ホテルに「専用フロア」を設けなければならないほどアレなお客様もいる

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ホテルに「専用フロア」を設けなければならないほどアレなお客様もいる

お客様が快適に宿泊できるように、ホテルの客室は設備・清掃ともに完璧な状態で提供するのが大前提です。客室の壁紙がはがれてしまった場合や備品が壊れてしまった場合などには、客室のメンテナンスが完了するまで売り止めとなってしまいます。

このように瑕疵のある状態の客室を、ホテルスタッフは「故障部屋」と呼んでいます。故障部屋は基本的には全て売り止めにしますが、例外もあります。他の部屋がすでに満室だけど、どうしても宿泊を希望されるお客様がいらっしゃる場合などには、格安料金で販売することもあるのです。
「におい」が原因で故障部屋が発生することも

故障部屋を販売する際には、当たり前ですが、事前に故障の内容をご説明し、お客様の了承を得ることが絶対条件です。また、故障内容が「お客様の快適な滞在に支障がでない」ものである場合に限られます。

例えば「空調設備が壊れている」部屋があった場合、真夏や真冬であればお客様に不快な思いをさせてしまう可能性が高いので売り止めにします。しかし春や秋であれば、空調がなくても比較的快適に過ごしていただけるので、販売が可能だと考えます。

不備のある状態の部屋を販売するので、事前の説明が不十分だとクレームの原因となるおそれがありますが、説明さえしっかりしていれば「格安で泊まれるなんてラッキー!」と、お客様にも意外と高確率で喜んでいただくことができるのです。

さて、故障部屋とひとまとめにして呼んではいますが、故障の内容は「ベッドの足が折れた」という大変なものから、「壁に小さな落書きがある」という軽微なものまで、部屋によって様々です。その中で、私たちホテルスタッフが一番「厄介だな」と感じてしまう故障内容があります。それは「におい」です。

お客様の中には、失礼ですが、「最後にお風呂に入ったのはいつ?」と聞きたくなるようなにおいを放っている方も稀にいらっしゃいます。そのような方が滞在した部屋は、チェックアウト後に専用の機械を使って脱臭処理を行いますが、それでもダメな場合、完全に抜けるまで売り止めとなってしまうのです。
ウェブ経由のお客様は「口コミ」が怖い

ある日、そのお客様――仮にXさんと呼びます――は、ホテルに入って来られたときから強いにおいを放っていました。年季の入っていそうな色あせたダウンコートに、ボロボロの鞄。正直、宿泊をお断りしたいレベルでした。

しかし、たまたま閑散期で空きフロアがあったため、支配人と相談の結果、他に誰もいないフロアにお通しすることになりました。それでも私たちは、Xさんがチェックアウトするまで、他のお客様からクレームが来ないか気が気ではありませんでした。

幸い何事もなく、Xさんは翌日チェックアウトをされたのですが、その後しばらくフロア中に染みついたにおいは取れず、4日間ほどフロア全体が売り止めとなったのでした。

ちなみに、髪の毛が脂でガチガチに固まっているなど見るからに不衛生な方の場合は、ホテル約款違反を理由に宿泊をお断りできますが、Xさんの場合は、見た目はボロボロの服や持ち物を身に着けているだけだったので、宿泊拒否と判断できなかったのです。

なお、予約状況によっては、宿泊拒否のハードルが高くなるという事情もあります。たとえばネット代理店で予約をされていて、しかもカード決済だった場合、宿泊キャンセルの処理が通常の電話予約より煩雑になってしまいます。

また、ウェブ経由で予約したお客様は口コミの投稿ができるので、「下手したら悪いことを書かれてしまうかも知れない」と考えた結果、宿泊拒否以外の方法をとりがちです。このようなお客様の対処は、他のホテルではどのようにしているのか。私は今でも気になっています。

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