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内定の取り消しってどうなるの?

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 報道によれば、来年4月にアナウンサーとして入社予定だった女子大生が、ホステスのアルバイトを理由に内定を取り消されたとして、11月9日に日本テレビを提訴したそうです。訴状によれば、女子大生は昨年9月に内定通知を受けましたが、今年の3月にクラブで短期のアルバイトをしていたことを人事担当者に報告したところ、5月に内定取消が通知されたということです。第1回の口頭弁論が11月14日に開かれましたが、テレビ局側は欠席しています。
 今回は、内定の取り消しについてみていきたいと思います。

 新規学卒者の一般的な就職活動の過程における採用内定については、最高裁判所は労働契約の成立を認める見解を採用しています(最判昭和54年7月20日)。したがって、正式な採用内定を貰った内定者と企業との間には、その時点で労働契約が成立するということになります。
 これまでは新規学卒者採用と中途採用者では異なるとされてきていましたが、最近では中途採用者のケースでも採用内定の時点で労働契約が成立したという判断がなされるようになってきています(東京地判平成9年10月31日、東京地判平成16年6月23日等)。

 内定通知により労働契約が成立しているということになりますので、内定取消しは「労働契約の解約」すなわち「解雇」ということになります。
 労働契約法では、解雇は、客観的に合理的な理由がなく、社会通念上相当と認められない場合は、企業が解雇の権利を濫用したものとして、無効となるということを定めています(解雇権濫用の法理。労働契約法16条)。
 内定取消しにもこの条文が適用されますが、内定の場合は通常の労働契約の場合にくらべて不確実な側面があります(たとえば、内定者が卒業できなかったなど。)ので、解雇権濫用の法理がそのまま使われるわけではなく、少し修正されて使われています。
 裁判所によれば、内定取消しについて、

(1)内定取消しの事由が採用内定当時知ることができず、また知ることが期待できないような事実であって
(2)内定取消しが、企業に解約権を留保した趣旨と目的からみて、合理的で社会通念からも相当といえる
という場合に限り認める、としています(前掲最判昭和54年7月20日)。
 この判例は、内定者がグルーミーな印象(雰囲気が陰気である)と理由で、企業が内定を取り消そうとした事案であり、最高裁は内定者がグルーミーであることは、採用段階からわかっていたのであるから、その段階で調査を尽くすべきであったとして、内定取消しは解約権の濫用としました。

 今回、テレビ局から送られてきた通知には「アナウンサーには高度の清廉性が求められる」「セミナーで提出した自己紹介シートにクラブでのバイト歴を記載しておらず、虚偽の申告である」との内容が書かれていたそうです。上記の判例に基づいて考えるならば、

(1)テレビ局がクラブのバイトを当時知らなかったし、知ることもできなかった
(2)「アナウンサーには清廉性が求められ、そしてクラブのアルバイトは清廉ではない」「アルバイトの申告をしなかったのは虚偽の申告である」
というテレビ局の主張が社会通念上合理的であると判断される、という2つの条件をみたされる必要があることになります。特に(2)については、清廉性という定義があいまいですし、クラブのアルバイトをしていたからといって清廉性を欠くとまではいえないように思われますが、皆様はどう思われるでしょうか?

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