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加速する国際都市間の競争に隠れた課題

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日本経済成長のためには都市の国際競争力強化が必要

近年、国際都市間の競争はますます高いレベルにあります。実際、きらびやかで先進的なデザインが並ぶ東南アジアの諸都市から帰国して東京の電車に乗ると、その古くささに日本が先進国であることを忘れてしまいそうになります。

大都市の国際間競争が激化する中、日本経済成長のためには都市の国際競争力強化が必要であり、都市再生推進は重要な課題となっています。都市の国際競争力を高めるための投資が行えるよう、税制改革や規制緩和に向けた取り組みが必要だとの見解は、先ごろ行われた不動産協会からの提言においても確認できます。

不動産の価値は言うなれば「思い込み」

しかし、そもそも土地は石・砂・土、建物は木・コンクリートの集まりでしかありません。不動産は、そんな地球上どこにでもあるもので形成されているのです。ただの土や砂、木の切れ端やコンクリートの塊を、お金を出してまで買おうとする人はいませんが、それが「不動産」という名前に変わる途端に高値で取引され、競争の対象ともなります。

その理由は、住むにも商売を始めるにも、人間が不動産に関わることで、そこに人間が価値を見出すからにほかなりません。1平米2千万円の土地といっても、そこにある石や砂が高価だからではなく、人がそこに集まり商業の中心となり、そして周りの人間が「そう思い込んでいるから」に過ぎません。本来無価値なものに価値を見出し、その価値を都市間で競争する……まさに「砂上の楼閣」といえるでしょう。

都市間の競争よりも優先すべき課題がある

前述した「不動産協会」は、住宅・ビルの開発業者(デベロッパー)が集まる業界団体であることから、都市への投資を促す開発プロジェクトが増える提言を行うのは当然だと言えます。しかし、そんなことを差し引いても、この競争社会において同僚、組織、部門、会社間の競争、そして国を超えた都市と都市までもが競争の対象となっていることには驚きを覚えます。

また、都市間の競争において覇権を争うアジア各都市の合計特殊出生率(1人の女性が一生に産む子供の平均数・筆者調べ)では、いずれの都市も人口が減少傾向にあります。投資を求めて人が集まり価値を生む一方、深刻な人口減少に直面している現状を鑑みると、都市間の競争よりも優先すべき課題があるように思えます。

(中山 聡/不動産鑑定士)

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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