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派遣法改正案は働く人にとって悪法か?

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「派遣労働者の生涯固定化」につながると大きな反発も

10月28日、衆議院本会議で労働者派遣法の改正案の審議が始まりました。改正案で大きな注目を浴びているのは、派遣期間について上限を設けない「無期の派遣を設ける規程」です。

この規定は、従来の限定された専門26業種にだけ認められていた無期の派遣について、派遣会社と無期の雇用契約を結んだ場合、仕事内容にかかわらず、いつまでも同じ派遣先で勤務することができるようになり、野党などから「派遣労働者の生涯固定化」となるものであるとして大きな反発がなされております。

派遣労働者としての勤務を希望している人にはメリットが生じる

では、今回の派遣法改正案が悪法なのかと言えば、必ずしもそうとは言えない部分があります。そもそも現行制度の特徴は、派遣は臨時的な労働力の調整と位置づけており、企業が継続的な派遣社員の利用ができないよう3年の期限を設け、その後、正社員の転換を促すものとなっている点にあります。

しかし、現実として、企業は業務の種類を変える、もしくは派遣会社を変えるなどにより、派遣労働者を正社員へ転換することなく派遣労働者を継続して利用しているケースが多いでしょう。そのため、逆に3年間で契約が切られてしまうことにより、派遣労働者の雇用の継続が不安定になるという弊害が生じております。あえて派遣労働者としての勤務を希望している人については、今回の改正により、継続的な勤務が確保されるメリットが生じます。

派遣労働者の待遇改善への施策も盛り込まれている

今回の改正では、派遣期間の定めの他に、特定派遣の禁止が盛り込まれています。派遣事業者はすべて許可制となり、労働・社会保険加入や、派遣労働者へのキャリアアップ支援も義務化され、派遣労働者の待遇改善への施策が盛り込まれております。

また、3年という期間制限は、企業でなく人に対してかかることとなり、派遣会社との無期雇用契約でなく、3年の期間を定めた契約を結び、3年後に(1)派遣先に直接雇用(2)新たな派遣先で働くという選択を個人単位で検討することができるようになります。以上のことから、今回の改正案が完全に悪法ということはできないと思います。

派遣社員をどのような位置づけとするのか、政府の方針に注目

では、今回の改正案に対し、不安を感じる人が多いのはなぜでしょうか?これは、派遣という雇用形態が、臨時的・一時的な労働力の調整弁ではなく、一つの継続的な雇用形態として成立し、恒常的に続くものとして存在することで、現在、正社員が行っている業務の代替化が進み、正社員の減少、契約社員の増加につながるのではないかと感じているからだと思われます。

これは、今回の改正に限らず派遣制度そのものの問題であり、今後、派遣社員をどのような位置づけとするのか、政府の方針を確認する他ないでしょう。

(大東 恵子/社会保険労務士)

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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