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新世界リチウム、なんどつまづいても前を向いてーーOTOTOY遠征レポート

新世界リチウム、なんどつまづいても前を向いてーーOTOTOY遠征レポート

2014年9月3日に、セルフ・タイトルのフル・アルバムをリリースした新世界リチウム。このたび、OTOTOYでの配信スタートを記念して、現在リリース・ツアーで全国をまわっている彼らの新潟公演に密着し独占取材を敢行した。ツアー・ファイナルは、11月22日、新代田FEVER。少しでも彼らの気持ちに打たれたのであれば、ぜひチェックし、足を運んでみてほしい。

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平均年齢27.7才。

もう、若手とはいえない年頃である。世間一般で見ても、仕事的な立場であったり、結婚であったり、人生の岐路を迎えることの多い年齢なのではないだろうか。そんな歳を迎える彼らは、焦りや不安を抱えながら、それでも捨てられない夢を追い、未来に希望を見て、いまも必死に食らいついている。

ドラム・ヴォーカルとベース・ヴォーカルのツイン・ヴォーカルとギターという、珍しい構成の3ピース・バンド・新世界リチウム。彼らは現在、初のセルフ・タイトル・フル・アルバム『新世界リチウム』を引っさげて、リリース・ツアーの真っ只中だ。クリープハイプが現メンバーになる前の2年間、尾崎世界観のバック・バンドをつとめ、SEKAI NO OWARIのレコ発ツアーにも参加するなど、いまを時めくバンドとの関わりも深い彼ら。しかしながら、この3年という月日の流れのなかで、その差は歴然となってしまった。

「あのとき勢いにまかせて飛び出しても、なにも通用しなかったと思うんです。あのとき行ってしまっていたら、こうしていま、続けていなかったと思う」とベース・ヴォーカルの千葉龍太郎は言う。

売れなくてよかったなんて、決して思ってはいない。何度訪れたチャンスも掴まなかったのは、不器用さゆえだけのことではない。まっすぐな8ビートが四つ打ちに負けるわけがない。そしてその逆も然り。相反するこの2つがあってこそ音楽はかっこいいんだ、と。どこか少年のような無邪気さをまとう彼らの内側には、曲がらない信念と、静かに燃える情熱がある。虎視眈々と、飛びかかるその時を狙い、爪を研ぐ。そんな印象を抱かざるを得なかった。今回は、現在敢行中のリリースツアー北陸編・新潟RIVERSTでの公演に同行し、彼らの素顔に迫った。

新世界リチウムは石川慧(Dr.Vo)、千葉龍太郎(Ba.Vo)、松野康平(Gt.Cho)からなる3ピース・ロック・バンド。2006年に結成後、メンバー・チェンジをすることなく現在に至る。今回の公演は仲のいいバンドたちとの対バンということもあり、本番前も和気藹々とした空気に包まれている。しかし、真剣なまなざしで仲間達のリハを見つめる彼らの横顔は厳しかった。「すげえ、むかつくんですよ。かっこいいから。みんな完全にかっこいいから、燃える」と、ギター・松野。先ほどまでの様子とは一変していて、一瞬戸惑いを覚えた。彼らにとって仲間はみな、仲の良い友達であり、負けられないライバルでもあるのだ。

照明が落ち、歓声が上がる。千葉が噛み付くように煽り、叫ぶような勢いで「ひまわり」が演奏され、新世界リチウムのライヴが始まった。会場のボルテージは一気に上昇、そしてたたみかけるように、その日の対バン相手でもある、ゆれるの「あらゆる憎悪」のカヴァーが演奏されると、歓声はいっそう大きくなり、原曲との違いを身体を揺らしてじっくり楽しむ人、楽しそうに口ずさむ人と、それぞれがその轟音に酔いしれた。

「親父はあまり感情を顔に出す人じゃないんだけど、最近人生で2度目に顔を真っ赤にして泣いてるのを見て。ああ、この曲をやらなきゃなって」

そんな千葉のMCから始まったのは「一人言」。俺にはバンドしかないんです、かっこいいこと言いたいんじゃなくて、バンドがなかったら俺は帰る場所もないし、生きてる価値もない。10代の頃底辺にいた自分にとって、これでもいまが一番いいんです。だから失くせないんです。そう話していた千葉の言葉が脳裏によぎる。ヒリヒリとするような感情が、疾走感溢れる演奏から、声から、ほとばしる。モニターの上に飛び乗った松野が観客を煽り、始まったのは「プリウェンペ」。

〈劣等感を逆手にとって キミの事を歌うんだよ そんな事しか歌えないバカになりたい〉

なんて不器用で、なんてピュアなんだろう。この飾り気のない、荒削りな感情が、聴く人の心を惹きつけるのだろう。続いて演奏された「隔たり」。

〈誰かと比べて俺を計るなよ 今日も犬みたいに吠えている〉

ドラム・ヴォーカル石川の歌声に、計り知れない強さを感じた。

「未来のことを考えると、不安しかない。考えすぎちゃう癖があるから。でもそうすると身動きが取れなくなって、一歩も進めなくなる。だから、考え方をシンプルにする技を身に付けたんです。脳内の余計なアプリ全部消して、十分なスペックを確保してさ。それでそこに、今をぎゅっと詰め込む。今日を最高にすること、そしてこのツアーを最高のものにすること。今日が最高じゃなかったら、未来が最高になるはずないから」

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