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[世界の一秒]ポルトガルのリベイラ広場で拾った物語

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旅中で出会う人の中では常に独特な空気が存在すると思いませんか?

一緒に過ごせる時間が限られているのに、一瞬で親しくなってしまいます。一緒に過ごせる時間が限られているから、一瞬で親しくなってしまいます。

明日はきっとそれぞれの目的に向かって歩き出すのですが、一緒にいる間に、あれもこれも全部話したくなります。全部聞きたくなります。自分の過去、相手の現在、二人の別々の未来。

「いつか、また!」と言いながら、二度と会えないだろう、と思います。二度と会えないだろうと思いながら、「いつか、また!」と言いたくなります。

寂しくもない、悲しくもないです。

その一瞬で知らない誰かとわかり合えた物語が複数の方向に広がっていくだけです。


Guarini Letizia「ヨーロッパの極西―ポルトガルの境界までの旅

ポルトで過ごす最後の夜に、ポルトのリベイラ広場で現地の人と出会いました。ポルトガルの人ではなく、ギリシャの人でした。

頭が痛くなるほどよくしゃべる人でした。

10年前にギリシャで知り合った女性について、ポルトに来たと。ポルトガル語が話せない、友達が一人もいないけど、彼女と別れたくない。地中海に囲まれるギリシャから、大西洋に面するポルトガルへ、海から海へと移動するより選択肢がなかった、と。

同棲しはじめて、話し合って、愛し合って、幸せの日々が続いていました。けんかして、叫び合って、物を投げ合って、怒りの日々も続いていました。しかし、後悔は一切なかったと、彼は繰り返しました。彼女と別れたときも、自分が生まれ育った国を去ったこと、ガイコクジンとして生活することになったことは絶対に後悔しない、と。正しかったかどうかわからないが、後悔しない、と。

川を眺めながら朝まで彼の話を聞きました。彼がすごく話したかっただろうし、私もすごく聞きたかったのだと思います。

なぜだろう? 彼の名前を覚えられないだろうし、どの顔をしているかもきっと忘れると思いながら、それでもこの人の物語を知りたいと思いました。私の物語の一部になってほしいと思いました。次の日、別々の道を歩いても、です。次の日別々の道を歩くから、です。

今はもう彼の名前、顔を忘れてしまいました。ずっと眺めていた川がどんなだったかも覚えていません。しかし、彼の過去、私の現在、それぞれの未来、その夜話し合った物語が今でもポルトガル、日本、ギリシャ、世界のどこかで残っているはずです。

*Guarini Letizia「ヨーロッパの極西―ポルトガルの境界までの旅

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