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「再エネ」庶民の負担は右肩上がり

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「太陽光発電や風力発電、地熱発電など、再生可能エネルギーを日本はもっと積極的に導入すべきだ」――そう言われたら誰も反論しないのでは? 福島第一原発の事故以降、再エネは一種の「社会正義」になりつつある。クリーンだし、人類の未来のためには再エネが一番…という“空気”すら漂っている。

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“空気”の背景にあるのは、以下のような認識だ。

○原発は危険で深刻な汚染を招き、原子力ムラが金儲けのために推進している“悪”。
○再エネは安全でクリーンで、今は高コストでも研究開発と普及が進めばコストも下がり、明るい未来を生み出す“善”。

本当にそうだろうか? 少なくとも筆者にはそうは思えない。理由は色々あるが、とりわけ見過ごせないのはコストの問題である。

皆さんも再生可能エネルギーの「固定価格買取制度」はご存じだろう。再エネで発電した電気を一定価格で買い取ることを電力会社に義務付けたもので、平成24年7月にスタートした。「買取価格が気前よすぎ」と一部報道で指摘されたが、買い取るのは電力会社だし自分たちには関係ない――と思っている人も多いようだ。

だが、これは大きな勘違いだ。毎月の電気料金明細で「再エネ賦課金等」という欄がある通り、固定価格で買い取る費用を負担しているのは、われわれ電気利用者である。買い取りを義務付けられているのは、事実上われわれ国民なのだ。毎月の電気使用量に応じて賦課金(負担額)が計算され、平成26年度は標準家庭で月額225円(年額2700円)ほどの負担となっている。

この賦課金制度の施行後、導入されている再エネの9割以上が太陽光となっているが、本年6月末時点で政府が認定している設備だけでも、全てが運転を開始すると負担額は月額935円(年額1万1220円)にもなり、これを20年間払い続けることになる訳だ。
「それくらいの負担(で再エネ普及が進む)なら…」という人もいるだろう。でも、それも勘違いだ。再エネ賦課金は毎年上がり続けることが確定している。「買取価格」が下がれば賦課金も下がっていく…と誤解している人も多いが、実は年々加算されパイのように積み重なっていく仕組みだ。上昇カーブが緩やかになることはあっても、この先20年以上にわたって下がることはない。

再エネ先進国といわれるドイツでは、固定価格買取制度をテコに普及を進めた結果、標準家庭で年額3万円に近い負担を強いられている。しかもこの先、賦課金はまだまだ上がり続ける見込みだ。これは遠からず訪れる日本の未来像でもある。

残念ながら筆者のような庶民には、そんな未来を唯々諾々と受け入れるほど財布に余裕はない。再エネ推進自体を否定するつもりはないが、みんなが納得いくような仕組みでなければ勘弁願いたいところだ。ただでさえ消費増税やら円安やらで、可処分所得と実質賃金が減るリスクが控えているのだから。

ちなみに今回、20-30代の会社員200人を対象に「固定価格買取制度」について調査したところ、どんな制度か「詳しく知っている」と答えた人はわずか6%。「あまり良く知らない」「ほとんど知らない」と答えた人が合わせて60%に及んだ。

さらに今後20年以上、電気料金が上がり続けることについても「あまり理解していない」「まったく理解していない」と答えた人が合わせて63.5%に上った。ほぼ3人に2人が将来負担を自覚しないまま再エネ普及のコストを強いられているわけで、国の説明不足と言わざるを得ない。国策として再エネ普及に取り組むなら、将来にわたる国民負担も示した上で、「それでも再エネ普及を目指すか否か?」という議論を喚起すべきではなかったか?

ちなみについでにもうひとつ、先の調査で「再エネ普及のためなら、毎月の電気料金が今よりいくらまで上がることを許容できるか?」と尋ねてみたところ、「これ以上、電気料金が増えるのは許容できない」という人が50%に上った。許容できると答えた人に限っても、半数以上は「500円以内なら」という回答だ。つまりドイツのような状況を招くことは、大多数が「NO」と言っているに等しい。

原発のリスクを声高に叫び、再エネ普及という錦の御旗を掲げられると、今の日本では抗しがたい。だが、発電効率の悪い自然エネルギーで原発の穴をカバーするには莫大な国民負担が必要になる。現状の技術水準では、それが現実だ。「問題はカネじゃない」という人もいるが、それは金持ちの傲慢というべきだろう。カネは現実であり、現実を引き受けるのはわれわれ庶民である。はたして皆さんはこの問題、どう思われるだろうか?
(篠塚裕也)
(R25編集部)

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