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エステ業界にミスマッチの構図 若者の「憧れ就活」は危険だ

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 ブラック体質を指摘されるにもかかわらず、毎年多くの若者の人気を集める企業、業界がある。その理由について、作家で人材コンサルタントの常見陽平氏が考える。

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 今年のブラック企業問題関連でのトピックスと言えば、ブラックバイト問題、すき家問題、そして、たかの友梨ビューティクリニック問題です。それぞれ、過酷な労働環境、たかの友梨ビューティクリニックにおいては社長の暴言などが問題となりました。今回はたかの友梨ビューティクリニック問題にかぎらず、エステ業界は、なぜブラック企業化するのかという問題について考えてみたいと思います。エステ業界の企業=ブラック企業と断定するわけではありません。とはいえ、構造的な問題も大きいのではと思った次第です。 

 11月6日(木)に東京ウィメンズプラザにて「エステ業界 就職・転職支援セミナー」が開催されました。主催はエステ・ユニオン(ブラック企業対策ユニオン・エステ支部)です。私も講師として参加しました。

 当日、小規模のエステ企業の経営者の講演を聞く機会があったのですが、これが大変に勉強になりました。エステ業界の大手企業は過酷な労働環境が話題になるわけですが、とはいえ、それでも人が集まってしまうのはなぜでしょう?それは、エステ業界に憧れる人が、一定数いるからです。

 大手エステ企業は、いつも大量に募集を行っています。エステが好き、美容に興味があるという学生が、憧れから受けてくるという状況です。お客さんとして好きなのと、自分の仕事にするのは、また違うと思うのですが。大手の場合、毎年、本部が新人を一括して大量に採用し、各店舗に配属するのですが、現場の店長は新人の配属時に既にミスマッチを感じるのです。

 仕事が過酷であるが故に結果として、大量に離職し、小規模のサロンに移ったり、他業界に転職していきます。実にわかりやすい、ミスマッチの構図ですね。

 とはいえ、大手エステサロンにしがみつく人たちもいます。辞めようと思っても、大手で働いているというプライドや、福利厚生、社会保障の充実などから辞められないという人たちも一定数いるとのことです。

 ちなみに、私はベーシックな就職・転職の基礎知識、求人の探し方のレクチャーをしたのですが、改めて、求職者は基本的なノウハウを知らないということに気づいた次第です。参加者の反応で印象的だったのが、そもそも転職するという発想すら浮かばなかったということです。というのも、仕事が大変に忙しく、考えている暇もないとのこと。これもまた現実です。

 私は、以前から憧れ就活に警鐘を鳴らしてきました。単に憧れで入り、ミスマッチに苦しむ、という。私自身も憧れから転職や異動をして何度かそういう経験をしました。なんせ、そういう若者を沢山見てきたからです。別に憧れ仕事ではなくても、自分に合ったことをする生き方、働き方も考えるべきです。仕事で心身を壊したり、最悪の場合、命を落とすのは健全とはいえません。

 何度も言うように、エステ業界=悪と言うつもりはありません。世の中には、びっくりするくらい労働環境のよいエステサロンというものもあります。ちゃんと労働法を守り、残業もないのです。今回講師に来ていただいた経営者の方が経営するサロンは、残業ほぼなく、ノルマはあっても達成できないからと言って不利益が課されることはないという環境になっていました。一人ひとりの美しくなりたいという欲求もあるわけですし、それに貢献できるという意味で大事な産業です。エステではありませんが、私自身、美容室やマッサージにはかなりのお金を払っています。

 ただ、このようなミスマッチ、早期離職の悲劇を繰り返すのもいかがなものかと思うのです。憧れだけでなく、職場としてどうなのかという視点を持ちたいところです。この業界の職場環境が少しでもよくなることを私は祈っています。

 昨年、「ブラック企業」は「ユーキャン新語・流行語大賞」でベストテンに入りました。今年もブラック企業関連のキーワードでは「ワンオペ」がノミネートされました。社会問題として認識されるのは良いことですが、この賞に労働問題系のキーワードが入ってしまうこの国はどうしたものなのですかね。


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