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成城石井買収で富裕層狙うローソン 多角化の背景に潜む不安

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 全国で5万3000店を超え、売上高10兆円に迫る巨大市場を形成するコンビニエンスストアだが、ここにきて差別化の流れが加速している。

 中でも、食品コンビニを柱にエンタメ分野にまで手を広げ、収益源の多様化を模索しているのが業界2位のローソンだ。

 ローソンは従来型のコンビニ業態に加え、低価格で生鮮食品も多く揃える「ローソンストア100」や、無添加食品など健康に気を遣う女性向けの「ナチュラルローソン」、今年2月からは「ローソンマート」を出店してスーパーマーケット業界への本格参入も果たした。

 多業態、多店舗網を活かした“複合型コンビニ”への変貌はこれだけにとどまらない。調剤薬局(クオール)併設型コンビニの拡大や、ケアマネジャーが常駐する介護支援型コンビニの出店方針など、高齢化社会に対応した新業態にも力を入れる。

 さらに、2010年に音楽・映像ソフト販売のHMVジャパン(現LHE)を、今年8月にはシネマコンプレックス(複合映画館)運営のユナイテッド・エンターテインメント・ホールディングス(UEH)とエンタメ企業の買収も決め、まさに“全方位戦略”に打って出ている。

 こうしたローソンの動きについて、コンビニ業界の専門紙『コンビニエンスストア速報』編集長の清水俊照氏は、こう見ている。

「当初、消費増税の影響は食品にまでは及ばないだろうと予想されていましたが、消費者の節約志向は根強く、コンビニも苦戦を強いられています。このまま食品メインのコンビニやスーパーだけでは生き残れないというのがローソンの考えです。

 その一方で、質のいい高級食材や商品のニーズが高まっているのも事実。つまり、二極化が進む消費マインドと多様化するニーズをいかに捉えられるかの難しい局面を迎えているのです」

 そして、9月30日。ローソンはかねてより噂されていた高級スーパーの成城石井を買収する旨を発表した。成城石井は関東圏を中心に120店舗を展開し、スーパーチェーンとしては小粒だが、「ローソンが傘下に収めたメリットは大きい」と、前出の清水氏。

「成城石井はワインやチーズなど高付加価値商品の輸入や、素材にこだわった自社開発の食品などが人気になっている点で、健康志向のナチュラルローソンとリンクさせることができます。

 なによりも、これまでローソンと接点のなかった富裕層を取り込めることが、他のコンビニとの大きな差別化につながるでしょう」(清水氏)

 だが、不安要素も潜む。急激な拡大路線と多角化がローソン本体の体力を疲弊させてしまわないかということ。成城石井の買収金額も364億2000万円、負債を含めた総額は550億円にのぼるとみられている。決して安い買い物ではない。

「サントリーに移籍したカリスマ経営者、新浪剛史氏からバトンを受けた玉塚元一社長は、『リスク管理は万全、投資余力は残している』と言っていますが、自分の実績を早く出したいと焦っているようにも見えます。

 事実、今後5年で3000店にすると意気込むナチュラルローソンは関東以外ではあまり受け入れられず苦戦している状況。さらなる消費増税も控える中、成城石井のMD(商品政策)を間違えば、ローソンとの相乗効果も薄れてしまいかねません」(経済誌記者)

 ローソンは先日屋号の消滅が発表されたダイエーの100%子会社「ダイエーローソン」がはじまり。拡大路線がアダとなったダイエーを反面教師に、小売業界の再編をどう進めていくのか。その真価が問われている。


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