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水10ドラマ 「綾瀬はるか、沢尻エリカに圧勝」の理由を分析

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 ドラマファンならずとも注目されたガチンコ対決。結果は大きな差がつきそうだ。作家で五感生活研究所代表の山下柚実氏が分析した。

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 秋ドラマ「水10対決」、水曜日午後10時。沢尻エリカ主演「ファーストクラス2」(フジテレビ系)と、綾瀬はるか主演「きょうは会社休みます。」(日本テレビ系)がゴールデン帯にガチンコでオンエアとあって注目されました。

 ところが予想外のことが。想定以上に大きな差がついてしまったのです。沢尻ドラマは初回平均視聴率8.8%→8.3%→5.8%→第4話7.1%。一方、綾瀬ドラマは初回平均視聴率14.3%→17.0%→17.1%→第4話17.3%。「ファーストクラス2」の2倍以上の数字をゲットした上に、回を重ねるごとに数字が伸び続けている。こうも大差がついてしまったのはなぜ? くっきりと対照的な結果が出たのはなぜ? あらためてその理由を考えてみると。

 2つのドラマ、共通点は時間帯だけではありません。仕事をするオンナたちが主人公で、登場人物の世代も似通っている。

「ファーストクラス2」は、ファッションブランド業界へ足を踏み入れた主人公・吉成ちなみ(沢尻エリカ)が、業界の激しいつばぜりあい、競い合いに巻き込まれていく。互いに足をひっぱりあい、三面記事的毒舌で他人をあざ笑うバトル。上には媚びを売り、ワナや裏切りは日常茶飯事。目的を達成するために手段を選ばない冷徹な女闘士たち……。

 実際に、ドラマに見られるようなつばぜりあいは、あちこちの職場にあるのかもしれません。でも、自分の仕事や生き方に多少なりともプライドや考えを持っている視聴者は、このドラマをスルー。なぜなら、他人の足をひっぱる的なマイナスパワーを見たり触れたりすること自体、百害あって一利無し、とよく知っているからです。

 一方、現実の中でドラマのごとくマイナスパワーにみまれてドロドロ格闘している人もまた、スルー。このドラマを見ると、もっと疲れてしまうから、と。

 もう一つ、ドラマ低迷の理由が見つかりそう。一言でいえば、このドラマは「沢尻エリカ」主義です。沢尻エリカという女優に、集客、主役の演技力、ドラマの展開軸、テーマ性のすべてを担わせた上で、沢尻を「いじる」ことによって視聴率を稼ぐという構造です。その構図こそが、時代とズレを起こした原因ではないでしょうか。

 そもそも視聴者は、沢尻さんにそこまで興味がない。沢尻エリカの役に自分を重ねあわせて同調することも難しい。どう感情移入したらいいのか、わからない。

 それとは対照的に、綾瀬ドラマが積極的に見られている理由とは? 「きょうは会社休みます。」は、綾瀬はるか演じる彼氏いない歴30年の青石花笑が、9歳年下の二枚目大学生・田之倉悠斗(福士蒼汰)とつきあうことで生まれる、日常のさまざまな波紋を描いていく。主人公・花笑が自分自身と交わす内面的なナレーションが、このドラマに膨らみをつけています。

 ワタシは本当にこの進み方をしていいんだろうか。そもそもこの道でいいんだろうか。ウンといっていいのだろうか。断るべきだろうか。問いかけに次ぐ、問いかけ。自分と対話しながらおそるおそる道を探りつつ進んでいく。

「ファーストクラス」のように、他者と比較して嫉妬したり、足をひっぱったりライバル心を燃やしてのし上がろう、といったベクトルは皆無。ワタシはどう生きていけばいいのか。率直で真摯で純粋な、自分への問いかけ。

 つまり、「他人との比較」ではなくて、「ワタシはどう生きるか」を探求していく姿に視聴者が共鳴した。単純ですが、このドラマのヒットの理由はそこに尽きるのでは。

 演出も、大河ドラマ「八重の桜」の時のように「綾瀬はるか」ブランドを一方的に押しつけるのではなくて、こんなぶきっちょな面も、とまどいもある、と人間的味わいを女優の中から上手に引き出して膨らませていくドラマ作り、出色です。

「ファーストクラス」が沢尻エリカという出来上がったブランドに依存したドラマ作りだとすれば、こちらはいわば、綾瀬はるかを道具に使った、対話型自分探求ドラマ。ダブルスコアの理由は、そのあたりにありそうです。


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