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「エボラ出血熱」をめぐる恐怖と希望 傑作ノンフィクションが20年を経て緊急復刊

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 現在、西アフリカを中心に猛威をふるっているエボラ出血熱。先日、ついにアメリカ国内でも、エボラ出血熱の感染者が確認されました。アフリカ以外で エボラウイルスに感染していると診断されたのはこれが初めてのこと。

 エボラ出血熱は、病気を発症した後に、患者の血液や体液を介して他者へ感染する病気。致死率は最大で90%といわれ、また有効な治療法が確立していないため、米国内での感染拡大が懸念されています。

 実は、アメリカにおけるエボラ出血熱騒動は今回が初めてではありません。1989年、全米を震撼させた「ある事件」が起こりました。

 舞台は首都ワシントン近郊のレストン。フィリピンから輸入されたカニクイザルという種類の猿がエボラ出血熱特有の症状とともに大量死し、その後、サルの”故郷の森”にもエボラウイルスが潜んでいたことが判明しました。翌年、問題のサルと接触していた6人から抗体が見つかりますが、発病には至りませんでした。

 1994年に出版された『ホット・ゾーン――「エボラ出血熱」制圧に命を懸けた人々』は、この騒動を題材にしたノンフィクション作品。本書では、同疾患が猿から人間へ感染が広がることを阻止するため、陸軍の伝染病医学研究所を主体とした「エボラ制圧チーム」が組織され、彼らが命がけで任務に取り組んだこと描かれています。

 著者リチャード・プレストンの徹底的な取材、そしてそれを基にして豊かな表現で描写された本書は、事件の「真実」を記録した作品としても意義深いものとなり、日本でも累計64万部を超える大ベストセラーとなりました。

 そして今、西アフリカでの未曾有の事態に直面し、初版から20年を経て緊急復刊。現在、感染が拡大しているエボラ出血熱の型は、レストンで確認されたものと比べはるかに人体への感染力が強く、来年の1月には感染者が140万人にも達する可能性があると世界保健機関(WHO)が報告しています。はたして今後、感染拡大をどこまで抑えることができるのか。この本から得られる教訓は少なくないのではないでしょうか。

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