新垣結衣・大泉洋出演 映画『トワイライト ささらさや』原作者 加納朋子さんインタビュー

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11月8日より劇場公開される『トワイライト ささらさや』。新垣結衣さんと大泉洋さんによる夫婦役や、新垣さんが初となる母親役ということで話題を集めています。本作の原作である小説『ささらさや』は、13年前に発表された作品。今回は、原作者の加納朋子さんに映画を観ての感想などを伺った。

『ささらさや』 加納朋子さんインタビュー

——ご覧になっていかがでしたか?
加納:最初は少し不安でした。『ささらさや』という作品はささやかな謎があってそれを解決していくという連作短編集方式で、ファンタジーとはいっても割と日常に近いところでお話が進行してくので、あまり映画向きではないかと思っていました。地味な映画になってしまうんじゃないかと心配でしたが、実際観てみたらとても面白かったです。

——作品が世に出たのが13年前ですが、今映画化されることについていかがですか?
加納:本当に感慨深いです。書き始めた当時は子供がまだちっちゃかったのですが、その子も今では高校生になっています。私の作品が映画になるだなんて、すっかり大きく立派に育った子供を見るようで、誇らしいような照れ臭いような……。

——映画の中で小説と比べてこういう発想はなかったな、という部分はありますか?
加納:やっぱりラストの辺りですね。原作は基本的に母親と子供の話で、それを見守る旦那さんという構図ですけど、それがラストで赤ん坊と父親、さらにその父親という、2代にわたる父子の話というようにテーマが広がっていて、それが感動的だなと思いました。

——原作と映画と比べて一番違う部分はどこだと思いますか?
加納:細かな違いはもちろんあるんですけど、大きな流れとしては原作通りにしていただいているなという印象でした。芯の部分を理解していただき、大切にして下さっているので、特に違和感を覚えず、しっくりと観られました。

——加納先生ご自身は映画の現場に足を運ばれましたか?
加納:はい、スタジオにお邪魔しました。その時、ちょうど夫婦の別れという切なくて良いシーンで、現場の緊張感が痛いほど伝わってきて、とても大勢の方が私の原作に関わっていらっしゃるというのが申し訳ないやら怖いやらという感じでした(笑)。

——大泉洋さんと新垣結衣さんのお二人が夫婦役でしたが、キャスティングに関してはいかがでしたか?
加納:さや役が新垣さんと伺った時は「あの新垣結衣さんが!?」とびっくりしました。あの透き通るような美少女が、あんなにキレイで可愛らしい方が、私の作品のヒロインを演じてくださるんだ、とすごくうれしかったです。初めての母親役ということで、それも光栄だと思いました。作品を観て、儚(はかな)げで頼りなかったさやが、段々と強い母親になっていく様子が、とても素晴らしかったです。

大泉さんに関しては、実は最初に伺った時、「イメージが違う」と思ったんです。でも、試写を観させて頂いて、人を笑わせることと泣かせることができる数少ない役者さんだと感じて、この作品になくてはならない方だなと思いました。それと、意外にも新垣さんとお似合いのご夫婦だなと思いました(笑)。お二人が一緒のシーンって実は少ないんですよね。それが残念なくらいでした。

——試写の後で原作を読ませて頂いたのですが、旦那が大泉さんにしか思えなくなってしまいました(笑)。
加納:そうそう(笑)。やっぱりそういう効果がありますよね。さやは新垣さんに見えてきて、エリカさんも福島リラさんに思えてきますし、すごくハマってましたよね。キャスティングがとってもよかったなと思います。

——噺家として登場した大泉さんについてはいかがですか?
加納:最初はびっくりしましたね。小説から、映像や音が入った映画というものに移植するにあたって、死者の魂が色々な人に乗り移るというのが一番肝であって難しい部分だと思んです。同時に最大の見所でもあるんですけど、口調などに特徴を持たせることによって違和感なく説明するのは、なるほどなと思いました。小説では「馬鹿っサヤ」という一言で読者にわかるようにしているんですけど、映画ではそれ以上にわかりやすくする必要があったんだと思います。私は小説家で、映画に関することは全然わからないので、そういう現場のご判断は尊重しています。

——作品の中で一番伝えたかったメッセージは何ですか?
加納:シリーズ通してのメッセージなんですけど、大切な人が死んでしまっても思いは残る。その思いを残された人たちが託されたものを未来につなげていくんだよ、というのがあります。だから今回の映画にもとてもよく反映されていたと思います。

——ちなみに、加納先生ご自身は心霊体験されたことはありますか?
加納:私は霊感ゼロなんですよ。ただ、大切な人、大好きな人が亡くなってしまった場合、幽霊になってでもいいから近くにいてほしいなという思いがすごくあります。最近病気していたこともあって、自分が大切な人を置いていく立場になった時、少しの時間でもいいから見守っていたいなという思い、願望があります。もし幽霊がいるとしたら、後ろ暗いことがない限りは怖いものじゃないと思うんです。そういう幽霊が出てくるのはたぶんとてもうれしいことだと思います。

生まれる前、心がどこからきたのかとか、亡くなったあとどこに行ってしまうのかというようなことをよく考えています。“死ぬ”ということがどういうことなのか、生きている限りはわからないから。眠ることとどう違うのかとか、身体を失った心が一体どこに行くんだろう? とか。それは世間で言う幽霊みたいなものなのかなとか。

——幽霊はいると思いますか?
加納:見たことがある方を否定はしません。私自身はそういうのを全く見たことがないのですが、悪いものとしていてほしくはないですね。“心残り”という言葉があるように、心が残っているというものであれば、幽霊がいてほしいなという願望はあります。

——映画をご覧になる方へのメッセージをお願いします。
加納:手前味噌のようですけど、とてもいい映画を観たなー、という気分になる作品だと思います。愛するご家族や、すごく懐かしい人がいる方、大切な人を持つ方に観ていただけたらなと思います。

——ありがとうございました。

『トワイライト ささらさや』作品情報

『トワイライト ささらさや』11月8日より全国公開
公式サイト:http://www.twilight-sasara.jp

キャスト:新垣結衣、大泉洋、中村蒼、福島リラ、つるの剛士、波乃久里子、藤田弓子、小松政夫、石橋凌、富司純子
監督:深川栄洋
脚本:山室有紀子、深川栄洋
原作:加納朋子「ささら さや」(幻冬舎文庫)
主題歌:コブクロ「Twilight」(ワーナーミュージック・ジャパン)
配給:ワーナー・ブラザース映画
(c)2014「トワイライト ささらさや」製作委員会

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