経済成長を促す政策は何か
【高橋洋一・株式会社政策工房 代表取締役会長】
もし、ここ20年間の伸びのまま2050年まで行くとどうなるだろうか。今の日本の一人当たりGDPは4万ドル程度で、世界で20位程度だ。先進国とは、基本的には一人当たりGDPが1万ドル以上の国を言うので、日本は立派な先進国である。ところが、ここ20年間で日本の平均伸び率は0.8%で、世界でほぼビリ。そのまま2050年になると、日本の一人当たりGDPは5万ドル程度だ。
アメリカは3.6%の伸びなので、一人当たりGDPは今の5万ドルが19万ドルになる。ユーロでは3.8%の伸びなので、今の4万ドルが15万ドルになる。
世界の平均の伸び率は4.3%程度である。となると、今の1万ドルは2050年には5万ドルになる。ということは、日本はもう先進国とはいえなくなっている。最貧国ではないが、中所得国以下になっている。
表作成:政策工房
どうしたら経済成長できるのだろうか。これがわかれば、経済学はなくなるとも言われている最難問である。
経済成長できる政策が簡単にわかれば、世界の貧困問題は解決できるので、ノーベル経済学賞は確実だと、かつてクルーグマン・プリンストン大教授は語っていたくらいだ。
このくらいの難問だから、すっきりした解はない。しかし、筆者としては部分的な答えらしきものの見当をつけている。
以下は、一人あたりGDP成長率と各種のデータとの相関係数を調べたものだ。相関係数が低ければ相関がないので、両者に因果関係はないといえる。もし相関関係があれば、因果関係を探ってみる。
こうした作業の結果、筆者が経済成長に最も関係していると思っているのが、マネーの力だ。
両者には相関関係がある。相関係数0.5という数字は決して強い相関とはいえないが、こうした関係は他にまずないから、経済成長を説明しうるものだ。
もちろん、相関関係は因果関係を意味していないが、各国のデータを個別に調べると、マネー伸び率は1~2年程度のラグで、経済成長に影響していることがわかる。これは、因果律を示している。経済成長の結果という側面もあるが、マネーを刷って増やすことや減らすことは金融政策で簡単にできる。このように、人為的に操作できるものが原因となるのは自然な話である。
経済成長に寄与するのがマネーだけとは思ってないが、なかなか相関関係のある要素を探し出せていない。
最後に、マネー、その他の要因と一人あたりGDP成長率を掲げておこう。
表作成:政策工房
霞が関と永田町でつくられる“政策”“法律”“予算”。 その裏側にどのような問題がひそみ、本当の論点とは何なのか―。 高橋洋一会長、原英史社長はじめとする株式会社政策工房スタッフが、 直面する政策課題のポイント、一般メディアが報じない政策の真相、 国会動向などについての解説レポートを配信中!
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