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心が動いたことの中に、本当の学びがある

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 10月25日夜、岩手県葛巻町で「ひかり照らす森の音楽会」が開催されました。同音楽会は自然派ライフスタイルマガジン『ソトコト』が主催する、シンガーソングライター・つじあやのさんによる「特別」なアコースティックライブ。

 まだ日が高い日中に、つじさん含めたイベントの参加者がソーラーパネルを使い照明用の電気を発電・蓄電し、さらに、会場の設営までみんなで行うという参加型のイベントですが、開催場所となったのは葛巻町の「森と風のがっこう(通称『森風』)」。2001年に開校したエネルギーと食の自給自足を学べるエコスクールです。自給自足をコンセプトにした施設で催された、つじあやのさんの極めてエコでナチュラルな音楽会……もちろんハマらないわけがありません。太陽光発電の電気で優しく照らされたステージの上で、マイクを一切使わないつじさんの生歌パフォーマンスに参加者らは「優しい声だった」「つじさんのライブは何度か行っているが、本当の生声は初めて」と心動かされた様子でした。

 なお、同イベントには、「森風」理事長を務める吉成信夫さんの姿も。吉成さんは大学卒業後、CIコンサルティング会社役員等を経て、1996年、39歳の時に家族とともに東京から岩手へ移住してきました。移住の理由は、岩手県出身の童話作家・詩人の宮沢賢治への憧れと、「森風」のような「がっこう」を創りたいとの思いがあったから。

 吉成さんの著書『ハコモノは変えられる!』には、岩手へ行くまでの経緯や、東山町(現・一関市)の「石と賢治ミュージアム」計画凍結とその後の方針全面見直し、そして増田寛也県知事(当時)からの要請を受け「県立児童館いわて子どもの森」初代館長就任から退任までが綴られています。

 タイトルにもある通り、本書はハード重視のハコモノ行政ではなくソフトを充実させた施設運営について書かれたものですが、それだけでなく子どもが持つ行動力への驚きについても触れられています。

 たとえば、「いわて子どもの森」では開館初年度から「いわて子ども特派員」という試みを行っていました。初日の「お楽しみ会」終了後、子どもたちは「子どもの森改造計画」をプレゼンする翌日に向けて、誰に強制されるでもなく夜中まで準備を進めていたとのこと。吉成さんは「やらされていること、義務感でやっていることではなくて、純粋にやりたいこと、心が動いたことの中に、本当の学びがあることを確信した一瞬だった。子どもたちに教えられたのは私やプレーリーダーの方だった」(本書より)と振り返っています。

 一方、冒頭で述べた「ひかりを照らす森の音楽会」でも、吉成さんは子どもたちに教えられたことがあったそうです。

 たとえば、昼間に電気を作ろうと作業している時。吉成さんがソーラーパネルを手渡すと、子どもたちはなんとか発電量を稼ごうとパネルを一番良い角度に置こうと知恵を絞ります。さらに、子どもたちは一度置いたパネルを放置することなく、ドッジボールなどをしている最中でも気づいたら太陽の動きに合わせて位置を変え、発電量を稼ごうと必死だったといいます。遊びながらも、どの角度がもっとも効率よく発電できるか考え、同時に天体の動きも学んでいるのです。

 吉成さんの持論は「遊ぶこととまなぶことは本来同じもの」だそうです。この言葉は、発想に行き詰まることの多い大人にとっても、大切な意味を持つのではないでしょうか。

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