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9mm Parabellum Bullet、“希望の音”を鳴らす全国ツアーが札幌から開幕

9mm Parabellum Bulleのt『Next Bullet Marks Tour 2014』ツアー初日、札幌公演の幕が開いた。ベストアルバム『Greatest Hits』を引っさげてのこのツアーは、このバンドの“明日への新たな弾痕"を、“ファンの心に次なる楔"を撃ち込むツアーだ。気合いの入り方はツアータオルと同じデザインが施されたツアー機材車を見てもよく分かる、ってもんだ。

『Next Bullet Marks Tour 2014』ライブ写真 @札幌 PENNY LANE24 9/27公演 (okmusic UP's)

オフィシャルBlogで菅原卓郎(Vo&G)は「『Greatest Hits』の狙いのひとつは、9mmとリスナーが出会うことにある」と書いていたが、今まで以上に若いKIDS達、特に男子の姿が多く目につき、場内には早くも爆発的な空気感が漲っている。やるせないこんなご時世に風穴を開けるべく、正々堂々と真っ正面からぶつかって行くロックンロールを待ち望んでいる観客の気配が、スパイラルを描いて天井に届いたと感じたまさにその時客電が落ち暗転、SEと共にステージにメンバーが現れた。

それに呼応してフロア前方の密度がアップし、場内の熱量も一気に上がる。お馴染みの、腕を大きく振り深々とお辞儀をして「9mm Parabellum Bulletです、こんばんは」と声をかけた気負いのない卓郎の笑顔には、楽しい時間を共有できる単純な嬉しさだけがあった。

この日のトップを飾ったのは、インディーズ時代からの代表曲「(teenage)Disaster」。真っ赤な照明が彼らの初期衝動の塊を照らし出し、創り出す世界を支える。続いては5thシングルの「Answer And Answer」で、早くもここで新旧が交わる大胆なセットリストだが、観客のボルテージは早くもレッドゾーンを振り切っているような激しさだ。

「Cold Edge」、複雑な構成を持つこの曲を観客は完全に理解していて、曲の進行に合わせて拳を振り上げ手拍子を重ねてゆく。「新しい光」での全員による自然発生のコーラスは、ステージの4人と共に今を楽しんでいる証だろう。「ありがとう!」と言った卓郎の満面の笑みがそれを象徴していた。

「今日がツアーの初日だよ! 盛り上がっていこう、もっと、もっとだよ!」

現在もツアー中のため詳細は伏せておくが、特筆すべきはセットリストは毎日変わり、同じものは一日もないということだ。それが可能なのは、4人のみならずPA/照明/ローディ(楽器のケアなどをするためステージのソデにいる人)というスタッフまで含めた『Team 9mm』が有機的に結びついているという事だ。ファンの皆さんはご存知のように、9mmにはコード進行が複雑で1曲の間に何度も転調があるという重層的な楽曲が多い。それは主に作曲を担当する滝 善充(G)が高校生の頃にはドラムを、子供の頃からキーボードを、そして今ギタリストとして活動しているという経歴による。

滝は言う。「キーボードで曲を作る人はコードを大事にして作りますよね。ドラムの人はリズムにこだわるし、ギターの人はリフ命という人が多い。僕はそれを全部大事にして詰め込みたい。誰もやっていない面白い曲を作りたいんです」と。

そうして作られた楽曲に、かみじょうちひろ(Dr)も、中村和彦(B)も、卓郎も、それぞれのニュアンスとアイデアを付け加え、あのオリジナルな風合いを保つ楽曲が生まれる訳だが、その曲がたとえ急遽変わったとしてもPAは易々と彼らが欲しい中音(モニターから聞こえる、メンバーが聴く音)を作り、彼らが観客に届けたい音像をコントロールするのだ。照明は、歌詞のニュアンスを大事にしつつ、滝と中村のどう動くか分からない激しいアクションを、華麗なかみじょうのスティックさばきを、最大限観客にアッピールするために光の美を作り上げる。

例えば8曲目に演奏された「Supernova」で卓郎が片手を上げて観客を煽れば、すぐに客席に白いライトが当たり、ライヴの熱がみなぎっていくということなのだ。それが可能なのは全ライヴスタッフが7~9年メンバーと行動を共にしているからであり、誇らしげな『Team 9mm』とはつまりそういうことだ。

12曲目が終わりMCになる。卓郎が「札幌、寒いよね。ナメてた」というと客席から「暑いよ」とすかさず声が掛かる。それは多分“今この会場内が暑いよ”という意味なのだと思うが、卓郎は「これでも暑いの? 昨日キャンペーンをしてたんだけど、あんまり寒いからユニクロに駆け込んでジャケット買っちゃったよぉ。パタゴニアに行かなくて良かったな(笑)」と、若干の噛み合わなさが、なんとも暖かくゆるいホッとするひとときを作り上げるのだった。

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