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「もうFlashはやめようと思った」フル3DCGによる自転車アニメの裏側

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左から、司会:山田幸美さん、アニメコンシェルジュ:氷川竜介さん、監督:谷東さん、3Dディレクター:宮城健さん
11月17日(月)、短編アニメの配信プロジェクト・日本アニメ(ーター)見本市の解説番組「-同トレス-」の第2回目が行われた。

日本アニメ(ーター)見本市は、日本アニメーションの可能性を探ることを目的に企画された、ドワンゴとスタジオカラーによる共同プロジェクト。

同番組では、監督の谷東さん、3Dディレクターの宮城健さんが登場し、フル3DCGアニメーション『HILL CLIMB GIRL』について語った。

フル3DCGに初挑戦の谷さん「もうFlashはやめようと思った」

「HILL CLIMB GIRL」は11月14日(金)から公開された日本アニメ(ーター)見本市の第二弾となる作品。

監督の谷東さんは『秘密結社鷹の爪』などの作品で有名なDLE所属で、劇場アニメ『秘密結社鷹の爪 総統は二度死ぬ』ではプロデューサーを務めた人物。

『秘密結社鷹の爪』シリーズは典型的なFlashアニメーションで、谷さんもFlashの制作を得意としていた。しかし、今回の『HILL CLIMB GIRL』で初めて3DCGでの制作に挑戦。

3DCGアニメーションとは、キャラクターや背景、机や椅子といったオブジェクトを3DCGで制作し、それらを配置してアニメーションをつくり上げる手法。一度キャラクターのモデルをつくってしまえば、柔軟に使い回すことができるため、カットごとにいちから作画をしなければならない紙のアニメーションよりも作業を効率化できることで、アニメ制作の現場では多用されている。番組内では谷さんが3DCGならではの利点として、カメラアングルの変更が容易であることを挙げた。

近年では、映画『コクリコ坂から』などを手がけた宮崎吾朗さんが制作するTVアニメーション『山賊の娘ローニャ』や、水島精二さんが監督、虚淵玄さんが脚本をつとめる映画『楽園追放』などがフル3DCGアニメーションとして公開され、いずれも注目を集めている。

今回の企画に参加することになった理由は、谷さんが以前スタジオカラーのプロデューサーに「Flashアニメーションを卒業したい」と話したことがきっかけだそう。

Flashアニメーションと3DCGアニメーションを両方体験した谷さんは、「もうFlashは辞めようと思った」というほど3DCGに未来を感じたという。

しかし、コストや制作期間の面ではFlashアニメーションの方が優れており、一長一短だという。具体的には、Flashでアニメを作ろうと思ったら3人で1週間もあればできるが、3DCGでは20人〜30人で1ヶ月〜数ヶ月を要する。

今後、ソフトやライブラリが発達すれば、その分だけ速く簡単に3DCGアニメーションがつくれるようになると予想されるので、まだまだこれから3DCGの真価が問われることになるそうだ。

アニメ業界は自転車好きが多い?

アニメ業界はかねてより自転車好きが多いといわれているが、谷さんが今回の企画に参加するもう一つの理由として、自身の自転車好きが関係しているという。音響監督の山田陽さんをはじめ、スタッフには多数の自転車好きがいるが、中でも谷さんは筋金入りだそうだ。

今回の制作で参考資料として買った自転車用品も、総計で最高級ロードバイクが購入可能なほど(約150万円ほど?)にまで膨れ上がってしまったという。


購入した自転車などは、CGをモデリングする際に参考としており、細部までこだわった結果、自転車一台の3DCGモデルの制作に4人〜5人で2ヶ月近くかかってしまったそうだ。しかし、その完成度は凄まじいもので、3Dディレクターの宮城さんは、この自転車は「型番通り」と本物の自転車と寸分違わぬ出来になっていることを強調した。

自転車要素がふんだんに盛り込まれた音楽

主題歌にも自転車へのこだわりがふんだんに盛り込まれており、歌詞も自転車に関することづくめとなっている。

代表的なものは、吐き切れやハートレート、アベレージ10%……など。

吐き切れとは、風の抵抗を受けないように、前の人の後ろに隠れて走っているにも関わらず距離を離されること。ハートレートとは、心臓の鼓動がどの程度かを機械で計り、どの程度の負荷をかけると何分ぐらいの走りが続けられるか、などの指標のことだという。

音楽を担当したCojirouさんが電話出演し、インタビューに応じた。

Cojirouさんと谷さんは結局、制作中に対面することはできなかったそうだが、Skypeを通じて作品のイメージを共有することができ、アニメーションにピッタリの曲が出来上がったようだ。

3Dプリンターで印刷した色紙

番組の最後には、「アニメとは?」という質問がクリエイターに対してぶつけられるコーナーも行われた。質問に対して宮城さんは「3D」と答え、3Dプリンターで出力した『HILL CLIMB GIRL』の主人公・ひなこを貼付けた色紙を披露した。

この色紙に込めた思いを聞かれるも「これに全部現れています!」と自信を見せ3Dディレクターらしく“モノ”で思いを表現した形となった。

対して、谷さんは「りんかく線」と回答。今作は3DCGで制作を行っているにも関わらず、あえて手で描いているように見えるセルルックという技法が使われているという。鳥獣戯画や浮世絵の時代から、脈々と続くその日本人らしい“画感覚”を一言で「りんかく線」と表したというのだ。

今回の制作を通して、CGにも輪郭線をつけることに、まさに日本人のDNAを感じたとのことだった。

次回作、吉崎響監督の「ME!ME!ME!」は11月21日(金)に公式サイトにて公開され、解説番組「-同トレス-」は翌週の11月24日(月)に放送予定となっている。

引用元

「もうFlashはやめようと思った」フル3DCGによる自転車アニメの裏側

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