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運動会で組体操の巨大化と高層化が進行中 建物3階に相当も

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 小中学校で「運動会の華」と言えば組体操だ。中でも、人が何段にも積み重なっていく「人間ピラミッド」は演技のクライマックスに行なわれることが多い花形だ。しかし今、そのピラミッドが巨大化し、大変なことになっている。名古屋大学准教授の内田良氏がレポートする。

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「組体操」と聞いて、運動会の懐かしい記憶を思い起こす人も多いのではないか。
 
 確かに四つん這いになった子供の上に何層も積み重ねて四角錐状になる「ピラミッド」や、スクラムを組んだ子供の肩の上に次の階層が重なり円塔を作る「タワー」は運動会の花形であり、難易度の高い組体操に健気に取り組む子供たちの姿は感動的である。
 
 しかし現在、一部の小中学校で行なわれる組体操は、古きよき時代のそれとは「別物」と考えるべきだ。この10年で関西地方を中心に組体操の巨大化と高層化が進み、今や小学校で9段、中学校で10段の「お化けピラミッド」が登場した。その高さは7m、建物2~3階にも相当する。
 
 多くのデータがその危険性を証明する。学校内の負傷件数を記す『学校の管理下の災害』(日本スポーツ振興センター)を独自に集計すると、小学校の体育活動中における組体操の事故数(2012年度)は6533件に達し、跳箱運動、バスケットボールに次ぐワースト3位。跳箱運動は1~6年生、バスケットボールは3~6年生、組体操は5~6年生で実施するため、実施児童数に比べて組体操の事故件数の多さが際立つ。
 
 しかも組体操は重大な事故が発生しやすい。先のデータから負傷部位別を集計すると、「手・手指部」など「上肢部」の負傷割合が多い跳箱運動(67.2%) やバスケットボール(72.8%)に比べ、組体操は上肢部の負傷割合が少なく(27.7%)、「頭部」(8.2%)や「頚部」「腰部」など体の根幹を成す「体幹部」(22.4%)の負傷が多い。後遺症の残る事故である「障害事故」も2012年度までの10年間で20件発生している。
 
 実際、今年5月には熊本県の中学校で男子生徒が10段ピラミッドの練習中にバランスを崩して倒壊、最下段の生徒が腰椎骨折の大怪我を負った。
 
 高さ7mのピラミッドが土台の子供に与える負荷はすさまじい。各自が「腕に3、足に7」の力をかけるとして組体操の基本形から個々の生徒にかかる重量を試算すると、10段ピラミッド(計151人)では背面から2列目の中央部の生徒に3.9人分の負荷がかかり、これを中学3年生男子の平均体重(54.0kg)で計算すると211kgの重量となる。これは基本形の試算であり、ピラミッドが歪むと最大負荷はさらに大きくなる。

※SAPIO2014年12月号


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