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アジア人労働者なしでは仕事が回らない 企業は「受け容れ」から「奪い合い」へ

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日本で働く外国人の数は約72万人と5年で1.5倍に増え、ここのところの人手不足で最近はさらに加速している。特に建設業は、仕事があっても人材の確保ができずに倒産するケースまであるというから、外国人労働者の確保は死活問題だ。

2014年11月3日放送の「未来世紀ジパング」(テレビ東京)は、日本で働きたいアジア諸国の若者たちと、それを企業の戦力として積極的に育成しスカウトしようという動きの最前線を追っていた。
人材会社も驚くミャンマーの若者の優秀さ

「ミャンマーに来ているほとんどの日本人は、ミャンマーのことを見下しています。それを何とか変えたい」

そう語るのは、ミャンマーの名門校・ヤンゴン外国語大学を卒業し、日本企業への就職を希望する女性、ミャットウエ(21)さんだ。彼女はリクルートが主催する日本での大手企業の合同面接会に参加していた。

パナソニック、JCBなど24社が参加し、面接に臨んだのはシンガポール、台湾、タイなどから来た学生たち。地元では最高峰の大学を出たエリートばかりだ。世界24カ所に事業所を置く国際紙パルプ商事の執行役員・西村邦敏さんは、「日本と現地の懸け橋になって商売を増やしていく人材が欲しい」と参加の動機を語る。

この説明会を仕掛けたリクルートキャリアの担当者・堀内功氏は、ミャンマーの若者たちの優秀さに驚いていた。

「ずっとこの国にいて、海外を知らないにもかかわらず、英語が堪能でビジネスセンスも長けている。これはアジアのほかの国には見られなかった」

ミャットウエさんは、面接の手応えを聞かれると「反応は良かった。それは当たり前。日本人の顔はいつも笑っている。でも気持ちは見えない」と笑顔で鋭い洞察力をみせた。残念ながら面接した4社すべてに落ちてしまったが、今後は日本語だけでなく英語も勉強して、やはり日本で働きたいそうだ。
首長族が暮らす奥地に人材を求める日本企業

ミャンマー人は勤勉で親日、発展途上の国ながら識字率は95%だ。SBSホールディングスの渋谷修二社長は、日本で働きたい若者を探しに、首長族が暮らすミャンマーの奥地にまで足を運んだ。州政府と共に「おたがいさまプロジェクト」を立ち上げ、日本の建設現場で不足する人材を確保するという。

いまミャンマーでは、大学を出ても仕事に就けない若者が多く、50人の募集に対して200人以上が集まった。その中の一人、アブラハムさん(27)は1年ごとにお金を貯めながら7年かけて大学を卒業したものの、家業の農業を手伝うしかなかった。

家族11人暮らしで、年収は一家で10万円ほど。この機会に「絶対に日本に行きたい」と希望を語り、人選に勝ち残った。選ばれた50人の男性たちは、大学で植物学や地質学を専攻していたという優秀な若者が多く、ミャンマーで建築と日本語を無料で学び、半年後に日本の建設現場へ3年間の技能実習生として派遣されていくという。

日本にいるミャンマーからの労働者は現在250人。ところが韓国では国をあげて毎年ミャンマー人を労働者として迎え入れており、すでに1万人に達する。給料やルールが保障されており、技能実習生として滞在期間も10年と日本より長い。ミャンマーの若者たちも「韓国で働きたい」という人が多く、韓流ブームも起きているという。

東京都内のコンビニバイトは、中国人留学生から「仕事が大変。給料も安い」と敬遠されている。いまやベトナム、ネパールなどの留学生がほとんどで、中国人留学生は時給1000円以上でないと見向きもしないし、バイトしなくても仕送りで暮らせるという人もいる。
課題は日本人の「上から目線の意識」

番組ナビゲーターで立教大学経済学部教授の山口義行は「日本は労働力人口が減っていき、いろんな分野で外国人に助けてもらわないとやっていけない。そのことはもう事実」として、こう解説した。

「日本人の外国人に対する上から目線の意識を変えていき、自分たちの未来を一緒に担ってくれるパートナーだという意識を持って、働きやすく暮らしやすい国づくりを進めて行かなくてはいけない」

実際に、物流大手のイオンは「2020年までに本社正社員の外国人比率5割に」、無印良品を展開する「良品計画」では、「新卒採用の約5割を中国やマレーシアなどのアジアの学生から採用する」と発表している。

国の政策がどうあれ、すでにビジネスの現場では「アジア人労働者なしに企業活動は動かない」という判断が下されている。そして、外国人労働者の「受け容れ」どころではなく、「奪い合い」が始まっているのだ。

豊かな社会に育った日本人たちがしたがらない仕事を、外国人が引き受けてくれるということで、ありがたいと感じながらも、職に困る日本人もいて複雑な気持ちになる。しかし戦々恐々になるよりも、まず心を落ち着けて多様な人種・文化の人たちと共に生きていくのだという認識を持っておくことが必要なのだと、改めて感じた。(ライター:okei)

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