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イギー・ポップやオジー・オズボーン、ザ・ブラック・キーズらがU2の無料配信戦略を批判

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posted by Jay Kogami

アップルとU2のiTunesアルバム・フリーダウンロード戦略を厳しく批判する海外アーティスト達:「音楽の価値を引き下げた」

先月アップルがU2と組んで、U2の音楽をiTunesユーザーに無料配信するプロモーション。「音楽史上最大のアルバムリリース」(アップルのティム・クックCEO)と大々的に開始した取り組みでしたが、勝手にU2の曲がダウンロードされているという多数のユーザーから不満の声が上がり、アップルは削除ページを設けたりボノが謝罪コメントを発するなど、後味の悪いプロモーションになりました。一般ユーザーから不満の声が上がる中、アーティストからもプロモーションに対する批判の声が上がり始めました。

イギー・ポップの場合

イギー・ポップは英BBC主催のラジオ・レクチャー「John Peel Lecture」にゲスト講師として登場し、音楽ビジネスや関連するトレンドを彼独自の考えを織り交ぜ、「Free Music in a Capitalist Society (資本主義者中心社会におけるフリーの音楽)」と題した講義を行いました。

その中でイギー・ポップは、怒りをU2のフリーダウンロード戦略に向け、強く否定するコメントを

「U2のフリーダウンロードが要らない人たちは「俺たちに強制しないでくれ」と言おうとしていた。彼らの意見は正しい。消費者がアーティストから何かを購入するプロセスの一部は、宗教的に清められるようなものだ。愛を与えていると言える。問題はそれだけじゃない。彼ら(U2)は悪者とは違う。だが、今では誰もがブートレガーであり、昔みたいに利口じゃないし、ただモノを盗んでいるだけのヤツらが「音楽に支払わせるように強制しないでくれ」と言っている。盗みが日常的になろうとしている。これはみんなにとってよくないことだ。」

イギー・ポップはまたミュージシャンがかつてはレコード会社やその経営陣の言い様に扱われてきたのが、今ではデジタル化で影響力を持った消費者によって不利益な状況に陥っていると言い、音楽ビジネスの現状を次のように説明しています。

「俺たちは企業の安っぽいパクリを、「コンピューター業界のプーチン」みたいな影響力のあるオタクたちの力を借りて、一般消費者と交換している。彼らは金持ちになって影響力を持ちたいとしか考えていない。

今は、超人気なバンドが無茶苦茶なチケット代をふっかけているか、音楽をただでばらまいて、失敗する前にどうにかして影響力おくを保とうとしている。この影響力ていうやつにはウンザリだ。」

オジー・オズボーンの場合

ことの発端は奥さんのシャロン・オズボーンのツイートから。

「U2、あんたらはビジネスの権力者で、もうミュージシャンじゃない。どうりで、誰も欲しくない二流の音楽をフリーで配るわけだ。」とつぶやいたシャロンに続いてオジー・オズボーンもU2に対してコメントを発しています。 オジーはShortlistのインタビューで
「U2はフリーでアルバムを配る余裕はある。しかし他のバンドはそんなことはできない。だから新人バンドには難しくなるんだ。マジで、ありえないくらい自分勝手だ。奴らはアップルからばかみたいにたくさん受け取っているんだろう。誰もがアップルと契約できるわけじゃないんだ。無数のバンドがあるけど、余裕がないからが誰にも聴かれていないんだ。」

とコメントしています。

ザ・ブラック・キーズの場合

アメリカの2人組ロックバンド、ザ・ブラック・キーズのドラマー、パトリック・カーニーが、アップルとU2のアルバム「Songs of Innocence」無料配信プロモーションは「彼ら自身の音楽の価値を完全に引き下げた」と戦略を非難しています。 カーニーはThe Seattle Timesのインタビューで

「たくさんの複雑なメッセージが彼らには伝わったみたいで、乗り越えるのに悪戦苦闘しているようだ。彼らはマジで自分たちが寛大なことをやっていると思ったんだろうね。」

とU2の戦略について答えています。 カーニーはまた定額制音楽ストリーミングサービス特にSpotifyにも怒りの矛先を向けます。 カーニーは

「音楽に関して僕が言いたいのは、誰かがそれでお金を稼いでいるのなら、アーティストは公平な配分を得るべきだということだ。Spotifyのオーナーは30億ドルくらいの価値があるそうだけど、彼はポール・マッカートニーよりも金持ちでまだ30歳で、人生で一曲も書いたことがないんだよ」

とSpotifyとそのCEOダニエル・エクについて独自の見解で否定する意見を述べています。 *ダニエル・エクは30ー40億ドルの資産があると言われているので、「30億ドル」はカーニーの間違い (彼は「とにかく金持ちである」ことを伝えたかったことは察します)。 ザ・ブラック・キーズは以前から音楽ストリーミングに否定的なスタンスを取っており、熱烈なファンはストリーミングに頼らずともアルバムを購入し、ライブにも足を運ぶと言ってきました。彼らはアルバム「Turn Blue」(2014年リリース)、「El Camino」(2011年)を今でもSpotifyで配信していません。 そんなザ・ブラック・キーズは2015年4月22日に11年ぶりの来日公演で新木場STUDIO COASTにてライブを披露します。

タイラー・ザ・クリエイターの場合

image via Flickr (Sara_for_Dinner)

アメリカ人MCでクリエイティブ集団「Odd Future」のメンバーでもあるタイラー・ザ・クリエイターは、U2とアップルの発表直後からTwitterで今回の取り組みの批判を連続でツイートしています。

タイラー・ザ・クリエイターとOdd Futureはクリエイティブな音楽マーケティングを仕掛けることで有名で、これまでもいくつかのブランドのマーケティングを手がけてきた実績もあります。

音楽向けのテクノロジーがさらに多様化してきたことで、消費者は今まで以上に音楽と接する選択肢が増えた一方で、今回のアップルとU2のように、コンテンツ提供側が消費者の気持ちを無視した行動に出てしまってはせっかくのテクノロジーの価値が台無しになってしまいます。音楽テクノロジーの議論をテクノロジー中心ではなく音楽中心で考えるためにも、ミュージシャンがテクノロジーやマーケティングに対して発言することはもっと重要視されるべきであり、アーティストが考える彼らとファン中心の音楽ビジネス環境を作るためにも、テクノロジー/マーケティングとアーティストとファンとのバランスが取れた関係と対話が求められます。

そのためにも、アーティストが自分たちが使う音楽サービスやテクノロジーやプロモーション手法について発言することは、変化の激しい時代性を考えた場合、非常に重要な行為だと思います。日本ではクリエイターが音楽ビジネスについて発言することはなかなか一般化しませんがはやく浸透してほしい文化だと感じます。

■記事元http://jaykogami.com/2014/10/9597.html

記事提供All Digital Music

Jay Kogami(ジェイ・コウガミ)
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