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女性管理職40%企業の“秘策”

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「2020年までに女性管理職比率を30%に引き上げる」。2003年に政府が掲げた目標がにわかに熱を帯びている。現状はわずか6.6%(平成25年度雇用均等調査)と道のりは遠い。だが、既にこの目標をクリアしている企業も一部にはある。帝国データバンクが2013年7月に調査した結果によると、回答を得た1万395社のうち、女性管理職比率が30%以上の企業が5.6%(585社)。こうした企業では、なぜ女性管理職の登用に成功しているのか?

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「基本的には男女平等に機会を提供しているだけ。特に女性優遇をしているわけではありません」――そう話すのは、リクルートスタッフィングの長嶋由紀子社長。同社の女性管理職比率は39.5%に上る。ただ、これは“何もしていない”という意味ではない。男女平等に機会を提供するために、同社が2013年1月から加えて取り組んでいるのが「スマートワーク」という働き方の浸透だ。

「スマートワークの狙いは単に“男女平等な機会提供”の実現ではありません。本当の狙いは“限られた時間の中でより効果的に業務を行うことであり、そうした働き方のできる組織を築くこと”。そうすれば男女関わらずプライベートとの両立を図りたい人にとって、働きやすい職場になります。今や長く働いたからといって成果が上がる時代ではありません。むしろいかに限られた時間を意識して、その中で密度高く効果的なアクションを判断・実行できるかが成果に繋がります。そのためにも、労働時間外にどれだけインプットを増やせるかが付加価値を高めるカギ。個人としても企業としても、そういう働き方を目指したほうが競争力UPに繋がります」(長嶋さん)

スマートワーク導入の“ゴール”はあくまで企業競争力の向上。長嶋氏が重視するのは「優秀な人材の登用」と「従業員の能力向上(成長)」だ。

「競争力を上げるためには、より優秀な人材を登用する必要があります。ならば人口の半分(男性)から管理職を選ぶより、全体(男女双方)から選んだほうが良いのは必然。しかし長時間労働を前提にしている限り、優秀な女性人材を失うことになりかねない。ならば“短い時間で成果を挙げられるような組織”を目指したほうが合理的。また、従業員の成長という意味で言えば、スマートワークで生み出された時間で新たな分野(英語でもMBAでも子育てを通した家族経営でも何でもいいのです)の勉強をしたり、普段はあまり接点のない新たなコミュニティに参加したりして情報や多様な価値観のインプットを増やして欲しい。スマートワークはそのための成長戦略なのです」

とはいえ、スマートワーク構想を掲げたとき、現場のマネジャー陣からは抵抗もあったという。元来時間を厭わずバリバリ働くのを良しとする社風。もっと働きたいのに、スマートワークに取り組んで何が得られるの? という不満の声もあった。

そこでスマートワークを浸透させるため、「時間当たりの生産性」を人事評価の参考指標に加えた。同じ業績なら労働時間が短いほうが高い評価を受けることになる。

マネジャー層の意識を変えるため、役員自ら対話の場をつくり、疑問や不安を吸い上げていった。生産性の高い組織を表彰する制度も整えたという。「効率良く成果を上げた事例」のノウハウ共有にも取り組んだ。一見遠回りに見える施策だが、「急がば回れ」だと長嶋氏は語る。

施策の効果は徐々に表れ、スマートワークは導入1年でかなり定着した。昨年4月と今年4月の月間労働時間を比べると、全社平均で7.4時間ほどの削減になったという。

もちろん、同社の39.5%という女性管理職比率は、導入1年半のスマートワークだけで達成されたものではない。だが、スマートワークはひとつの象徴といえる。背景にあるのはリクルートグループのCSR方針だ。女性活躍を成長戦略と捉える長嶋氏の発想とも深く関わっている。

「リクルートはCSR方針として5つの重点テーマ――『1.働く機会を作り、輝く人を増やす』『2.多様な生き方・暮らし方を支援する』『3.将来を担う人材の可能性を引き出す』『4.時代に合う働き方を自ら実践し広める』『5.人権を尊重し環境を守る』…に取り組んでいます。「スマートワーク」により、派遣会社としての私たちが自ら『4.時代に合う働き方を自ら実践し広める』を実践することで、長期的には社会全体を『1.働く機会を作り、輝く人を増やす』方向に動かしていければ、と思っています」

時間当たりの生産性が重視されるようになれば、ポテンシャルを発揮できずにいた女性たちにチャンスが広がる。それは企業や国にとっても成長に繋がる道筋だ。IMFによれば「日本の女性労働力率が他のG7並みになれば、1人あたりGDPは4%、北欧並みになれば8%上昇する」という。「スマートワーク」は、まさにそのための処方箋であり“秘策”というべきだろう。
(篠塚裕也)
(R25編集部)

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※コラムの内容は、フリーマガジンR25およびweb R25から一部抜粋したものです
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