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「赤ちゃんポスト」から考える親の責務

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1987年ごろから「未婚の母」は急激に増加

熊本市の慈恵病院に設置されている「赤ちゃんポスト」について、同市の専門部会は9月に利用実態や課題をまとめた検証報告書を公表しました。報告書によると、約7年間で預けられた赤ん坊は101人で、約1割(11人)の子どもに障害があったとのことです。また、「一般的に子どもに障害があるという事実を、親は時間をかけて受容していく。しかし、赤ちゃんポストの存在が親の迷いを助長する可能性がある」と懸念を示しています。

一時、ドラマにも取り上げられて問題となった「赤ちゃんポスト」についての世論は、どの視点に立ち、どの角度から捉えるかによって賛否両論が分かれます。本来であれば、その存在を社会全体で前向きに捉え、足りない部分、疎かになっている部分を補強していく必要があります。同時に、「赤ちゃんポスト」を誰も必要としなくなるという理想に向かい、国を挙げて根本的な社会制度の改革と法整備、人の心の在り方の教育と改善が求められます。

しかし、逆説的に現在も「赤ちゃんポストが利用されている」ということは、必要に迫られて存在していると考えられます。1987年ごろから現在にかけて、「未婚の母」の数は上昇を続け、特に1987年~2007年の約20年は急激に増加。2006年、熊本市で申請された「赤ちゃんポスト」が、2007年に設置された理由がデータからもわかります。

義務教育期間で「人としての情動教育」を行うことが望ましい

赤ちゃんポストを利用しなければならないほど追い込まれた女性は、昔も決して少なかったわけではないと思いますが、昔は今よりもっと閉鎖的な社会であり、母子ともに闇に葬られていたかもしれません。いずれにしても、根本的な解決は前述のように国を挙げて政府に動いてもらうことです。それは、「親になる、親をする」の正しい意味や価値を、大人になる以前の学童期から教育の中で伝え、教える必要があるからです。家庭教育でそれを担うには、「世代間連鎖」という壁が立ちはだかります。つまり、親が知らないことは、親も教えられません。

私は国民の誰にも公平な義務教育期間の9年間で、しっかり「人としての情動教育」を行うことが望ましいと考えます。情動教育(EQ)こそが、将来的に「親になる条件」を満たすために必要な教育と言えます。それは、「人の尊厳を守り、自他ともに尊重し、認め、愛し、理解し、許し、各自が感情や衝動という情動のコントロールができる人間になる」教育だからです。

現在の大人たちも遅くはないので、気付いた人から一刻も早く情動教育を学び、人が「人を産み育てる」という尊い行為を、「尊いことだ」と理解認識していく必要があります。子どもはどこに生まれ落ちても、未来社会を形作っていく「社会の子」として大切な存在です。「社会から預かっている」「子の自立を目的としている」という子育てに対する親の心得は、親自身の情動教育で身についていきます。そうした世の中になることを祈っています。

カテゴリー : 政治・経済・社会 タグ :
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