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「ゆるい就職」はフリーター礼賛と同じなのか 「親が死んだらどうする」と懸念も

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若者に「週休4日、月収15万円」で派遣や契約社員の仕事を紹介する「ゆるい就職」が依然ネット上で話題だ。正社員として週5日を会社に捧げる働き方とは別の「新しい選択肢」として期待される一方、「将来のキャリアは大丈夫なのか」と批判的な意見も続出。議論が活発化している。

キャリコネニュースはこれまで3回にわたって「ゆるい就職」を取材。9月中旬のワークショップの様子を紹介した最新記事には、配信先のニコニコニュースで300件を超えるコメントが寄せられ、好意的に見る人も少なくない。

「いい流れだとは思う、週5日だけが働き方ではない」

「この働き方魅力的だなぁ。東京以外でも開いて欲しい」

「30歳過ぎてから頑張っても何もかも遅いぞ」

週5日勤務という働き方では「仕事で人生終わる」と感じている人もおり、「趣味に半分の人生を費やせれば幸せだろうな」と羨む声もあった。その一方で、将来を見据えた働き方としては不安があると懸念する声も目につく。

「こんなの若いうちにしか言ってられない、30歳過ぎてから頑張っても何もかも遅いぞ」

「30代から本気で働こうとしても、もう正社員の枠は20代で頑張ってた奴が確保してる」

スキルを身につけるべき20代を、週3日の派遣社員として「ゆるく」過ごしてしまうと、将来の働き口がなくなってしまうというのだ。派遣業界には「35歳限界説」という言葉があり、同じスキルならば「派遣先は若い方を好む」ので、「他の人にない能力を身に着けないと結局若い人にその席を取られるよ」という声もあった。

毎日新聞では9月24日付け夕刊2面の特集ワイドで「ゆるい就職」を大きく取り上げたが、この記事に絡めてネットで厳しい意見が相次いでいる。多かったのが、80年代後半に「フリーター」が持てはやされた時と状況が似ている、という指摘だ。

「一昔前のフリーターブームを思い出すね~。将来大変なことになるので、こういう話には、若い人は耳を貸さないようにして欲しいわ」

「かっこいいこと言ってる風だけど結局ただの派遣とフリーターだよ…ミュージシャンや役者志望の夢を見続けて30過ぎて困る奴らが増えるだけ」

今でもフリーターとして生活している人がおり、必ずしもすべてのフリーターが失敗とはいえない。しかし90年代のバブル崩壊とともに「自由な働き方」をしていた人たちが給与カットや失業に直面し、「こんなはずではなかった」と嘆いた人も多かったようだ。
専門家は批判「どんなに言葉で飾っても、内実は使い捨て」

ブログ「言いたくないけど、僕が青二才です」も、「僕が『ゆるい就職』を許せない理由」と題したエントリーで「ゆるい就職」の問題点を指摘する。額面15万円は実質的な手取り12~13万円にしかならず、「一人で自活する選択肢も、人と交流したり趣味に使う事もほぼ無理!」と警告する。

実家暮らしならまだしも、一人暮らしで家賃や食費を払うとカツカツな状態になり、「四六時中カネのこと考えてテンパってるだけの人間になるよ?」。仮に実家暮らしだとしても「親が死んだら手取り13万でどうやって生きてく気?」と問いかける。

「お金がないことは『現在と将来を制約されてる』ということだと、もっと重く受け止めた方がいい!その時だけでもちゃんと自活できないスタイル・実在しないロールモデルを無責任に推奨すべきじゃないよ!」

「ゆるい就職」に対する厳しい見方は労働関係の専門家からも出ている。前出の毎日新聞記事の中でも、NPO法人POSSE事務局長の川村遼平氏が「どんなに言葉で飾っても内実はアルバイトやパートタイム労働と同じ。使い捨てられかねない」とコメントしている。

東レ経営研究所ダイバーシティ&ワークライフバランス推進部長の宮原淳二氏も、「『週休4日』の仕事は転職時の職歴として評価されない可能性が高い」と、20代をゆるく過ごした人のキャリアに対する不安を投げかけている。
主催者はフェイスブックで反論「アホか。人間なめんなよ」

こうした批判について、主催者側はどう思っているのか。プロデューサーを務める慶大特任助教の若新雄純氏は9月24日、フェイスブックで毎日新聞の記事に言及する形で、憤りを含んだ反論のコメントを出している。

「新しいかどうか、これが意義があるかどうか、それを決めるのは、僕でも、社会でも、NPO法人とかでもないんですよ。本人たちですよ、ここに集まってる。本人たち。制度、制度って、アホか。人間なめんなよって思う」

さらに、この取り組みが「根本的に働くことがそもそもどうかってことがテーマ」にもかかわらず、「既存の労働を前提に議論がされる」ことに納得がいかない様子。批判者が既成概念に捉われて過ぎていると批判を展開している。

確かに「ゆるい就職」は、大学卒業後すぐに就職する前に、週3日働きながら将来を模索するモラトリアム的な期間として提案されたものだ。参加者には東大や早慶の学生や卒業生も多く、派遣社員として一生を過ごすことを推奨したものでもない。

プロジェクトは今後、どんな新しい展開を迎えるのか。「ゆるい就職」は現在、参加者向けにワークショップを継続中。10月末から企業とのマッチングを開始し、実際に参加者が働くのは11月からとなる。

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