乳がんと宣告されたら… “先輩”のリアルなアドバイスが本に

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乳がんと宣告されたら… “先輩”のリアルなアドバイスが本に

 女性が一生の間に乳がんになる確率は14人に1人といわれ、日本人女性の乳がん患者は急増しているといわれている。ただし、自分で早期発見できる数少ないがんの1つであり、早期発見の完治率が高い病気でもある。

 『はじめての乳がん――働くあなたが聞きたい本音Q&A83』(土屋美樹/著、濱岡剛/監修、亜紀書房/刊)では、30代前半で友人と共に女性をサポートする会社を立ち上げ、仕事もプライベートも充実した毎日を過ごしていたが、40歳で突如、乳がんを宣告された著者の土屋氏が「病院さがし」「仕事のやりくり」「治療法」「お金」など、経験者ゆえのリアルな83のノウハウをQ&A形式で紹介する一冊だ。

■先輩たちのリアルなアドバイス
 本書の巻末では、体験者アンケートとして未婚4名、シングルマザー1名、既婚子あり3名の計8人の乳がんの先輩から素朴な疑問やアドバイスをまとめている。

 例えば、「乳がんだとわかったきっかけは?」という質問では、「自治体や会社の検診」(3人)「生理が終わっても、片方の乳房の張りだけが元に戻らなかったので、おかしいと感じた」「自分でしこりを見つけた」といった回答が寄せられており、検診を受けることの重要性が分かるだろう。

 また、本書のサブタイトルに「働くあなた」という言葉が入っている通り、どのように仕事と向き合うかということも重点的に触れられている。
 「治療と仕事(家庭生活)の両立のために工夫したことは?」というアンケートには、「家事は手抜きして過ごした」「勤務先で病気のことをオープンにし、理解を得ることで治療しやすくした」「家族と笑い話をして、いつも以上にコミュニケーションを図るようにした」などの回答が書かれており、理解してもらうこと、コミュニケーションの大切さがうかがえる。本書の本編でも具体的に、いつどのタイミングで上司や職場に伝えるべきかがアドバイスされており、参考になるはずだ。

■欠かせない家族のサポート
 病気の本当の苦しみは当事者にしかわからないものだが、家族をはじめとした周りの人たちのサポートは欠かせない。本書では、一緒に闘った家族へのアンケートも紹介している。

 「治療中、サポートする立場としてツラかったことは?」という質問には、「本人が精神的に強く、感情を表に出さないこと」「子どもたちのため、体調不良でも、普段通りに笑顔で過ごしていること」といった回答が、「治療中のご家族とパートナーと、どう向き合った?」には「とにかく不安を取り除いてあげたかった」「万が一のことがあっても、絶対家族を守るという約束をした」「なるべく話を聞くようにした」というような声が寄せられる。本当につらいのは本人。だからこそ、家族のサポートは必須だ。

 もし、乳がんと診断されたとき、どうしたらいいのか。気持ちをどう保てばいいのか。病院選びや治療法、お金や保険のこと、仕事や家庭のこと、どうすればいいのかわからないことは多いし、1人では冷静に考えることができない状態になってしまうかもしれない。

 本人だけでなく、家族も不安になってしまうだろう。しかし、土屋氏のように前向きに乳がんと向き合っている人たちもたくさんいる。闘病中、当たり前だと思っていたことの中にたくさんの「幸せ」を見つけることができ、マイナスが大きい分、得られるプラスも想像以上に大きかったと、土屋氏は語る。

 「“がん”という響きはオドロオドロしいので、この際“ポン”くらいに考えて、治療に取り組んで下さいね」というメッセージからスタートする本書。実はこれは、著者が取り寄せたがん治療に関する中古本に添えられていた送り主からのメッセージなのだそうだ。
 女性だけでなく、男性も読んでおくべき1冊であり、乳がんという病気について知っておくことは大事なことだと気づかされるだろう。
(新刊JP編集部)


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