる「お見合い」を意識しています。

生産者を身近に感じてもらえるようなインタビュー記事、付録である生産物を使ったレシピなど、多くの人が力まずに楽しむことができることのできる情報を提供し、食の世界が「自分のこと」になることを狙っています。

今までも、生産者の紹介の紙1枚と新鮮な野菜詰め合わせをお届けというサービスはありましたが、『東北食べる通信』のメインは食べ物を作っている“人”の情報です。

~SNSで直に交流~

Q3.どのように生産者と読者はコミュニケーションをとっているのですか?

両者は、専用のFacebookページを通して交流することが可能で、1000を超えるコメントが飛び交う月もあります。

例えば、読者は生産者に直接「ごちそうさま」や「ありがとう」を伝えることができ、生産者も読者の投稿するレシピや生産物に関する質問などに直接コメントすることができます。

その他イベントも開催しており、一方通行の情報の流れではなく、雑誌を媒介とした相互交流が醍醐味です。

~消費者が“食”を知る教科書に~

Q4.特に印象に残ったエピソードなどがあれば、教えていただけますか。

三陸産のわかめを、メカブや茎がついたまるまる1本の状態でお届けしたときは、それまで加工されたわかめしか見る機会のなかった読者から、「わかめってこんな生き物たっだんた!」と驚きの声をたくさんいただきました。食品がただの食材でなく、「教科書」の意味をもった号となりました。

~生産者にも変化が!~

Q5.生産者側の反応はどうですか?

生産者側にも変化が表れています。例えば、福島県会津若松市では、いまや担い手がごくわずかとなった合図伝統野菜を栽培していたある農家が、「東北食べる通信」掲載とその後の読者交流を通じて自信を取り戻し、伝統野菜の作付けを前年の3倍に増やすとともに積極的なPR活動を始めています。

~日本全国に拡大中~

Q6.『東北食べる通信』は、東北にとどまらず全国に拡大されているとのことですが、購読者数や創刊予定など教えてください。

『東北食べる通信』は、口コミを中心に購読会員1400名を超えました。

知名度向上とともに、全国各地、時には海外から「僕たちのふるさとでも創刊したい」という声が起こり、すでに「四国食べる通信」、「東松島食べる通信」などが創刊を迎え、年度内には10の「ご当地食べる通信」が創刊予定です。

~都会の人が、新たなふるさとを見つける旅を~

Q7.今後のビジョンを、教えていただけますか。

まず、2017年までに日本国中に合計100の『食べる通信』を立ち上げることを目標としております。

また、CSAサービス(商品の代金を前払いし、自然災害等のリスクを生産者と消費者が共有しながらつくり手を支えるシステム)に興味をもっている人のため、生産者の人柄、町や自然などに触れる旅を企画するとともに、都会育ちの人にも“食べる”というパイプを通して、心のふるさとを地方に見つけてほしい、地方に新しい拠点を作ってほしいと考え、トラベル事業をスタートします。

12月にはJTBと提携してモデルツアーも開催しますが、まだまだ土台を建設中です。

地方とつながりたい人、自分の食べているものを作っている人に会ってみたい人、生産者の話を聞きながら農業体験をしてみたい人、これらの人々を生産者とつなげるために日々奮闘中です。

東北食べる通信
http://taberu.me/tohoku/
NPO法人東北開墾
http://kaikon.jp/

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