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日本最初のアーケード商店街が挑戦!「リノベーションまちづくり」前編

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日本最初のアーケード商店街が挑戦!「リノベーションまちづくり」前編(画像提供:らいおん建築事務所)

「シャッター商店街」という言葉が一般的になるほど、商店街の衰退が叫ばれて久しい。もはや大都市も例外ではないこうした状況を「リノベーション」を軸にしたまちづくりで乗り越え、大きな変化を遂げようとしている商店街が北九州にある。「ドラム缶に札束」…製鉄とともに栄えたアーケード商店街

北九州市小倉。JR小倉駅前から約350m続く「魚町銀天街」は、60年以上前(昭和26年)に日本で最初にアーケードをかけた商店街として知られる。かつて製鉄のまちとして栄えた北九州一の繁華街として活況を呈し、昭和初期には「歳末のくじ引きで一等賞品が”家”」「ドラム缶に足で札束を押し込んでいた」など豪快なエピソードが語り伝えられる。しかし製鉄産業の撤退、またバブル崩壊を経て集客は激減。空き家問題が深刻化していた。
この商店街が今「リノベーション」を合言葉に大きく変わろうとしている。使われていない建物がリノベーションされ、若き起業家やクリエイターたち、学生たちの集まる拠点などに生まれ変わった。すでに二百数十人という新たな雇用が生まれ、通りを行き交う人の数も上昇を続けている。

【画像1】かつて小倉の商人たちが自らの資金でアーケードをかけたという魚町銀天街(画像提供:北九州家守舎)

【画像1】かつて小倉の商人たちが自らの資金でアーケードをかけたという魚町銀天街(画像提供:北九州家守舎)“小倉家守構想”からすべてが始まった

この取り組みを牽引してきた、魚町商店街振興組合の理事長を務める中屋興産株式会社の梯輝元氏に話を聞いた。先々代から受け継いだ「中屋ビル」は1968年築。「中屋金物店」として店を構えていた当時から同じ場所で、魚町の商店街と歩みを共にしてきた。

「最初のきっかけは、清水義次先生の提唱された”小倉家守構想”です」

北九州市は全国の政令指定都市の中でも縮退が進んでいた都市であり、平成19年度の時点で中心市街地のメイン通りで6〜8%、メインを外れると20%超の空き店舗を抱えていた(北九州市調べ)。こうした事態に危機感を持った北九州市が2010〜2011年、東京・神田などで地域活性を手がけてきた建築・都市・地域再生プロデューサー・清水義次氏(株式会社アフタヌーンソサエティ)を招いたのだ。

そこで氏が提唱した “家守構想”とは、単にテナントをリーシングするのではなく”現代版家守”として遊休化した不動産を活用してその地域に求められている産業を生み出し、まちを活性化していくというもの。ちなみに”家守”とは江戸時代にまちのさまざまな面倒を見、維持管理をしていた差配人のような存在だ。この”小倉家守構想”を策定するための委員会に梯氏も招かれていた。

「ちょうど、うちのビルからテナントさんが撤退して空くことが決まっていたので、”私がやります”と手を挙げました」

以前から自社ビルの活性化について相談をしていた建築家、らいおん建築事務所・嶋田洋平氏に相談したところ、嶋田氏が若い起業家が集まる拠点「メルカート三番街」を提案。梯氏の即決で、自社ビルのリノベーションがスタートした。さらに工事中には建築家や不動産業界関係者を集めて『リノベーションシンポジウム』を開催。まちの遊休不動産の活用についてさまざまな議論を行った。

【画像2】中屋ビルで最初のリノベーションによって生まれた起業家たちの拠点『メルカート三番街』(画像提供:らいおん建築事務所)

【画像2】中屋ビルで最初のリノベーションによって生まれた起業家たちの拠点『メルカート三番街』(画像提供:らいおん建築事務所)『リノベーションスクール』の誕生、そしてまちづくり会社の設立

その後も嶋田氏とともに自社ビルのリノベーションを1フロアずつ進めながら、全国から建築や地域の再生に関心の高い受講生を集めて開催する『リノベーションスクール』を開始。リノベーションを中心に全国で活躍する建築家や不動産プロデューサーを講師に迎え、4日間で遊休不動産の活用プランを作成、実際にオーナーヘのプレゼンテーションまで行うという実践型のスクールだ。

2012年には嶋田氏や北九州市内の大学教授たち、インキュベーションカフェのオーナーらが中心となって、スクールで生まれた案件を事業化していくための完全民間のまちづくり会社「北九州家守舎」を設立。提案に賛同してはいるが投資できないオーナーのかわりに北九州家守舎が投資してリノベーション・転貸するという仕組みで、小倉初のコワーキングスペース『MIKAGE 1881』などを立ち上げてきた。

【画像3】リノベーションスクールの提案から生まれたコワーキングスペースMIKAGE1881(画像提供:北九州家守舎)

【画像3】リノベーションスクールの提案から生まれたコワーキングスペースMIKAGE1881(画像提供:北九州家守舎)

リノベーションスクールは2014年3月に第6回目を迎え、全国から集まる受講者の規模も100名と膨れ上がった。『リノベ祭り』と題し、遊休不動産や公共空間を使った関連イベントも併せて開催。4日間でのべ1万9000人を集客した。
これまで『リノベーションシンポジウム』は熱海、鳥取などで、『リノベーションスクール』は和歌山ですでに開催。2014年度からはさらなる展開も期待できそうだ。

【画像4】第6回リノベーションスクール。全国から集まった受講生たちと気鋭の建築家たちが遊休物件の活用プランに全力で取り組む(画像提供:北九州家守舎)

【画像4】第6回リノベーションスクール。全国から集まった受講生たちと気鋭の建築家たちが遊休物件の活用プランに全力で取り組む(画像提供:北九州家守舎)

後編ではこうした取り組みにより具体的にどのようなまちの変化が生まれているのか、また空き家問題のみならず火災の頻発やアーケードの老朽化といった難しい課題と向き合い、大きく変貌を遂げつつあるアーケード商店街の未来像についてご紹介します!

※この記事は2014年3月に取材した記事です●北九州家守舎
HP:http://www.yamorisha.com/
●リノベーションスクール
HP:http://renovationschool.net/
●メルカート三番街
HP:http://www.mercato3.com/
●街元気-まちづくり情報サイト 「まちづくりQ&A 「現代版家守」によるエリア再生のプロデュース〜清水義次PART2」
HP:https://www.machigenki.jp/content/view/1701/458/
元記事URL http://suumo.jp/journal/2014/09/29/70182/

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