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「電話帳削除」特殊詐欺被害防止に期待

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宮崎県警、電話帳からの電話番号削除を促す取り組みを開始

特殊詐欺(いわゆる「振り込め詐欺」等)の防止のために、宮崎県警が一人暮らしの高齢者らを対象に電話帳からの電話番号削除を促す取り組みを始めたところ、10月末までの5カ月間に1041件の申し込みがあったとの報道がありました。

報道によると、犯行グループは電話帳から高齢者に多い名前を選ぶなどして手当たり次第に電話をかけている実態もあるとされ、県警は「電話帳からの削除は有効な手段と考えている」として当面呼び掛けを継続するとのことです。

特殊詐欺被害防止に向けての対策は、これまで特殊詐欺の手口を周知して被害を未然に防止するとともに、窓口レベルでの声かけ等などの対策が取られてきました。しかし、これほど振り込め詐欺という犯罪が周知されているにもかかわらず、なお被害が止むことはありません。

電話帳削除は「詐欺のターゲットにさせない」有効な対策

そんな中で、宮﨑県警の取り組みは「電話番号を電話帳から削除することで、特殊詐欺のターゲットにさせない」という点で、これまでの対策より一歩踏み込んだ内容となっており、効果も期待できると思われます。

また、一人暮らしの高齢者であれば、連絡が来る人の多くが家族・知人でしょうし、第三者が電話番号を電話帳で調べることもほとんどないと思われるので、マイナス面も少ない有効な対策だと考えます。

巧妙化する詐欺の手口には、取り組みの徹底と高い防犯意識が重要

しかし、これで特殊詐欺の被害を完全に防止することはできないでしょう。特殊詐欺の手口は日々巧妙化しています。これだけ特殊詐欺が一般に知られていても、なお被害が収まらないのもそのためです。

このような状態で、電話帳に名前がないからといって、犯人からの連絡がないということは考えられません。「これまでと変わらず、手当たり次第に電話をかけて引っかかれば良い」という考えで犯行をする者も出てくるでしょうし、電話帳以外にもさまざまな名簿に電話番号等の情報があります。このような名簿を不正に入手し,犯罪に利用する可能性も十分あります。筆者の経験でも、一度何らかの特殊詐欺被害に遭った人には、別の犯人からも特殊詐欺の働きかけがあるケースが多く、いわゆる「カモ」のリストが犯人グループで共有されている可能性もあると思われます。また、道ばたで不用意に答えたアンケートなどの情報が、実は詐欺グループに利用されていた、ということもあるでしょう。

特殊詐欺は犯行グループの実体もわかりにくく、一度被害に遭うと被害回復が極めて困難であるということもあります。冒頭の宮﨑県警の取り組みは有用ですが、それで安心するのではなく、これまで行われてきた取り組みをより徹底し、本人はもちろん、家族や周囲も特殊詐欺防止に向けた意識を持つことが重要なのだと思います。

(半田 望/弁護士)

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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