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テイラー・スウィフトが全アルバムをスポティファイから引き上げ、戦略は成功か失敗か

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女性シンガー、テイラー・スウィフトがニュー・アルバム「1989」の音源を定額制音楽ストリーミング・サービス最大手のスポティファイに提供しなかっただけではなく、過去の作品も全てスポティファイから引きあげた。これが功を奏したのかは現時点で定かではないが、アルバム「1989」は発売初週で約130万枚を売り、2002年にエミネムが発売したアルバム「ザ・エミネム・ショウ」が持つ132万枚の記録にせまった。レコード・セールスがこれだけ落ち込む中、快挙としか言いようがない記録ではある。

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ストリーミングはダウンロードとは異なり手元に保有できない。しかし好きな時に好きな曲が聴ける。スポティファイが2008年にスウェーデンでサービスを始め、2011年にはアメリカに進出した。全世界で会員が3000万人いるといわれ、そのうち月額約10ドルを払う有料会員が1000万にいる。普通の会員には広告が入るし音質も良くない。アメリカではこれらの定額制音楽ストリーミング・サービスに加え、パンドラを筆頭にストリーミングで聴くインターネット・ラジオがある。下の表は今年(2014年)上半期のレコード売り上げの内訳だ(ソースはアメリカ・レコード協会)。

Physicalは実物のCD、DownnloadsはアップルiTunes他の有料ダウンロード。ストリーミング売り上げが27%にも達する。この中には勿論インターネット・ラジオや衛星ラジオからの収入も含まれる。今回テイラー・スウィフトはどうしてスポティファイに音源を提供しなかったのか。みすみす入って来るだろうお金を断るのだろう。

ウォール・ストリート系のメディアは「戦略は失敗」とみる向きもあるが、著名なマネージャーのジェフ・ジャンポールは「成功しているアーティストの収入は60~65%がチケット売り上げ。10~25%が開場で売るグッズ。10~15%が音楽著作権からの収入。2~4%がアーティストに付随するもので、レコードからの収入は2~4%しかない」という。それでもスポティファイからの収入よりはCDやダウンロードが大切だという事なのだろう。

ともあれ今回の事件、結果として発売直前まで予想されていたアルバム枚数の75万枚を遙かに超えた。ビルボード誌は発売2週目の売り上げが40万枚を突破すると報じた。これで「1989」は170万枚に達する事になる。しかしテイラー・スウィフトがスポティファイを拒否したら、一緒に曲を書いている作詞作曲家に印税は支払われない。シングル「シェイク・イット・オフ」と「ブランク・スペース」をテイラー・スウィフトと一緒に書いたスウェーデンのマックス・マーティンの代理人は、作家が得る収入はヨーロッパの幾つかの国でスポティファイがiTunesを抜いているとイギリスの経済新聞フィナンシャル・タイムズに語った。

ところで日本のメディアが伝えているような、テイラー・スウィフトがスポティファイを断わったわけじゃない。所属するインディーズのビッグ・マシーン・レコードのスコット・ボーチェッタ会長が決めた事だ。でもテイラー・スウィフトに言わせるほうが遙かにインパクトがある。この7月、テイラー・スウィフトはウォール・ストリート・ジャーナル紙にストリーミングについての否定的な意見を寄稿していた。スーパースターがウォール・ストリート・ジャーナル紙に音楽の未来を寄稿する。不自然だった。勿論スコット・ボーチェッタの仕掛けた事だ。

ところで今アメリカの音楽業界に流れている噂。スコット・ボーチェッタがビッグ・マシーン・レコードを売りに出す。有力な買い手はビッグ・マシーンを配給しているユニバーサルミュージックと、ビッグ・マシーンを作る時にユニバーサルミュージックの会長だったダグ・モリスが今会長を務めるソニーミュージック。テイラー・スウィフトのビッグ・マシーンとの契約は、オリジナル・アルバムがもう1枚、新曲を含むグレーテスト・ヒッツ・アルバムが1枚残っている。売値は220億円(1$110円換算)だそうだ。テイラー・スウィフトが元気なうちに売る。

ところで今回の件、定額制音楽ストリーミング・サービスのビーツ・ミュージックを買収したアップルとの密約があると言う業界人もいる。

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