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エボラ熱対策で入国制限、法的に不可能なのか?

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西アフリカからの渡航者について入国制限を行わない旨を発表

エボラ出血熱が流行する西アフリカからの渡航者について、オーストラリア政府が入国管理を厳格化する措置を行ったのを機に、我が国の外務省は、入国制限を行わない旨を発表しました。

国連安全保障理事会決議が、本年9月18日、流行国の孤立を防ぐため渡航制限を撤廃するよう求める決議を採択していたことが念頭にあったものと思われますが、そもそも外国人は、自由に我が国に入国できるものなのでしょうか。

入管法を定め、外国人の入国・上陸の要件や手続を明確にしている

まず、憲法22条1項において「何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、移転及び職業選択の自由を有する」と定められているのですが、国際法上、自国の安全と福祉に危害を及ぼすおそれのある外国人の入国を拒否することは、国家の主権的権利に属し、外国人の入国を認めるか否かは、国家の自由裁量によるものとされています。

最高裁判決(昭和53年10月4日)も「憲法22条1項は、日本国内における居住・移転の自由を保障する旨を規定するにとどまり、外国人がわが国に入国することについては何ら規定していないものであり、このことは、国際慣習法上、国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、特別の条約がない限り、外国人を自国内に受け入れるかどうか、また、これを受け入れる場合にいかなる条件を付するかを、当該国家が自由に決定することができるものとされていることと、その考えを同じくするものと解される。したがって、憲法上、外国人は、わが国に入国する自由を保障されているものではない」と判示しています。

そして、このような立場のもとで、我が国では「出入国管理及び難民認定法」(以下「入管法」と言います)という法律を定め、外国人の入国ないし上陸の要件や手続を明確にしているのです。

「西アフリカからの渡航者」というだけでも入国制限は可能

この入管法5条1項は、どのような外国人が我が国への上陸を拒否されるのかを定めており、その1号は「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に定める感染症等の患者や新感染症の所見がある者を挙げています。エボラ出血熱も、同法に定める感染症に含まれていますので、検疫法に基づいて検査した結果、エボラ出血熱に感染していることが明らかになれば、我が国への上陸を拒否すべきことになります。

では「西アフリカからの渡航者」というだけで、我が国への上陸を拒否することはできないのでしょうか。この点は、すでに述べたように、外国人の入国を認めるか否かは、国家の自由裁量によるものとされていますので、特別の条約がない限り、可能かと思われます。

実際、入国制限を実施するとなると賛否両論あるかもしれませんが、いずれにしても、エボラ出血熱の流行が治まることを願うばかりです。

(田沢 剛/弁護士)

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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