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ニューヨーク・タイムズ報じる日本の音楽市場

posted by Jay Kogami

ニューヨーク・タイムズが稀有な日本の音楽市場を紹介。未だに売上げ85%をCDが占める現状をどう報じたか?

多くの方はご存知と思いますが、世界の音楽ビジネスはデジタルへの移行が進み、ダウンロードとストリーミングが音楽消費の柱になろうとしています。一方で日本は依然としてCD中心の消費が中心で、デジタルへの移行が進まない、世界から切り離された特殊な市場に進化しています。

このような日本の市場を世界はどう見ているのか? さらに世界のメディアは日本の音楽市場をどのように伝えているのか?

世界のメディアが日本について触れることは極稀です。大手メディアであるニューヨーク・タイムズに「CD-Loving Japan Resists Move to Online Music」 (CD好きな日本はオンラインミュージックへの移行を拒否)というタイトルの長文記事が掲載されました。

CD-Loving Japan Resists Move to Online Music(9/16 New York Times)

この記事では、世界がダウンロードとストリーミングに向かう中、日本の音楽ビジネスではCDが今でも主流であること、そしてデジタル音楽への移行が困難を極めていることを、業界関係者のインタビューを交えて説明しています。

CDが主流の日本は、ご存知のように音楽売上が過去10年に渡って減少しています。世界第2位の音楽市場ですが、昨年は前年比17%と大幅に減少したことで、世界の音楽市場が3.9%減少する大きな原因となりました。

【関連記事】
・世界規模の音楽売上をまとめた年次レポートをIFPIが公開、2013年は売上3.9%ダウン、音楽ストリーミング売上は50%以上拡大し10億ドルの大台に到達

また日本のデジタル音楽市場が勢いを失っていること、そして社団法人日本レコード協会の数値として2009年のデジタル音楽の売上が約10億ドルだったのが、2013年には約4億ドルに下がったことを紹介しています。

記事では、デジタル・テクノロジーがアルバム主体のビジネスモデルを変革し始めた時に音楽市場の価値が低下し始めた日本の市場を回復することが世界の音楽ビジネスの最優先事項であるが、一方で、変化を生み出すには、デジタルサービスに疑いの目を向ける日本の保守的な姿勢などが邪魔して難しいだろうとも述べています。

ユニバーサルミュージック・グループの会長兼CEOのルシアン・グレンジ (Lucian Grainge)も

「日本は完全に全てがユニークだ。」

と日本市場が世界とは全く異なる市場であるとコメントします。

世界では新たな収益源として期待が高まるSpotifyやRdioのような音楽ストリーミングサービスは、2年のレーベルとの交渉が足踏み状態で、現在でも市場に参入することが出来ていません。

デジタル音楽サービスの中には、日本市場の今後を楽観的に見ているサービスもいます。

ニューヨーク・タイムズの取材に対して、Spotifyのチーフ・コンテンツ・オフィサーのケン・パークス(Ken Parks)は同社が前向きな見通しであると述べ、交渉プロセスはどの国でも時間がかかることを指摘しました。例えばSpotifyはアメリカに参入するまで2年以上を交渉期間に費やしてきました。

「もし意思決定者達がこれまでと全く異なる何かを実行する必要性に直面して、ようやく機が熟したと感じたのなら、彼らは動くでしょう。私たちはその瞬間に日本で近づいていると思います」

しかし、世界の音楽市場の中では、日本市場のビジネスツールとしてのCDに対する愛着から、変化には悲観的な考え方もあります。

現在の日本独自の音楽エコシステムでは、多くの企業にとってCDが最も収益性の高い商品です。CDの販売価格は現在でも20ドル以上(2,000円)に設定されています。

コレクション嗜好の強い日本人消費者を狙ったCDの販売戦略によって、例えばアーティストを個別にフィーチャーしたパッケージのベスト・アルバムなどが販売されています。

CD販売を支える戦略で成功したアーティストといえば、握手券の抱き合わせ販売で成功したAKB48がこの戦略の先駆者であることにも記事は紹介しています。

また日本の音楽市場の特異性として、タワーレコードが未だに存在しCDを販売していること、また未だに85店舗も展開していることにも触れています。

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