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20代に「スマホ転職」は普及するのか? 「検索できない転職アプリ」の挑戦――キャリアトレック・関哲氏に聞く

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日本経済新聞の「転職意識調査」(2014年7月)によると、20代男性の51.4%、20代女性の48.7%と半数近くが「転職を検討している」、あるいは「すでに転職の準備を進めている」と回答している。

ただし実際に転職活動を始めている人は、男性4.3%、女性5.1%とわずかだ。そこにどんな障壁があるのだろうか。そんな中、20代向けに作られた新感覚の転職用スマートフォンアプリが、11月26日に登場した。従来の転職ツールと違うのは、転職サイトで一般的な「検索機能」が存在しないことだ。
氏名やメアドなしでも、毎日10社が「オススメ」

20代向け転職サイト「キャリアトレック」は、検索機能を排除し、独自のアルゴリズムによる「レコメンド機能」を使って転職活動ができるウェブサイトだ。今回はこの機能をiOS版のアプリにすることで、レコメンド機能がさらに直感的になり、スマホだけで転職が完結するつくりになっている。

キャリアトレックの事業責任者・関哲氏は、20代の転職活動にまつわる現状が、このアプリを開発するきっかけになったと語る。

「若い20代のユーザーは、多数の項目入力が必要な転職サイトに登録したり、大量の案件から自分に合った求人を探したりするのが面倒。しかし既存の転職サイトは非常に使いづらい作りが多く、これを変えたいという思いがありました」

キャリアトレックの登録は、簡単なキャリア診断だけ。「収入アップ」「成長性が高い」などの20項目について、画面をフリックしながら「重視する」か「重視しない」かをジャッジし、職種などの「経験」や「スキル」を選択すれば完了する。

登録時点では、名前や詳しい住所、メールアドレスといった情報を入力する必要はない。これだけで、アプリのアルゴリズムが「ユーザーに合いそうな企業」をレコメンドしてくれる。

レコメンドの仕組みもユニークだ。オススメされる企業は毎日10社で、その段階では会社名と「1行のキャッチフレーズ」しか表示されない。ユーザーはここでも「気になる」か「気にならない」かを、右か左にフリックするだけで良いのだ。

「最初の『キャリア診断』と『気になる』の選択が、アルゴリズムに反映されます。使えば使うほど個人のニーズによってアルゴリズムが精緻化されるので、よりユーザーに合った求人がレコメンドされる仕組みになっています」

「気になる」に振り分けた企業については、募集ポジションなどの詳細な情報を見ることができる。もちろん求人応募も、スマホのみで完結可能だ。
レコメンドで「書類選考の合格率」がアップした不思議

従来の転職サイトでは、ユーザーは詳細な個人情報を登録し、自分で求人を検索し応募するというのが一般的な流れだった。したがって、この柱となる「検索機能」を排除するというのは、ある種の「賭け」といえるかもしれない。

実はキャリアトレックがベータ版として運用されていた2013年10月~14年3月までは、検索機能とレコメンド機能が併存していた。だが4月のグランドオープンとともに、検索機能は完全に排除してしまったという。

「理由はシンプルで、ベータ版期間の20代の求人応募は、レコメンド経由が8割超。検索経由は2割に満たなかったからです。それならば、ユーザーに分かりやすくするために検索を完全になくし、高い精度の求人レコメンドに特化したほうが良いと判断しました」

ユーザー数も伸長し、ベータ版時点では2万人弱だったが、11月時点では7万人にまで増えている。意外なことに検索機能を排除したことで、「書類選考の合格率」も上昇しているという。検索の場合、どうしても「知名度の高い会社」に応募が集まりがちだからだ。

「検索機能を使うためには、その企業名を知っていなければできない。しかし、有名企業は競争率が高いし、必ずしもユーザーの適性に合っているとも言えない。レコメンドに特化することで、今まで気づかれにくかった『自分が必要とされている企業』に目が向き、応募されやすくなっているようです」

さらに時間帯別のアクセス数割合を見ると、20代では夜の帰宅途中や就寝前に利用する人の割合が35%と突出して高かったという。今回のアプリ化では、そうした利用シーンに適合した作りにすることにもこだわっているという。

「通勤途中や就寝前って、ニュースアプリを見ている人も多いですよね。それと同じ感覚で、『何となく気になる会社』をリスト化していって、スキマ時間にストレスを感じずに転職活動をしてもらえればいいなと思います」

学歴より「適性」や「相性」が重視される時代に

これまでは転職に興味があっても、在職中の仕事が忙しい、自分に合った企業の探し方が分からない、あるいは転職サイトに登録するのが面倒、といった理由で活動に踏み切れなかった人も多いだろう。

しかし、こうして転職をカジュアルに促すサイトやアプリが登場すれば、いままで流動しなかった若い世代が転職に踏み切る機会も増えるかもしれない。そうした転職者にも、これからは追い風が吹くだろうと関氏は話す。

「若い人の絶対数が減っていく中で、企業は『有名大学』といった杓子定規な基準よりも、適性や自社との相性を見て、色々な人を採用して育てないと人数が確保できない。より若い人を確保しようと競争するようになるでしょう」

企業が積極的に人材確保に動けば、若手の転職者にとってはチャンスだ。これまで「良い会社があれば…」と思っていた転職潜在層が市場に出てくれば、その動きがより活発化してもおかしくない。今回のアプリのような「カジュアルな転職ツール」が、そのきっかけになる可能性もあるのではないか。

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