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社員の能力を100%発揮させるためなら「何でもやる」――spice life吉川社長に聞く「働きやすい会社」のつくりかた(前編)

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spicelife・吉川保男社長

「こんな制度が会社にあったら、もっとやる気がでるのに…」というのは、サラリーマンのワガママだろうか。しかし、それが生産性を上げるために必要なことでも、会社は簡単に認めてくれないことが多い。

そんな中、東京・渋谷にあるspice life(スパイスライフ)社では、社員からの要望が逐一、会社に反映されている。たとえば、会社に毎日来なくても良い、花粉症の人は沖縄で仕事ができる、自分が一番気に入ったイスを買ってもらえる、などなど……。

日々締め付けられるような仕事をしている人から見れば、天国のような環境だが、「そんなに自由にして、本当にやっていけるの?」という率直な疑問もわいてくる。

そこでキャリコネニュースはspice life社に伺い、吉川保男社長に直接、その質問をぶつけてみた。吉川社長、どうして社員にそこまで優しくするんですか?
社員に「いいな!」と思ってもらうと…

spice life社の社内制度は多岐にわたる。代表的なものを紹介すると、

・在宅勤務OK
始業・終業時間はない。いつ来ても、いつ帰っても良い。会社に来なくても良い。

・イスを買ってもらえる
自分の好きなイスを買ってもらえる。どんなイスでも良い。

・書籍、勉強会、クラウドサービス利用に補助金
個人の能力が向上するモノ・コトであれば何でも会社が援助してくれる。

・Tシャツ作り放題
自社サービス「tmix」「tmaker」を使ってTシャツ作り放題!

といったものだ。ほかにも「お昼寝推奨」「ジム行き放題」「お菓子・ドリンク無料」など、とにかく「働きやすい環境」をつくることには余念がない。

――正直、うらやましいです。ここまで徹底して「働きやすさ」を追求している会社ってあまりないと思うのですが、その理由はなぜですか?

吉川:それは、僕が「優秀な人と働きたいから」っていう1点に尽きますね。優秀な人って、エネルギーが100あったら、それを集中してすべて仕事に注ぎたいものだと思うんですよ。

「遅刻したらヤバい」とか「満員電車イヤだな」とか、そういうところにエネルギーを削がれちゃうのがもったいないと思うんです。

だったら会社が「こういう働き方しろ」って押さえつけるより、その人が「本当にやるべき仕事」に集中してもらえる環境を整えたほうがいいじゃないですか。それが理由ですね。

――なるほど。それって、個人にとってはとても有り難い話なのですが、会社にとってプラスはあるんですか?

イスは自分で選んだそう。「いままでの3倍増で働いてます!(笑)」とのこと。

吉川:もちろんありますよ。仕事に集中してもらえる環境、社員に「いいな!」と思ってもらえる環境をつくると、自然と優秀な人が来て、仕事に集中できる、魅力的な環境を好む人がやってくるんですね。

そしてそういう優秀な人が、さらに他の優秀な人を巻き込んでくれる。そういうプラスのスパイラルが起こるんじゃないかと思っているんです。

だから、社員が「自分の会社良いよ」って周りに言えるのは、会社での体験や経験が良いと思えるからこそじゃないですか。

会社にとってプラスで、かつその人(社員)にとってプラス。これが一番良いわけで、それを常に模索しているというか、その形を作っていっている感じですね。
花粉症の時期だけ、沖縄で働ける!?

――それくらい柔軟だと、制度のリクエストがたくさん来そうですね。

吉川:むしろ、気兼ねなく言ってもらったほうがいいなと思っていて。遠慮して「周りにそういう会社がないから、こんなことはできないだろうな」って変に思わないでほしいんですよね。

変に気を使って、本当のことを言わないと、実際に制度を作っても意味がないじゃないですか。

例えば、この前、エンジニアから「花粉症の時期だけ、花粉のないとこで働きたいです」と言われました。他の会社はわからいけど、僕なんか「それいいな」って思うんですよね(笑)。効率上がるんじゃないかなって。

だから来年の春は「花粉疎開」で、沖縄にマンスリーマンション借りて、1か月間リモートで仕事してもらおうかなと思ってます。

とは言っても、できないときは「できない」って言いますけどね(苦笑)。ただ、出来ない理由もちゃんと言います。もちろんできるときは取り込んでいきます。そういう姿勢を社員に理解してもらっているからこそ様々なリクエストが出てくるんですよね。

――それくらい要望が通りやすいということは、日常の働き方もかなり柔軟なんじゃないですか?

「自分で何脚も座ってみて、このイスに決めました」

吉川:そうですね。いま社員数はアルバイトも含め16人おり、社員はプロデューサーやディレクターといったビジネス側と、開発側のエンジニアがいます。

当社は基本的に裁量労働制で、コアタイムは特にないんです。しかも、自宅作業OKなんです!だから逆に会社に全員いるときは、少ないんですよね(笑)。昼間なのに、会社に数人しかいない、なんてときもありますよ。

コミュニケーションにはFacebookを多用しており、事業ごとにグループ作ったり、会社全体のグループがあったり。そこで大体どのような仕事をしているかを見えるようにしてますね。同じ場にいなくても、情報や考え方とかを共有できるように。開発側は「Idobata」とか別のコミュニケーションツールも使ってます。

――とはいえ、オフラインの対面コミュニケーションも大事かなと思うのですが、そういう機会も作られているんですか?

吉川:もちろんです。事業毎で毎週対面の定例ミーティングはありますよ。

あとは仕事以外のコミュニケーションも大切だと思ってて、毎週水曜日には行ける人全員でランチを食べたり、仕事柄、外出しにくい人もいるので、月に1度「出前ランチ」という社内で交流する場もあります。最近では月1くらいで新しい人も入ってくるので、歓迎飲み会もやったりしてます。

僕はそういう細かいコミュニケーションが大事だと思うんですよね。そうしてできた関係性の上で、Facebookで「提案あったらちょうだいね」とか、会社の方向性とか理念とか、こういうことをやっていくんだ、こうあるべきなんだというのを共有しています。
これからのマネジメントは「性善説」が大事になる

――オンラインとオフライン、仕事とカジュアルな関係性のバランスをきっちり取っているんですね。とはいえ、経営者やマネジャーは、出社しない社員が「サボってるんじゃないか」とか心配にならないんですか?

お菓子もドリンクもすべて会社負担!

吉川:確かに日本的なマネジメントの性悪説だと、そう捉えられがちですよね。会社に来てないとサボるみたいな。でも会社に来てPC見てたって、仕事してない社員もいるかもしれないですよね。そうしたら、全く姿が見えない自宅にいるか、姿が見える会社にいるか、という違いだけだと思うんです。

マネジメントする側からすれば「来てるだけ」で評価できるほうが楽ですよ。来てれば「仕事してる」でいいわけですから。

でも僕らがやってることは、成果を見ているんです。だから、成果を正しく見る人がいないと成立しない。そっちのほうが大変ですけど、成果を信用できれば、自宅で仕事してもらったっていい。そういう働き方のほうがパフォーマンスも仕事全体の質も上がってくと思うんですよね。

優秀な人って、他人を欺いたりウソついたりするのは嫌いなんじゃないかって思っていて、僕はそういう性善説を信じてるんですよ。どうせ成果として出てきちゃうし、ウソはみんな自分に返ってきちゃうって分かってるはずなんで。だから、成果が見えれば信用してていいのかなって思うんです。

――なるほど。確かに「朝早く来るヤツはそれだけで偉い」とか、異常に日本的ですよね。そうすると、社員への評価も「成果」で見る感じなんですか?

吉川:その通りですね。評価は「成果」と「アビリティ」でします。

当社では独自の評価制度があり、ここでいうアビリティは、自分を客観視して「どういう強みがあるか?」を、半期に一度、各自7つ出してもらうんです。その7つの強みが、「一般的に通用するレベル」なのか「会社では一番」なのか「業界では一番」といったように、どのレベルで習熟しているかを可視化します。

その自己評価以外あれば、会社が評価する点を、3つまで追加します。それで、個人の能力と会社の評価が結びつきます。

それから、次の半期でその強みをどのように、どこまで強めたいのかを具体的に示してもらいます。よくRPGとかでレベルアップすると、能力を振り分けるシステムあるじゃないですか。RPGのような似た感じで半期で20ポイント、自分で強めたいところに振り分けるんですよ。例えば英語力に10ポイント、正確さに10ポイントとか。

そうすると、その人が伸ばしたいところが分かるんです。その伸ばしたい部分を達成できるように会社もサポートする。達成度は評価にも入れます。

そのほかに、半期に一度「目標設定」をします。でも、当社は、その目標を達成したかどうかは評価に入れません。評価に入れると、みんな低い目標を立てちゃうじゃないですか。

目標って、頑張らないと達成できないから意味があると思うんですよね。だから高い目標を立ててもらいます。そうしたら会社とか周囲はそれを達成するために、こういう人紹介するよとか、勉強会行くなら費用負担するよとか。僕はそうやって社員の目標に向けてサポートするのが役目だと思ってるんです。

【後編「成果を『正しく評価』できれば、日本人の働き方は変わる」は近日中に公開予定です。】最新記事は@kigyo_insiderをフォロー/
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