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今週の永田町(2014.11.5~11)

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【地方創生関連2法案、参議院で審議入り】

先週6日、地方創生の基本理念などを定め、地方での魅力ある雇用創出や結婚・出産・育児の環境整備などを着実に実施するよう客観的指標を盛り込んだ平成27年度からの5カ年計画「総合戦略」の策定を国・地方自治体に努力義務を課している「まち・ひと・しごと法案」、地域支援をめぐる各省への申請窓口を一元化するとともに活性化に取り組む自治体を支援するための「地域再生法改正案」が、衆議院本会議で与党などの賛成多数により可決し、参議院に送付された。次世代の党は、道州制の検討を着実に進めることを条件に、地方創生関連2法案に賛成票を投じた。

 一方、民主党・維新の党・みんなの党・生活の党が政府案の対案として共同提出した「国と地方公共団体との関係の抜本的な改革の推進に関する法律案」は、5日の衆議院地方創生に関する特別委員会と、6日の衆議院本会議で、それぞれ野党の賛成少数により否決された。
 

*衆参両院の本会議や委員会での審議模様は、以下のページからご覧になれます。

  衆議院インターネット審議中継参議院インターネット審議中継  

 翌7日、参議院本会議で、まず地方創生関連法案を審議する特別委員会の設置を、与党などの賛成多数により議決した。その後、安倍総理や石破・地方創生担当大臣出席のもと、関連2法案の趣旨説明と質疑が行われ、審議入りとなった。

安倍総理は、「国が枠をはめる従来のやり方を転換し、個性あふれる地域づくりに政府を挙げて取り組む」と、地方の自主性を尊重しながら施策を進めていく方針を改めて強調した。これに対し、民主党や維新の党などは、「具体策がない」「上から目線の政策」「地方分権に消極的」などと批判し、反対姿勢を示している。

関連2法案は、10日に参議院地方創生に関する特別委員会(委員長:関口参議院議員・自民党)での質疑がスタートした。安倍総理が臨時国会の最重要課題に位置付けているだけに、与党は、今月末の臨時国会会期末までに成立させる方針だ。

 

 

【委員長職権で審議が進む労働者派遣法改正案】

 派遣労働者の柔軟な働き方を認めるため、企業の派遣受け入れ期間の最長3年という上限規制を撤廃(一部の専門業務を除く)する一方、派遣労働者一人ひとりの派遣期間の上限は原則3年に制限して、派遣会社に3年経過した後に派遣先での直接雇用の依頼や、新たな派遣先の提供などの雇用安定措置を義務づける「労働者派遣法改正案」が、5日、衆議院厚生労働委員会で実質審議入りとなった。

 

 廃案に追い込みたい民主党など野党側の主張を取り込んで同法案の成立に道筋をつけるねらいから、公明党が修正案骨子を厚生労働委員会理事会で提示したことで、「法案に問題点があることを認めた」「野党の質疑も一巡していないのに修正案の提示はおかしい」「修正するなら政府が法案を出し直すべき」などと野党側が反発した。公明党が修正案撤回をしてもなお、与野党の協議が平行線をたどったため、渡辺博道委員長(自民党)は、職権で5日の委員会質疑を決定した。

 民主党の枝野幹事長は「重要法案であれば、政府・与党が一致して提出すべきだ。とても正常な審議過程とは言えない」と、与党間で足並み揃っていない状況で法案審議がスタートした点も問題視して、「審議に応じないなら粛々と採決する」と強気の姿勢をちらつかせて強行に審議を進めようとする与党側の姿勢を批判した。

 

厚生労働省は、6日の衆議院厚生労働委員会理事懇談会に、労働局が指導する条件として、労働組合が反対するなかで企業が派遣労働者の受け入れ期間延長についての対応方針を説明しなかったような場合とする文書を提出した。これは、企業が労働組合に事情を説明すれば、派遣の受け入れ期間の自由な延長が事実上可能となるような内容で、塩崎厚生労働大臣が5日の衆議院厚生労働委員会で答弁した「企業内の民主主義が成り立たず、労働局が指導をすることは当然」について事実上、訂正するものだった。これに野党側は、猛反発した。

 そのうえ、今週中の衆議院通過をめざす与党は、採決の前提となる安倍総理出席の質疑を7日に行うよう野党に提案した。これに、民主党など野党各党は、与党の強引な国会運営や、大臣答弁と厚労省が提出した資料に齟齬が生じている問題などに反発して、与党提案を拒否した。折り合うことができないまま、渡辺委員長は、ふたたび職権で7日の委員会開催を決定した。

 

 これにより、7日の衆議院厚生労働委員会は、野党が一斉に審議拒否するなか、与党単独で審議が進められていく事態となった。安倍総理は、民主党などが主張している「派遣労働者の固定化」「派遣労働者の増加」「格差拡大」につながるとの指摘について、「生涯派遣法案との指摘はあたらない。レッテル貼りは不毛だ」と強く批判した。

 

 

【与野党全面対決でも衆議院通過へ】

 与党側は、改正案の採決の前提は整ったとの立場で、12日に委員会採決を行い、翌13日にも衆議院を通過させたい考えでいる。臨時国会の会期延長しない場合、今週中に法案を参議院に送付しないと会期内成立が困難になるからだ。改正法案の審議時間は労働者派遣法成立時を上回るほど十分に確保してきたとして、強行採決も辞さない姿勢をみせている。

 

一方、民主党など野党側は、審議が不十分であり、公聴会または参考人質疑を行わずに委員会採決に持ち込むことがあれば「野党7党が一致して反対する」と強く牽制している。

また、民主党・維新の党・みんなの党・生活の党は、正社員や非正規労働者などの雇用形態にかかわらず職務に応じた同等の給与・待遇を義務付けて、同一労働・同一賃金を推進する「労働者の職務に応じた待遇の確保等のための施策の推進に関する法律案」を6日に衆議院へ共同提出しており、政府提出の改正案とともに審議を行うよう与党側に求めている。

野党4党が提出した同一労働・同一賃金推進法案には、派遣元事業者への規制を講じることで、派遣労働者の均等待遇の実現を図ることなどが盛り込まれている。政府案の廃案をめざす民主党などは、政府案の対案として位置付ける。ただ、政府案の賛否をめぐっては、共同提出した4党でも、民主党・生活の党と、維新の党・みんなの党とで温度差が生じているようだ。

 

労働者派遣法改正案の審議日程をめぐる与野党攻防が激しくなっているが、野党側は委員会審議そのものを拒否しない方針だという。このため、早ければ今週中にも政府案が衆議院を通過するのではないかとみられている。

 

 

【衆議院内閣委員会では審議案件が山積】

臨時国会の会期末まで1カ月を切ったが、閣僚の政治とカネをめぐる問題で、法案審議が順調に進んでいるとは言い難い状況だ。自民党は、現時点で会期延長は考えておらず、会期内にすべての重要法案を成立させたい考えだが、審議日程はいままで以上に窮屈なものとなりつつある。

 特に、審議案件は多く抱えている衆議院内閣委員会での日程調整は難航しているようだ。衆議院内閣委員会では、7日、女性の採用・昇進機会を増やす取り組み加速を企業などに促すための「女性の職業生活における活躍の推進に関する法律案」の趣旨説明が行われ、実質審議入りとなった。同法案は臨時国会中にも成立する見通しとなっているが、風営法改正案などその他の法案処理がどの程度進むのか微妙な情勢となっている。

 

 また、自民党は、安倍総理が成長戦略の目玉の一つとして位置づけている「統合型リゾートの整備を促す法案」(カジノ推進法案)の臨時国会中の成立を断念した。同法案は、自民党が日本維新の会・生活の党とともに今年の通常国会に共同提出し、衆議院内閣委員会で継続審議となっている。

ただ、同法案の審議スタートは会期最終盤になる見通しで、内閣委員会で審議日程を確保するのは極めて困難な状況となっている。また、公明党、さらに足元の自民党内からも反対・慎重論が出始めている。このことから、自民党は、臨時国会で最低限の審議時間を確保したうえで継続審議とし、来年の通常国会で成立をめざすこととなった。

 

 

【増税判断に絡む駆け引き、与野党攻防に要注意】

 政府・与党内では、低迷する個人消費の刺激策や急激な円安対策などの経済対策を盛り込んだ補正予算案の編成に向けた議論などが行われている。安倍総理は、11月17日発表の7~9月期の国内総生産(GDP)1次速報値や、18日にも終了する、2015年10月からの消費税率10%引き上げによる日本経済への影響などを検証する「今後の経済財政動向等についての点検会合」の有識者らの議論などを見極めたうえで、18日にも補正予算案の編成を指示するようだ。

景気を下支えする経済対策として、生活支援策を促す新たな交付金をつくることなどが検討されている。新交付金制度では、地元商店街で使える商品券の配布や、漁業や運輸業など地方の一部業界や寒冷地の低所得者などを対象とした燃料費補助、子育て世帯や低所得者世帯への給付金など、政府が用意する複数メニューから、自治体が地域事情に沿った生活支援策を選択できるようにするという。ただ、バラマキ施策とならないよう所得制限を設けて、中・低所得者などが支援対象となるよう要件などを定めるようだ。

 

2015年10月からの消費税率10%への引き上げ是非をめぐっては、安倍総理が引き上げを先送りした場合、衆議院解散・総選挙に踏み切るのではとの見方が浮上し、様々な憶測も飛び交っている。

もっとも安倍総理は、11月17日発表の7~9月期の国内総生産(GDP)1次速報値や、18日にも終了する有識者らによる点検会合の結果などを見極めて慎重に判断すると述べており、現時点では衆議院解散を否定している。菅官房長官も、安倍総理は11月17日発表の1次速報値と12月8日発表の改定値(2次速報)の二つの指標も見極めたうえで最終判断をするのではないかとの認識を示している。
 

今後、安倍総理の消費税率引き上げ判断に絡む駆け引き、国会運営や審議日程をめぐる与野党攻防に注意しながら、それぞれの法案審議の行方を見極めていくことが重要だろう。
 

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記者:

霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!

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