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大阪市「公設民営学校」開校へ加速、期待と懸念

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「公設民営学校」を平成30年度中にも開校する動き

地域を限定して規制を緩和する特区法の改正案が国会に提出されました。これを受けて大阪市教育委員会は、民間が運営を行う公立学校「公設民営学校」を平成30年度中にも開校する動きを見せています。従来からの公立学校・私立学校に第三の「公設民営学校」を加えることで、学校に個性を持たせ、教育の幅を広げ、教育現場の活性化を目指す狙いです。

設置者は地方自治体ですが、管理運営を学校法人などの非営利法人が行い、教員も民間人を採用し、授業内容も独自のカリキュラムが可能になります。また、教育委員会の関与も緩和、制限されます。

公立並みに安い学費で独自のカリキュラムで学べれば期待は大きい

独自のカリキュラムが組めることは、例えば、コミュニケーション力や理数系の教科に特化した授業も行うことにもつながり、これからの社会が要求するグローバルで個性豊かな子どもを育てる上で、大きな役割が果たせるものと期待されます。

また、公立学校と比べ、学習指導要領や教育委員会の影響を受けながらも独自性を持った教育を行えることや、民間の教員を活用し、民間のノウハウを導入することで現代社会の実情にあった教育を子どもたちに提供できる点が魅力です。

しかも、地方自治体が設置することで学費も公立並みに安いとなれば、既存の学校では飽き足らない保護者や、個性を伸ばしたいと願う生徒にとって「公設民営学校」は願ってもない存在になるでしょう。

低迷する大阪の学力底上げのために必要だがデメリットも

しかし、実際に運営されるとなれば、デメリットも考えられます。「公設民営学校」の設置割合が、公立学校・私立学校に比べてどの程度になるのかによっては、希望者に過度な入学競争を強いる可能性も生まれます。教育の基準、程度を学校に任せた場合、学校間の格差や授業教科の実利的な偏りも予想できます。また、民間からの教員の採用方法いかんでは、教員の資質の確保が難しくなる恐れもあるでしょう。収入や待遇面で公立学校の教員との調整も必要になるかもしれません。運営の委託先の選定基準の設け方や私立学校との棲み分けがうまくいかないと、教育行政そのものにも影響を与える可能性もあります。

「公設民営学校」の開設で進路選択の幅を増やし、大阪の未来のために教育の分野で民間の活力を取り入れることは、低迷している大阪の学力底上げのためには方向性は間違っていないと考えます。しかし、鳴り物入りで推進された「ゆとり教育」が実効性を欠いたように、理想と現実がうまくかみ合わないと思わぬ波紋を広げることにもなりかねません。

(栢原 義則/進学塾塾長)

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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