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タブレット学習や官民一体型学校 武雄市の教育改革はまちの魅力となるか?

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タブレット学習や官民一体型学校 武雄市の教育改革はまちの魅力となるか?

TSUTAYAと連携した武雄市図書館で一躍全国に名を馳せた佐賀県武雄市。次のチャレンジは、教育改革だという。ICT(情報通信技術)活用や全国学力テストの結果公表など教育改革に早くから関心を寄せていた樋渡啓祐武雄市長の肝いりだ。2014年度から、市内の小学生全員に持ち帰りを前提としたタブレット端末を配布した。全小学生にタブレットを配布し「スマイル学習」を導入

昨年10月、杉並区立和田中学校の校長を務めていた代田昭久さんを武雄市教育委員会の教育監として招いた。和田中学校といえば、民間人校長を招き入れ、公教育改革をリードしてきた学校として知られる。

初代民間人校長の藤原和博さんにつづいて、2代目校長の代田さんもリクルート出身で教育界に転身した。代田さんが、教育改革に取り組むに当たって提案したのは「反転授業」という手法だ。武雄市では、タブレット端末を活用して、5月から「反転授業」を取り入れている。

反転授業とは、子どもはあらかじめ自宅で授業のタブレットに格納された7分程の動画を見て事前に知識学習を行う。次いで、学校ではその知識を教えあったり議論することを充実し、発展的な学習に結びつけるというものだ。学習において、学校と家庭の役割を逆にすることから「反転」授業と呼ばれる。

武雄市スマイル学習課の古賀龍一郎さんによると「今年度は、3年生以上の算数と4年生以上の理科の授業で反転授業を取り入れています。基本的に文科省の指導要領に基づいたカリキュラムには変わりなく、教材の動画については、授業を担当する先生自身で作成してもらっています」と話す。反転授業の導入に当たっては、当初は先生たちの戸惑いも大きかった。ただし、構想から1年の準備期間を設けることで理解を得てきた。いまでは、先生たちも意欲的に動画づくりに取り組んでいるそうだ。

古賀さんは「子どもたちが家庭で事前に学習してくるため、授業時間はグループ学習に時間を当て、先生は子どもたちの考えや意見をファシリテート(促進)する教育に転換しています。この武雄方式の反転授業を、わたしたちはスマイル学習と呼んでいます」と説明する。(School Movies Innovate the Live Education-classroom<教員の動画で教室の学びを革新する>という意味だという)

そして「タブレットを特別なものと考えるのではなく、これからの子どもたちにとっては、ものさしや消しゴムと同じような学習に使う“道具”として考えています」という。タブレットは反転授業以外にも体育で模範実技の動画を見たり、理科の実習で花の写真を撮って名前を調べるなどに利用するという。また、タブレットは学校ではネットワークにつながるが、家庭ではオフラインで利用する設定にしている。

今年度の反転授業の効果に対する実証研究については、東洋大学経済学部の松原聡教授に、武雄市ICT教育推進協議会委員長に就任してもらい、その検証を行っている。

【画像1】小学生全員に持ち帰りが前提のタブレットを貸与した。ノートや鉛筆と同じく、学習の道具としてタブレットを活用している。反転授業で用いる以外にも、屋外に持ち出して花や植物の写真を撮って、その名前を調べたり、学習へ多様な利用を行う(写真提供:武雄市)

【画像1】小学生全員に持ち帰りが前提のタブレットを貸与した。ノートや鉛筆と同じく、学習の道具としてタブレットを活用している。反転授業で用いる以外にも、屋外に持ち出して花や植物の写真を撮って、その名前を調べたり、学習へ多様な利用を行う(写真提供:武雄市)

【画像2】小学校の先生が独自に作成した事前学習用の教材(写真提供:武雄市)

【画像2】小学校の先生が独自に作成した事前学習用の教材(写真提供:武雄市)

【画像3】民間の出版社とも提携し、動画の活用も行う(写真提供:武雄市)

【画像3】民間の出版社とも提携し、動画の活用も行う(写真提供:武雄市)来年度から「花まる学習会」と連携した官民一体型学校を

代田さんは、武雄市の教育改革に当たって、反転授業の導入に加えて、官民一体型の学校を提案している。そこで、武雄市は、来年度から、民間側のパートナーとして学習塾「花まる学習会」(さいたま市)を選定した。

元和田中学校校長で武雄市特別顧問を務める藤原和博さんの紹介を受け、子どもの自立を促す独特の教育方法に注目したからだ。スマイル学習課の古賀さんは「花まる学習会との連携は、子どもたちが自立できる大人に成長してもらう、という思いから始まっています」と解説する。

代田さんが4月から校長に着任した市内の武内小学校では、官民一体型のモデル校として、2学期から花まる学習会の教材や指導方法を取り入れて実証研究に乗り出す。そのうえで、来年度からは市内に11校ある小学校のうち、まず2校で本格的な官民一体型学校の導入を目指す。新しい教育環境を求めて「移住」の問い合わせも

官民一体型学校への反響は大きい。来春「花まる学習会」との連携を導入する市内2校の選定を巡っては、父兄の期待もあり、市内の校区毎の「競争」が活発化しているという。また「市外、それも福岡県や長崎県といった隣県だけではない全国の父兄からの問い合わせが数十件、武雄市に寄せられている」と古賀さんは打ち明ける。まだ関心が寄せられている段階だとはいえ、新しい試みの教育が受けられそうだからと、武雄市への移住を検討する世帯もいることのあらわれだろう。

来年度は、小学校に続いて、市内の中学生へのタブレットの配布も行う予定だ。行政による公共施設や教育、住民サービスの魅力づくりが、移住してでも住みたいまちとなるのか、その行方が注目される。
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/10/16/71322/

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